ライター藤田華子
【PR:ローソン×佐々木大地五段】アクティブな読書家。家族と師匠への恩返しを胸に――佐々木大地五段の素顔
ライター: 藤田華子 更新: 2021年10月07日
スイーツを口にする時間は、ホッと一息つき、素の自分に戻るとき。今回はローソンの「もち食感ロール」を食べながら、佐々木大地五段の素顔に迫ります。
雨で撮影を中止しようとしたら、「やりましょう!」とフットサルコートへ出てくださった佐々木五段。そうして撮った写真は、ご本人の歩みとリンクするようにドラマチック。
9歳の頃に大病を患い、闘病しながら棋士になるため長崎の離島から一家で上京。大きな試練を何度も乗り越え、たどり着いた今。26歳にして劇的な人生を歩んできた佐々木五段の朗らかな笑顔の裏側には、ご家族と、師匠・深浦康市九段との強い絆がありました。静かな雨をBGMに語られた、等身大の言葉たちです。
昼間はアクティブに、夜は本を片手に。
――佐々木五段といえば、スポーツがお好きでアクティブなイメージです。
子どもの頃に病気を患っていたので習い事とか部活はしてなかったんですけど、ずっと体を動かすのは好きですね。大人になってからは将棋連盟のフットサル部や野球部に参加することもありますし、メジャーリーグなどスポーツ観戦もします。
――スポーツ全般お好きなんですか?
そうですね、子どもの頃は松井秀喜選手を応援していたし、今はバスケットボールのNBAで八村塁選手のプレイを観たり、YouTubeの解説チャンネルで戦術を学んだりしています。スポーツに限らずなんですけど、戦術や、解説に興味があるのかもしれません。ポーカーのトッププレイヤーの思考を聞くとか、友人と電話しながら『Apex Legends』をプレイするとか。
――日々の息抜きは?
新型コロナウィルスが流行る前は、対局が終わって飲みに行くことが息抜きでした。お酒が好きというよりも、友人と話すのが好きで。最近は棋士のグループLINEで電話をしますね。高見(泰地七段)先生や、三枚堂(達也七段)先生と。
――そのおふたりのインタビューでも、お互いを高め合う棋士として佐々木五段のお名前が挙がっていました。
いやぁ、ありがたいですね。将棋はもちろん、それ以外も尊敬している先輩です。銀河戦やNHK杯将棋トーナメントの予選って公開されていないんですけど、棋士は把握できます。高見先生は"プロの観る将"ってこの連載でも言われていたよう将棋がお好きなのと、気にかけてくださっているんでしょうね、お互い相手の勝敗を気遣いながらではありますが、「お疲れ〜、今日どうだった?」とか、勝ったときは「この手が冴えましたね」なんて電話をします。
――就寝前に読書をするのが日課だとか。お好きな作家さんは、米澤穂信さん、山崎豊子さん、江戸川乱歩さんを挙げてくださっています。
小説、SF、ミステリーを読むことが多いです。米澤穂信さんは『追想五断章』『折れた竜骨』『王とサーカス』『氷菓』など引き出しの多い作家さんで、面白くて。江戸川乱歩さんは『怪人二十面相シリーズ』や短編集はいいんですが、グロテスクなのはちょっと(笑)。高校時代は星新一さんのショートショートを愛読していました。長編だと対局前日に夜更かししちゃうんですよ。寝不足になっていいものか、結末を気にしたまま対局に臨んでいいものかという悩みが生じます。あと森博嗣さんの『四季シリーズ』も好きでした。メジャーなものは手にとっているのですが、最近読んだ村上春樹さんの『海辺のカフカ』は...
――いかがでした?
自分には難しすぎました(笑)。余白や行間を読み込む感性が、未熟みたいで。気になる作家さんが多くて、読みたいものがたくさんあることが嬉しいです。
――ひとり暮らしを始めてから、お料理もされるそうですね。「美味しくはない」と仰っていましたが...?
それはお店で食べた方が美味しいですよ(笑)!チキン南蛮やコロッケ、ルーローハン、キノコのマリネ、かぼちゃの煮物など、外出する機会が減ったのでいろいろチャレンジしています。『将棋世界』でもキーマカレーを作りましたが、ひき肉が好きですね。いつか作ってみたいのは和定食。タイトル戦のお仕事で伺った「元湯陣屋」さんの朝食がすごく素敵で。味は及ばないので、量と品数でカバーしたいです。
まわりとの強い絆。家族にも、師匠にも、恩返しすることを胸に。
――深浦九段と一緒に運用されているTwitterアカウント、師匠への敬意と信頼とが伝わってきてとても微笑ましいです。佐々木五段からご提案したんですか?
そうです。師弟アカウントって深浦一門だけじゃないかな。コロナ禍で将棋イベントが減っているので、何か発信しませんかと提案しました。「一旦考えます」と言われたのですが、翌日には「やりましょう!」とお返事をいただけて。最初少しだけTwitterについてレクチャーをしたのですが、いつの間にか師匠は使いこなしてファンの方との交流を楽しまれているみたいです。ちょっと意外だったのは、自分が思っていたよりもコミュニケーションを大切にされているんだなと。昔は、順位戦がある週は仕事を入れないで対局に集中するなどストイックなイメージが強かったんですよ。でも今は「地球代表」というニックネームができ、将棋への情熱はそのままにファンとの距離も近くなられていて、さすがだなぁと。自分も見習いたいです。
――佐々木五段にとって師匠はどんな存在でしょう。
師匠と自分は同郷の長崎出身なんですけど、師匠は地元にもたくさんのファンがいらっしゃるんです。その人気は、高いレベルで結果を出し続けていることやお人柄など、いろんな要素があると思いますが、どれもすごくリスペクトしています。全部は難しいですが、師匠のいいところを吸収して継承できるようにと思います。そういう気持ちが、深浦門下としていい意味でプレッシャーになっていますし、早く恩返しがしたいです。
――強い絆があるんですね。
そうですね、繋がりが強いと思います。同郷で、僕が対馬という離島で棋士を目指すうえで経験してきた苦労を師匠もわかってくださっていて。将棋以外でも、ふだんの生活やプライベートなことも「悩んでいたら何でも言ってね」って声をかけてくださるんです。あと、師匠が都合が悪くて参加できない研究会に代わりに出席させていただくこともあって。トップ棋士の思考に触れる機会は貴重ですし、そういう場所へ、声をかけてもらえるのは嬉しいですね。
――ちなみに、師匠が「地球代表」と呼ばれていることについては...?
あまり将棋を知らない友人からも「大地の師匠って、地球代表なんでしょ?」ってイジられることがあるんですけど、そういう愛称って、トップ棋士で注目されている方じゃないと広まらないじゃないですか。師匠の強さや将棋への情熱といった背景から生まれたニックネームで、ファンの方からも慕われているのが素晴らしいなと思います。自分もいつか、そういう呼び名がつくんですかね(笑)。
――9歳のときに「拡張型心筋症」という大病を患い、酸素ボンベを付けながら小学校に通われていたそうですね。
本当に突然、夜中に胸が痛くなったんです。それで、翌日いきなり飛行機で福岡の病院に搬送されて、何が起こっているのかわからない状況でした。自分の置かれている立場がまったく理解できていなくて、病状が悪化して危うい時期もあったんですけど、死という概念すらもなくて。ただ苦しいなっていう感じでした。
――当時、将棋とはどのように向き合われていたのでしょう。
病気になる前は、毎年長崎県の大会に出場して西日本大会や全国大会への権利を勝ち取ることができていたんです。それが、病気で叶わなくなったので大泣きして暴れて、診察中も体を見せない反抗的な態度を取ったり...。でも当時福岡の病院で院内学級に通い、住所も移していたので、福岡の大会に出られることになりました。冷静に考えると療養が一番だと思うんですが、親も病状が深刻ならば後悔を残すよりはと、出場できるように先生に交渉してくれて。入院中もインターネットで将棋は指していたんですが、久しぶりに盤を挟んで対局しました。酸素ボンベのチューブを鼻に通して、体力的にはしんどかったはずなのに、とても嬉しかった記憶があります。
――その後、お医者さまも驚かれるほど奇跡的に回復していったと。
将棋大会に出てから徐々に快方に向かって。お医者さんは「奇跡」「信じられないけど、将棋大会に出たことが結果的に良かったのかも」と驚いていました。家族の支えはもちろん、将棋という熱中できるものがあったことが心の支えであり救いになったんだと思います。
――ご家族と一緒に過ごす時間も、素の自分に戻れる時間です。対馬にお住まいでしたが、奨励会に入るためにご家族で神奈川県に移住を決断されたと本で読みました。
奨励会に通うことも一人暮らしも難しかったので、プロを目指すと決めた時に家族で引っ越すことになりました。親戚はみんな対馬にいたので、そこを離れるのは身寄りがない土地に行くということなんですよね。父には「もう帰る場所はないぞ」って言われましたし、子どもながら自分が家族にその決断をさせてしまったプレッシャーは常に感じていました。絶対に負けられないなって。
――そのとき、お父さまは52歳。大きな決断ゆえ、「もう帰る場所はない」と仰ったんでしょうね。
自分が歳を重ねた今、父のように子どもの夢のために仕事を変え、まったく知らない土地でゼロから新生活を始める、そんな行動はできないなって思います。父の決断が今に繋がっているので、本当に感謝しかありません。旅行やプレゼントなど感謝を伝える方法はありますが、純粋に将棋を頑張って活躍する姿を見せることが恩返しになると思って。そういう気持ちも、力になっています。
――今日は私服でお越しいただきました。白いTシャツがお似合いですね!
ありがとうございます。自分はファッションについてまったく知識がないので、お洒落な友人と買い物に行くんですよ。何店舗かまわって、マネキンのように試着して、彼に似合うものを教えてもらいます。シンプルな、モノトーンの服が多いです。「COMME des GARCONS」や「DENHAM」「A.P.C.」「KENZO」とか...香水も、リフレッシュできるのでたまに。甘くない香りで、友人に勧めてもらった「diptyque」「Jo Malone London」「SHIRO」のものを使っています。その友人がいなかったら、どこで何を買っていいのかさっぱりわからないです(笑)。
――フットサルコートでも撮影しました。あのウェアは...?
誕生日だったかな、高見先生にいただいたものです。ラフな感じが気に入っています。
実はスイーツファン。6個入り「もち食感ロール」もペロリ!
――では、お話も進んだところでおやつタイムに入ります。今日はローソンの「もち食感ロール」をお召し上がりいただきますが、お味はいかがですか?
...めちゃくちゃ、うまい!
――ありがとうございます!召し上がられる前にじっくり「もち食感ロール」を眺めて...というか愛しそうにご覧になっていましたが、スイーツがお好きなんですか?
そうなんですよ。これ6つ入っているの、ペロッといっちゃいますね。生クリームが好きなんです。甘すぎるとクドくなっちゃうんですけど、こちらはクリームがたっぷりでもしつこくなくて。このコクはコンデンスミルクなんですか?おいしいな...(食べ続ける)。
――そんなにもスイーツがお好きだとは、意外でした。
コロナ禍で外食できないぶん、ケーキ屋さんを巡る趣味ができたんですよ。気になるお店を調べて、足を運んで。職人さんが何十年もかけて磨いた技術が込められた結晶を、数百円でいただけるってすごいことじゃないですか?甘いものは気分転換にもなりますし、身近な存在です。そういう意味で、ローソンさんのように手軽に、本当にお安く購入できるのもありがたいです。疲れて帰るとき、ケーキ屋さんまでは足を運べなくてもローソンさんで 美味しいスイーツをいただける。コラボレーション商品を出されることもあるので、スイーツコーナーを覗くのが楽しみになっています。
――対局中のおやつの想い出はありますか?
ファンの方が、自分の好きなスイーツ店のお菓子を贈ってくださったんです。ちょうど対局が中継される日だったので、感謝の気持ちを込めて休憩時にいただきました。嬉しかったですね。
10問アンケート
インタビューで聞ききれなかった10の質問を、佐々木大地五段に伺いました。
- Q1
- お名前の由来は?
- 佐々木
- 昨日親にLINEして聞いたんですが、語感が良くて呼びやすくて、漢字が簡単だからと言っていました(笑)。
- Q2
- お好きな作品を教えてください。
- 佐々木
- 少年漫画やアニメが全般的に好きです。『ジョジョの奇妙な冒険』や『鋼の錬金術師』とか。作品の考察動画を観たりもします。
- Q3
- お好きなお店の好きな一品は?
- 佐々木
- かなりチョイスに迷いましたが、年に一度行っているのは、浅草にある「釜めし むつみ」です。「五目釜めし」が好きです。
- Q4
- ご趣味のスポーツ観戦、生で観るとしたら?
- 佐々木
- バスケが好きなので、レブロン・ジェームズ選手の試合は観てみたいです。ロサンゼルスでエンジェルスの試合と一緒に行けますね。
- Q5
- 好みの芸能人は?
- 佐々木
- テレビがないので最近の事情がわからないのですが、新垣結衣さんはドラマを拝見していたので、ご結婚されたと伺いうれしかったです。
- Q6
- チャレンジしてみたいこと、習得できたらいいなと思うことはありますか?
- 佐々木
- ブラジルに行ったときに英語ができなくて困ったので、英語ですね。あとはポーカー。
- Q7
- 最近読んだ本は?
- 佐々木
- 柚木裕子さんの『最後の証人』です。
- Q8
- いつか行ってみたい場所は?
- 佐々木
- ケニアで野生動物を観てみたいです。山崎豊子さんの『沈まぬ太陽』っていう作品で、主人公がケニアに左遷されるんですよ。もちろん左遷はイヤですが(笑)、動物が身近にいる環境が羨ましいなと思って。国内だと、知床もいいですよね。動物は飼ったことはないんですけど、『ナショジオ(ナショナルジオグラフィック)』や『ディスカバリーチャンネル』の動画を観るのも息抜きです。上野の国立科学博物館で開催されていた「海のハンター展」にも行きました。
- Q9
- 10年後、どんな棋士になっていたいですか?
- 佐々木
- 36歳...自分がどんな位置にいるかわからないんですけど、今よりもひとつでも上にいくことを目指して。後悔を残さないようにしたいです。
- Q10
- ファンの方へメッセージをお願いします。
- 佐々木
- Twitterを始めた影響もあり、コメントなどで応援の声をいただけることはひとつのモチベーションになっています。とてもありがたいです。またイベントなどでお会いして交流したいですし、結果を出すことで恩返しできればと思います。頑張ります。
写真:阿部吉泰
佐々木大地五段
1995年5月30日生まれ。長崎県対馬市出身。深浦康市九段門下。08年9月に奨励会入会。16年に四段昇段、プロデビュー。三段リーグでは次点を2度獲得し、フリークラスからのデビューだったが、一年以内に規定の勝率を上げて順位戦参加資格を得た。第45期棋王戦で挑戦者決定戦まで勝ち進んだが、惜しくもタイトル挑戦とはならなかった。居飛車党で、相掛かりが得意。師匠との絆が強く、共同でTwitterを運用。