【桂の手筋】つなぎ桂に歩頭桂。相手の駒を飛び越えて使いこなそう!

【桂の手筋】つなぎ桂に歩頭桂。相手の駒を飛び越えて使いこなそう!

ライター: 渡部壮大  更新: 2016年09月17日

今回は桂の手筋を紹介していきます。

桂は将棋の駒の中でも最も特殊な駒です。それは相手の駒を飛び越えることができるからで、堅い囲いの中にある敵玉を直接仕留めにいくことができます。

ある意味使いこなすのが難しいのですが、逆に桂を使って技をかけることができたら気持ちよいことでしょう。

美濃囲いに対して王手飛車取りを狙おう

美濃囲いは横からの攻めに対しては強いのですが、弱点が小ビンと呼ばれる斜めのラインです。

第1図では▲7四桂が必殺の一手。玉を逃げるのは▲8二金までで詰んでしまうため△7四同歩の一手ですが、▲5五角と打って気持ちの良い王手飛車取りで大成功です。なお、先に▲5五角とするのは△2四飛で7四の地点を受けられて失敗です。ただし、第1図で3四歩が置いてあれば、単に▲5五角と打つ手が勝る場合があります(△2四飛が利かない)。

このように平べったい美濃囲いに対して角や桂を持ったら、常に▲7四桂の筋がないか考えてみると良いでしょう。

【第1図】

一気に詰ます、必殺のつなぎ桂

美濃囲いからもう1問。

第2図で効果的な攻めがあります。先ほどと同じように▲5五角は詰めろですが、駒取りや攻防手にならない場合はやや単調なきらいがあります。第2図では▲8六桂(または▲6六桂)が狙いを秘めた手です。次に▲7四桂打△同歩▲同桂△7三玉▲8二角△8四玉▲7五金△9四玉▲9五歩までの詰めろになっています。

盤上に攻め駒が少ないところからも、いきなり手がかりを作ることができるのが桂の強みです。

【第2図】

こういったつなぎ桂も▲5五角のラインと合わせ、美濃囲い崩しには必修の手筋です。なお、持駒の桂が一枚で盤上の7六歩が持駒にある場合は▲7四歩△同歩▲8六桂のような攻めが有力です。

意表の飛び込み、桂の不成

第3図は相横歩取りのある変化から。

いま5五の角で香車を取ったところです。先手の読みは△7七桂成なら▲同桂、△5七桂成には手抜きで攻め合って良いというものでしたが、この場合は後手に好手がありました。第3図では△5七桂不成とあえて成らないのが厳しい攻めです。次に△6九飛と打つ手が激痛なので先手は▲7九金くらいですが、△4九桂成▲同玉△2八歩のように金をはがしながら攻めて後手が好調です。

銀の不成はよく見ますが、桂の不成はうっかりしやすいので気を付けましょう。

【第3図は▲9一角成まで】

矢倉を縦からこじ開ける歩頭桂

矢倉囲いは主に相居飛車で用いられる囲いで、縦からの攻めに強いのが特徴です。矢倉崩しの符号として銀なら▲4一銀(△6九銀)が有名ですが、桂にも有力な使い道があります。

第4図は古いタイトル戦より。先手の金銀4枚の矢倉は堅く、飛車を降ろして横からいっても攻め合いになりません。第4図では△8六桂の歩頭桂が矢倉崩しでおなじみの手筋。放っておけば△7八桂成と守備の要の金を剥がすことができますし、▲7九金は利かしで△9五歩が厳しくなります。実戦は▲8六同歩△同歩▲8三歩△同飛▲3五角と攻め合いになりました。▲3五角で▲8六銀と払った場合には、△同飛と取る手が正解のこともありますが、この場合には△8七歩▲同金△8五歩▲7七銀△8六香のように攻めていきます。

【第4図は▲4五歩まで】

両取りを狙う桂

最後に代表的な手筋、桂の両取りの応用を紹介します。

第5図は後手が中央を制圧しにきたところです。5五の銀は飛車にしか支えられていないのに注目した反撃があります。図から▲5三歩が手筋で、横に逃げるのは▲5五角があるので後手は△5三同飛と取るよりありません。そこで▲4五桂と跳ねて、綺麗に飛車銀両取りがかかり成功です。なお、図で▲4五桂と跳ねるのは△4四銀上とかわされ、それから▲5三歩には△7二飛や△5一飛とかわされて失敗です。

【第5図は△5五同銀まで】

以上、桂の手筋を5つ紹介しましたがいかがだったでしょうか。

ただ「桂馬の高跳び歩の餌食」という格言もあるように、成算がないのに桂を跳ねてしまうと歩で取られてしまうだけの結果に終わってしまうこともあるので、気を付けましょう。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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