チーム豊島VSチーム羽生 第4回ABEMAトーナメント~予選Cリーグ第二試合振り返り~

チーム豊島VSチーム羽生 第4回ABEMAトーナメント~予選Cリーグ第二試合振り返り~

ライター: 相崎修司  更新: 2021年06月01日

  5月29日に放映された第4回ABEMAトーナメントの予選Cリーグ第二試合、チーム豊島「スリースタービクトリーズ」(豊島将之竜王、大橋貴洸六段、佐々木大地五段)対チーム羽生「in the ZONE」(羽生善治九段、佐藤紳哉七段、中村太地七段)の団体戦の模様をお送りする。

 第一試合の対チーム木村こと「エンジェル」戦で2勝5敗と、-3の勝ち点を余儀なくされた「スリースタービクトリーズ」にとっては正念場。「前回は4連敗スタートでしたので、初めの3戦あたりで勢いをつけられれば」と豊島リーダー。

【第1局】大橋貴洸六段VS佐藤紳哉七段

4abema_0529_playback_01.jpg
いざ対局!対局場へ向かう大橋貴洸六段と佐藤紳哉七段

 第1局は大橋―佐藤戦で、振り駒の結果、大橋の先手となる。開始直前の作戦部屋で「角換わりにします」という大橋に対し、「研究が怖いので角換わりは避けたい」という佐藤。果たして戦型は4手目に△4四歩と角交換を拒否した佐藤が雁木に組み、序盤ではリードする。だが「決めに行くタイミングがまずかった」と佐藤。

【第1図は▲3六飛まで】

 第1図がその局面か。実戦はここから△5七歩▲3四歩△5八歩成▲3三歩成△5一玉▲4三とと進み、先手勝勢に。後手は既に受けがなく、先手玉を詰ますしかないが、最後の追い込みを的確に振り切った大橋が逆転勝ち。「前回(第一試合)は初戦を任されて敗れたので、ホッとした」と安堵の表情をみせる。第1図では△1八角と、先手の飛車を3筋から動かすように働きかければ、後手が優勢を維持できたようだ。

 切り込み隊長が勢いをつけたか、「スリースタービクトリーズ」は第一試合と打って変わった勝ちっぷりを見せる。第2局は豊島が中村を下し、第3局の佐々木―羽生戦、第4局の大橋―中村戦も連破。前回とは真逆の4連勝スタートである。

【第6局】豊島将之竜王VS羽生善治九段

4abema_0529_playback_02.jpg
第6局となる豊島将之竜王VS羽生善治九段

 追い込まれた「in the ZONE」だが、ここからリーダーの羽生が奮闘を見せる。第5局では佐々木に第3局の借りを返し、第6局では豊島とのリーダー対決を制した。

 第2図は第6局の最終盤。羽生が後手玉に詰めろをかけて下駄を預けた局面である。作戦部屋では「(先手玉が)詰まないように祈りましょう」と佐藤と中村が拝んでいた。

【第2図は▲6一銀まで】

 豊島は△5八飛▲6八金△7七桂成▲同玉△7六金と詰ましに出たが、▲8八玉△6八飛成▲同角で詰まない。ここで△9二飛とかわした豊島は天を仰ぎ、羽生の▲5二金を見て頭を下げた。

「チャンスが来ていたかもしれないが、逃してしまったのは残念」と豊島。第2図では単に△9二飛ならば難解な終盤が続いていた。

【第7局】佐々木大地五段VS佐藤紳哉七段

4abema_0529_playback_03.jpg
佐々木大地五段VS佐藤紳哉七段

 第7局は佐々木―佐藤戦。第1局以来の登場となった佐藤は、前局同様に後手番雁木を作戦に採る。中盤では佐々木が明快なリードを奪ったが、勝負手を連発した佐藤が徐々に差を詰めた末に佐々木が「プロにあるまじきうっかり」というミスをしてしまって、ついに佐藤が逆転して迎えたのが第3図である。後手玉は6四の角が生きている、あるいは▲3四銀が回るまでは安全なので、先手玉に詰めろを掛け続ければ勝つ。

【第3図は▲7五銀まで】

 第3図で佐藤は△8八飛と打ったが、▲8七金で「手が見えなくなった」と嘆息する。残り8秒から5秒後に△同飛成と取ったが、▲同玉に△7五歩が詰めろにならず、▲3四銀で先手勝ち筋に入った。以下は佐藤が先手玉を追いかけたが届かず、佐々木が勝利。△8七同飛成では△5九角ならば▲6八歩に△同とが詰めろで▲3四銀の余裕がなく、△6八同とに▲8八金でも△6七と▲7七桂△同桂成で先手玉が受けなしとなり、後手玉に寄りはないため後手の勝ち筋だった。

予選Cリーグ第二試合最終結果

予選Cリーグ第二試合の最終結果は以下の通りだ。
第1局 大橋○―●佐藤
第2局 豊島○―●中村
第3局 佐々木大○―●羽生
第4局 大橋○―●中村
第5局 佐々木大●―○羽生
第6局 豊島●―○羽生
第7局 佐々木大○―●佐藤
総合 「スリースタービクトリーズ」5勝―2勝「in the ZONE」

 この結果、Cリーグで一足先に予選を終えた「スリースタービクトリーズ」は勝ち点をプラスマイナスなしの0まで戻した。予選突破は第三試合の「in the ZONE」対「エンジェル」の結果にゆだねられることになったが、「in the ZONEが5勝2敗でエンジェルに勝つ」という条件(勝ち点が0で並ぶため3チームのプレーオフとなる)以外は、予選通過が確定するため、有利な状況で待つことになったといえるか。そして「in the ZONE」は「エンジェル」に5勝2敗以上で勝たないと予選敗退が確定するため、厳しくなった。

 次回は予選Cリーグ第三試合のチーム羽生「in the ZONE」とチーム木村「エンジェル」が対戦、6月5日(土)19:00からの放映をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています