丸山が銀河戦初優勝 12月下旬の注目対局を格言で振り返る

丸山が銀河戦初優勝 12月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年01月05日

 銀河戦は決勝で丸山忠久九段が藤井聡太竜王・名人を破り初優勝。銀河戦では最年長優勝の快挙でもあります。棋王戦は伊藤匠七段が挑戦者となり、藤井棋王とのライバル対決再びです。

第31期銀河戦決勝戦

【第1図は△6三同金まで】

 第1図は第31期銀河戦決勝戦(▲丸山忠久九段△藤井聡太銀河)。角換わりから藤井銀河が攻めましたが、丸山九段のカウンターが入ってペースをつかみます。▲5四銀が「要の金を狙え」の寄せで、この金をはがせれば後手玉は粘りが利きません。実戦は△5四同金▲同歩△6三金に▲3七角△4四角▲5五金と攻めを手厚くしていき、丸山九段の快勝となりました。53歳での優勝は銀河戦での年長記録を大きく更新しました。

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写真:常盤秀樹

第49期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局

【第2図は▲6七歩まで】

 第2図は第49期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第1局(▲広瀬章人九段△伊藤匠七段)。千日手指し直しとなった本局は広瀬九段が押し気味に進めていきます。普通の手では勝てないと見て、△4五歩が勝負手。▲同桂で攻め駒を呼び込みますが、△3三桂と「遊び駒を活用せよ」のぶつけで局面を激しくしていきます。ギリギリの終盤でしたが最後は伊藤七段が逆転勝ち。第2局へ持ち込みます。

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写真:八雲

第49期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局

【第3図は△3四銀まで】

 第3図は第49期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定二番勝負第2局(▲伊藤七段△広瀬九段)。第2局は相掛かりから伊藤七段がうまい指し回しで作戦勝ちを築きました。▲5五銀とぶつけて「攻めは飛角銀桂、守りは金銀3枚」の理想的な展開です。後手は居玉、4四に歩も垂れており、受け切れる局面ではありません。以下も快調に攻めを続けて先手快勝。伊藤七段は竜王戦に続くタイトル戦登場です。

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写真:琵琶

第17期マイナビ女子オープン本戦

【第4図は△4三飛まで】

 第4図は第17期マイナビ女子オープン本戦(▲大島綾華女流初段△里見香奈女流四冠)。ゴキゲン中飛車に急戦から先手が形勢をリードしています。飛車で馬を取られたところですが、当然ながら▲6二成香と金を取るのが「終盤は駒の損得より速度」で、後手玉への寄せを目指します。以下△7一銀に▲同成香△同玉▲5四銀と緩みなく攻めていき、後手を寄せ切りました。大島女流初段は難敵相手に会心の指し回しを見せてベスト4進出です。

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写真:夏芽

SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2023

【第5図は△3五歩まで】

 第5図はSUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2023、第6局(▲藤井聡太竜王・名人△羽生善治九段)。2勝2敗で迎えた最終第5、6局でスター対決が実現しました。第5図で▲3五同歩が堂々とした対応。△3六歩▲2九飛△3七歩成▲同銀とします。「二枚換えなら歩ともせよ」と言いますが、この場合は後手の歩切れも大きくいい勝負。終盤で鮮やかな切り返しを見せて藤井竜王・名人が乱戦を制しました。第5局での山崎隆之八段の勝利と合わせて西軍の4勝2敗で勝ちが決まりました。

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写真:常盤秀樹

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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