ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2025年12月25日
第3回の達人戦は、かつて名人戦で何度も激突した平成のゴールデンカード、羽生森内戦に。勝った森内九段が久しぶりの棋戦優勝を果たしました。王位戦では伊藤沙恵女流四段の活躍が続きますが、リーグ入りの快挙はなるでしょうか。
【第1図は△5五桂まで】
第1図は第3回達人戦立川立飛杯決勝戦(▲森内俊之九段△羽生善治九段)。達人戦の決勝はライバル対決となりました。▲5六銀打が「桂先の銀定跡なり」の攻防手。△同金なら▲同銀で手順に銀を逃げながら「桂先の銀」を維持できます。実戦は△6七桂成ですが、▲4五銀△同玉▲6七金で後手玉は危険な形になり、まとめにくくなりました。この後も激戦が続きましたが、最後は森内九段が制して初優勝を飾っています。
写真:牛蒡
【第2図は▲2九飛まで】
第2図は第84期順位戦A級(▲千田翔太八段△永瀬拓矢九段)。後手は自玉を鉄壁にして、あとは反撃するのみです。△8七歩が「金は斜めに誘え」の手筋。逃げ道をふさがれては粘れないので▲同金と取るくらいですが、△6七馬と活用して好調な寄せが続きます。以下▲7七金に△同馬▲同桂△8七金と上部を押さえて後手勝勢がはっきりしました。永瀬九段は6連勝と星を伸ばして連続挑戦に前進しています。
写真:牛蒡
【第3図は▲1四銀まで】
第3図は第84期順位戦B級2組(▲北浜健介八段△久保利明九段)。相穴熊から先手が必死に食い付こうとしています。△3五歩▲2三銀成△同銀▲1四銀△3六歩▲2三銀成△同金が落ち着いた対応。以下▲3二銀△2二金▲4三銀不成△同馬で金駒をたくさんはがされましたが「馬の守りは金銀3枚」と言われるだけあって、後手陣はまだまだ安定しています。以下は十数手で先手の投了。久保九段が快勝で7連勝とし、B級1組復帰へ大きく近付きました。

写真:虹
【第4図は△9五香まで】
第4図は伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦予選(▲伊藤沙恵女流四段△金井恒太六段)。後手が端を攻めて、9筋は破られる形です。しかし香の裏を突く▲9三角が返し技。△8一飛▲6六角成で「馬は自陣に引け」の手厚い形を築きました。バラバラだった金銀も安定し、後に▲5四歩から馬を使った攻めも実現するなど、以下は手厚く押し切りました。勝った伊藤女流四段は予選決勝に進出。女流棋士として初のリーグ入りまであと1勝です。

写真:胡桃
【第5図は△5四香まで】
第5図はSUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2025第6局(▲伊藤匠二冠△山崎隆之九段)。局面は駒得の先手がはっきり優勢です。▲5八玉が「玉の早逃げ八手の得あり」の好手。8筋から遠ざかりながら、攻めも秘めていました。実戦は△2一歩に▲7五歩(早逃げの効果で△7六桂がない)△6三銀▲4五桂で、飛車の横利きを止めて桂の活用にも成功。先手がはっきりと抜け出しました。伊藤二冠は2年連続の勝利となりましたが、団体戦としては西軍が5勝1敗と大勝しています。

ライター渡部壮大

監修高崎一生七段