チーム永瀬VSチーム三浦 第5回ABEMAトーナメント~予選Aリーグ第二試合振り返り~

チーム永瀬VSチーム三浦 第5回ABEMAトーナメント~予選Aリーグ第二試合振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2022年04月27日

 4月23日(土)に放映された第5回ABEMAトーナメント予選Aリーグ第二試合、チーム永瀬「川崎家」(永瀬拓矢王座、増田康宏六段、斎藤明日斗五段)対チーム三浦「シンジンオウ」(三浦弘行九段、池永天志五段、伊藤匠五段)戦の模様をお伝えする。

 チーム永瀬は第一試合でチーム羽生を5-3で破っており、この第二試合で勝てばもちろん、またチームとしては敗れても4勝を上げればトータル勝ち点が+1になるので、予選通過が決まる。そしてこの試合が初陣となるチーム三浦は強敵を相手に弾みをつけたいところだ。

【第1局 斎藤明日斗五段-三浦弘行九段】

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 第1局、チーム永瀬は斎藤五段が登場するのに対し、チーム三浦は三浦九段がリーダー自らがいきなりの出陣となった。振り駒の結果、第1局の先手は斎藤に決まった。直前の作戦タイムでは「横歩取りか相掛かりになると思う。序盤からリードして押し切りたい」と語った斎藤。実際、そのような展開に持ち込んだ斎藤が快勝し、チーム永瀬がまずはリードを奪った。

 続く第2局、チーム永瀬は早々に斎藤の連闘という奇手を放つ。対してチーム三浦は池永が登場。ここで斎藤が勝てばチーム永瀬には大きな勢いがつくが、池永が混戦の終盤を制してタイに持ち込む。

 だが、チーム永瀬はここからが強かった。第3局を増田、第4局を永瀬、第5局を増田が制して、一気にリードを奪った。

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【第1図は△4二玉まで】

 第1図は第5局の増田―池永戦。ここで▲5四角上△同金▲同角成と攻めても先手が勝てそうだが、△7八銀成▲同玉△6六桂の筋は先手も怖いところがある。特にフィッシャールールでは逃げ間違えてのトン死がないとは言えない。時間を残していた増田はここで慎重に使って、▲6八金右を着手。これが手堅い一着で、以下△7八銀成▲同金△6六桂▲8九金△7八桂成▲同金と進んだ局面は、後手の持ち駒に銀や桂がない。これは先手玉の守備の要である7八金に対し、効果的に働きかける手段がないことを意味している。ほどなく池永が投了し、増田が勝利。これで増田は予選第一試合から数えて五戦無敗である。

【第6局 斎藤明日斗五段-伊藤匠五段】

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 第6局は斎藤―伊藤戦、宮田利男八段門下の兄弟弟子対決となった。やや変則的な序盤から、先手の伊藤は矢倉に、後手の斎藤は右玉に組む。

【第2図は△3三銀まで】

 第2図で先手は竜当たりになっているが、ここでの▲8四桂が厳しい。対して玉を一段目に逃げるのは▲1一竜で先手優勢。また▲8四桂に△8二玉や△8三玉は、▲6二竜△同角▲6四歩△同銀▲7二金が厳しい。斎藤は△8四同飛と取ったがそこで▲6二竜と切り、△同角に▲8四角と飛車を取り返してやはり先手よしだ。何といっても玉の堅さが違う。この後も斎藤は頑張りを見せるが、振り切った伊藤が勝利した。

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【第7局 伊藤匠五段-永瀬拓矢王座】

 第7局、チーム三浦は伊藤が連闘。対してチーム永瀬はリーダーがここで決めに来た。

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 角換わりから迎えた第3図。

【第3図は△2九銀成まで】

 伊藤が2九の飛車を取った局面である。後手は次に△3四玉から入玉を目指したいが、それを許さない永瀬の▲6二歩成が好手だ。△3四玉には▲4五角が王手飛車となる。以下△2五玉▲8一角成△3六歩の進行は後手の入玉がほぼ確実とはいえ、大駒の枚数の差が大きく、後手は点数勝負で勝てる見込みがない。▲6二歩成に実戦は△6九飛だが、▲6八金右△8九飛成▲6一と△同飛▲7二馬△3一飛▲4五金と進み、玉頭を押さえた永瀬の優位が確定した。

 チーム永瀬はリーグ1位が確定し、予選通過。リーダーの永瀬は「前回に続いて1位通過ができました。「ここをこうしたほうがよかった」などの改善点があり、そこを修正してチームメイトと一緒に一つでも上に行きたいと思います」と意気込みを語った。

 そして残る1枠は予選第三試合にゆだねられた。チーム三浦対チーム羽生の勝者が予選通過となる、わかりやすい構図である。4月30日放映の予選Aリーグ第三試合をどうぞお楽しみに。

【総合成績】
第1局 斎藤〇-●三浦(第1局はチーム永瀬が先手番。以下は交互)
第2局 斎藤●-○池永
第3局 増田○-●伊藤
第4局 永瀬○-●三浦
第5局 増田○-●池永
第6局 斎藤●-○伊藤
第7局 永瀬〇-●伊藤
総合 5勝 ― 2勝

【個人成績】
永瀬王座 2-0
増田六段 2-0
斎藤五段 1-2
三浦九段 0-2
池永五段 1-1
伊藤五段 1-2

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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