藤井が王座初防衛 9月下旬の注目対局を格言で振り返る

藤井が王座初防衛 9月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年10月17日

 リターンマッチとなった王座戦五番勝負は藤井王座が3連勝と圧倒。早くも25期目のタイトル獲得となっています。

第72期王座戦五番勝負第3局

【第1図は▲9八玉まで】

 第1図は第72期王座戦五番勝負第3局(▲永瀬拓矢九段△藤井聡太王座)。一分将棋の終盤で、形勢は先手が良いものの、後手も勝負手を連発しています。△9六香が意表の一着で、実戦は▲9七歩としたため△7八銀で逆転となりました。普通は「下段の香に力あり」で、9一~9四あたりに打ちたいところですが、それは後手玉が狭いため、▲9七歩△7八銀とした時に詰まされてしまいます。セオリーに反する一手が秒読みの中で逆転を呼びました。勝った藤井王座は3連勝で初防衛です。

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写真:武蔵

第72期王座戦五番勝負第2局

【第2図は△8四桂まで】

 第2図は王座戦第2局(▲藤井王座△永瀬九段)。銀取りに桂を打ったところで、次に王手で銀を取られるので普通は▲6七銀左のように相手するところです。しかし、実戦は強く▲4六香と踏み込みました。当然△7六桂で銀を取られましたが、▲7七玉が「桂頭の玉寄せにくし」で、しばらく攻めに専念できる形です。

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写真:八雲

ヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第3局

【第3図は△6二金左まで】

 第3図はヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負第3局(▲福間香奈女流五冠△西山朋佳白玲)。駒得が大きく形勢は先手良しです。何か金取りに対処する必要があり、▲5五歩と受けても十分です。実戦は▲5四歩とより良さを求めました。△同飛なら▲5五銀で手番を握る「大駒は近付けて受けよ」が成功します。△3六歩と打ちましたが、▲4五桂と逃げた時に▲5三歩成の狙いもあるのが、▲5四歩と前で受けた効果です。快勝で福間女流五冠が2勝1敗とリードしました。

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写真:夏芽

SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024東京予選

【第4図は△8五同歩まで】

 第4図はSUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024東京予選(▲高橋佑二郎四段△瀬川晶司六段)。予選を勝ち上がり、代表選手を懸けた決勝戦です。長らく先手が押していた将棋ですが、いよいよ決めどころ。▲3四桂が「要の金を狙え」の厳しい一着で、後手玉は一手一手の形になりました。新人の高橋四段が東軍のメンバーへ。

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写真:胡桃

SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024関西予選

【第5図は△2六玉まで】

 第5図はSUNTORY将棋オールスター関西予選(▲上野裕寿四段△出口若武六段)。関西予選の決勝で同門対決となりました。鋭く寄せて先手勝勢となり、あとはしっかり着地をするだけです。▲2八金が「玉は包むように寄せよ」の手堅い寄せ。後手も△4九飛から必死の抵抗で入玉を目指しますが、最後はしっかりと先手が寄せ切りました。関西も初参加の新人が大舞台へ出場です。

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写真:潤

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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