チーム羽生VSチーム糸谷 第4回ABEMAトーナメント~本戦1回戦 第一試合振り返り~

チーム羽生VSチーム糸谷 第4回ABEMAトーナメント~本戦1回戦 第一試合振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2021年07月28日

 お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメントもいよいよ本戦が始まった。7月24日(土)に放映された本戦トーナメント1回戦第一試合は予選Bリーグ2位のチーム糸谷こと「FREESTYLE」(糸谷哲郎八段、山崎隆之八段、服部慎一郎四段)対、予選Cリーグ2位のチーム羽生「in the ZONE」(羽生善治九段、佐藤紳哉七段、中村太地七段)の団体戦の模様をお送りする。

【第1局 服部慎一郎四段―羽生善治九段】

 本戦の開幕戦ともなった第1局は、「FREESTYLE」が若手の服部を送り出したのに対して、「in the ZONE」はリーダーの羽生が自ら出陣。服部の先手番で相矢倉となった。

【第1図は▲5七玉まで】

 第1図。ここで羽生は△8八馬と入ったが、これが緩手だったか。実戦は以下▲7四歩△7六歩▲7三歩成△4二飛▲7八歩△同馬▲6七銀打△8八馬▲7八歩と進み、後手の攻めが重くなっている。後手玉もまだまだ堅いが、7三のと金の存在が見た目以上に大きいのだ。第1図からすぐに△7六歩ならば、▲7四歩には△7七歩成でよい。しかし先手はこの歩成を受けるのが難しい。

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 初戦で若手が金星を上げた「FREESTYLE」は勢いに乗る。第2局の山崎―佐藤戦、第3局の服部―佐藤戦も連破しての3連勝。勝ち越しに向けて大きな優位を築き上げた。

【第4局 中村太地七段―服部慎一郎四段】

 追い込まれた「in the ZONE」は、第4局で中村が初登場。予選C組第3試合で見せた三連闘三連勝の奇跡を再現できるか。

【第2図は△5六同歩まで】

 第2図は服部―中村の第4局。ここから▲9三香成△同歩▲5五桂でも先手が指せそうだが、▲7四歩がその両取りを上回る好手だ。この垂らしで実は見た目以上に後手が困っている。△6二金などと玉頭に備えるのは、そこで▲9三香成△同歩▲5五桂とすればよい。4三の銀に利きがなくなっているので、より効果的となる。

 服部は△7四同銀と取ったが、▲5六角△6三銀▲7四歩でいよいよ困った。次の▲3四角が厳しく、△同銀は▲5二飛成から後手玉が即詰みとなる。やむなく△5五歩と受けたが、▲3四角△同銀▲5五飛で状況はあまり変わっていない。△5四歩には▲7五飛がピッタリとなる。こうなっては手の施しようがなく、以下数手で服部が投了。中村がチームへ待望の初白星をもたらした。

敗れた服部だが、第4局終了の時点で3局指し、2勝1敗はチームに大きなアドバンテージをもたらしている。「十分すぎます。あとは任せて」と糸谷リーダー。

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【第6局 糸谷哲郎八段―羽生善治九段】

 その言葉通り、ここで満を持して登場した糸谷がリーダーの貫禄を示した。第5局では中村を破り勝ち越しへ王手をかけ、続く第6局では羽生とのリーダー対決を制し、2回戦進出を決めた。

【第3図は▲4九香まで】

 第3図は第6局の最終盤。ここでは△5四馬と引いても後手が体力勝ちできそうだが、糸谷は△7八馬と決めに出る。▲同玉に△6六香▲同銀△7六桂で先手玉に詰めろがかかった。▲7七銀の抵抗には△8四桂でいよいよ受けがない。以下▲4二と△6五桂▲5二とに△7七桂成▲同玉△6八銀まで、糸谷の勝ち。

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本戦トーナメント1回戦第一試合の最終結果は以下の通り。
第1局 服部○―●羽生
第2局 山崎○―●佐藤
第3局 服部○―●佐藤
第4局 服部●―○中村
第5局 糸谷○―●中村
第6局 糸谷○―●羽生
総合 「FREESTYLE」5勝―1勝「in the ZONE」

 次週は本戦トーナメント1回戦第二試合、予選Aリーグ2位のチーム稲葉「加古川観光大使」VS予選Eリーグ2位のチーム斎藤「ここ一番」という対戦となる。7月31日(土)17:00~の放映をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2024年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、棋王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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