佐々木が連続挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

佐々木が連続挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2025年08月26日

 竜王戦七番勝負は2年連続で佐々木勇気八段が挑戦者になりました。清麗戦五番勝負は福間香奈清麗が防衛し、次の白玲戦で初の女流七冠を目指します。

大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第3局

【第1図は▲3一飛まで】

 第1図は大成建設杯第7期清麗戦五番勝負第3局(▲渡部愛女流四段△福間香奈清麗)。攻め合いの終盤に入るところです。△5八銀が厳しい一着でした。次に△6七銀成▲同金△5七馬があり、▲6八金引も△6七歩があって受けになりません。▲3九歩△2八飛成▲5六金と勝負手をひねり出しましたが、それでも△6七銀成が「金は斜めに誘え」の厳しい一着。▲同金にはやはり△5七馬です。▲6六桂△5六歩▲7四桂と迫りましたが、△7三玉で後手の一手勝ちコースです。福間清麗は3連勝で防衛し、女流六冠堅持となりました。

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写真:玉響

第38期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

【第2図は△3一銀まで】

 第2図は第38期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局(▲佐々木勇気八段△石田直裕六段)。2二の銀を引き、退路を作って後手は粘る姿勢を見せています。▲2四歩が「玉は包むように寄せよ」の手筋。△6七歩成▲同金に△6六歩は▲2三歩成が詰めろで先手勝ちです。よって△2四歩と手を戻しましたが、▲4四歩△3二玉▲5三と△4四金▲2四銀と着実に押し込み、後手は受けが難しい形になってきました。佐々木八段が2連勝で三番勝負を制し、2年連続での竜王挑戦を決めました。

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写真:文

第84期A級順位戦2回戦

【第3図は△3四金まで】

 第3図は第84期A級順位戦2回戦(▲永瀬拓矢九段△増田康宏八段)。先手がどうリードを広げるかの局面ですが、▲4八香が「下段の香に力あり」です。銀が下がれば大きな利かしで、後手の玉頭にも狙いを付けることができます。△3五金と支えましたが、▲4六香△同金▲3五銀で、先手が駒得を拡大していき、そのまま形勢の差にもなっています。

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写真:睡蓮

第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦

【第4図は▲6六桂まで】

 第4図は第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(▲佐々木勇気八段△藤井聡太竜王・名人)。竜王戦七番勝負のカードが早指しでも実現しました。先手が後手陣に攻め掛かろうとしていますが、△9五歩が「開戦は歩の突き捨てから」の手筋。先手玉が7筋にいるため、これ以上遅いと入らない可能性が出てきます。実戦は以下も熱戦が続きましたが、最後は9筋の突き捨てを生かす寄せを決めて後手が制しています。

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写真:牛蒡

ユニバーサル杯第52期女流名人戦女流名人リーグ

【第5図は▲4七同香まで】

 第5図はユニバーサル杯第52期女流名人戦女流名人リーグ(▲西山朋佳女流二冠△内山あや女流初段)。順調に駒得を拡大しながら、後手が勝勢を築いています。△6六角が「要の金を狙え」の決め手で、△3九角成以下の詰めろです。▲4八銀打と埋めましたがこれでは完全に攻め手が消えて、はっきりしました。難敵を下し、内山女流初段が1敗を守っています。

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写真:八雲

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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