チーム三浦VSチーム稲葉 第4回ABEMAトーナメント~予選Aリーグ第三試合~

チーム三浦VSチーム稲葉 第4回ABEMAトーナメント~予選Aリーグ第三試合~

ライター: 相崎修司  更新: 2021年04月27日

 4月24日(土)に放映された第4回ABEMAトーナメントの予選A組3回戦、チーム三浦「シン・ミレニアム」(三浦弘行九段、高野智史五段、本田奎五段)対チーム稲葉「加古川観光大使」(稲葉陽八段、久保利明九段、船江恒平六段)の団体戦の模様をお送りする。

 勝利チームの予選通過が決まる大勝負。その第1局は三浦―久保戦のベテラン対決となり、振り駒の結果、久保の先手に。このオーダーについて、三浦リーダーは「全く予想していなかったので、気持ちを切り替えていきます」。稲葉リーダーは「久保九段がまだ勝っていないので、ここで勝ってもらって、チームに勢いをつけてもらいたい」とそれぞれ語った。

 先手三間飛車の対抗形となった開幕戦は、久保がさばきのアーティストならぬ粘りのアーティストぶりを発揮して勝利する。これで「加古川観光大使」に勢いがついたかと見えたが、なんと第2局から第5局までは逆に「シン・ミレニアム」が4連勝。
それぞれ
第2局 ○高野―●船江
第3局 ○本田―●稲葉
第4局 ○三浦―●稲葉
第5局 ○本田―●久保
という結果である。

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第4局目の作戦会議をするチーム稲葉

【第4局】三浦弘行九段VS稲葉陽八段

【第1図は△3四玉まで】

 第1図はリーダー対決となった第4局、▲三浦―△稲葉戦の最終盤。お互いにまだ1分以上残っているが、ここで三浦は数秒しか使わずに▲4二飛成と詰めろを掛けた。対して一番怖い順は△7六桂だが(玉を逃げるとトン死)、▲同銀左と5六への利きを減らさなければ自玉は詰まず、かつ敵玉を逃す心配もない。稲葉は△8九金▲同玉△6九飛の非常手段で急所の金を抜きにかかったが、▲7九桂が絶妙の合い駒だ。以下△6七飛成▲同桂△2七銀不成に▲4三角から三浦が即詰みに打ち取った。
実は第1図では▲2六桂からの即詰みが生じていたのだが、自玉の安全を見切っての確実な勝ちを選ぶのもプロの技術といえるだろう。

 第5局が大逆転負けで徳俵に追い込まれた「加古川観光大使」の作戦部屋にはあきらめムードの苦笑しかなかったようにも見えたが、玉の頭に金が乗るまでは勝負を投げないのが棋士である。なんとここから逆に3連勝し、一気に土俵中央に押し戻した。
第6局 ●高野―○稲葉
第7局 ●本田―○久保
第8局 ●三浦―○船江
が6~8局の結果である。

【第7局】本田奎五段V久保利明九段

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第7局目の作戦会議をするチーム三浦

【第2図は▲4五桂まで】

 第2図は第7局の▲久保―△本田戦。ここで本田は△3七桂と打ったが、先手玉はまだ詰めろではない。この一瞬をついて久保は▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲同桂成△同角▲3七飛△同歩成▲3四歩と迫った。ここでは後手玉に詰めろが掛かっている。▲3四歩の局面では作戦部屋から「やべぇ~、やべぇ~よ~」という三浦の悲愴な叫びが聞こえてきた。

 第2図では△3八銀成▲同金に△3七桂ならば後手勝ち筋だった。対して▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲同桂成△同角は先手玉に詰めろが掛かっているので▲3四歩を打つ余裕がない。また△3八銀成にいきなり▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲同桂成△同角▲3四歩は△2九成銀▲同玉△3七桂▲3八玉△5八飛で後手勝勢。どこかで△6六角と飛び出すのが絶好となるのだ。

【第9局】高野智史五段V船江恒平六段

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第9局目の高野五段VS船江六段

 最終9回戦は高野―船江戦。改めて行われた振り駒の結果、高野の先手となり、矢倉模様対雁木の力戦形に進んだ。
最終盤の第3図。ここで先手玉に詰めろが掛かっているかどうか。双方ともに残り時間はわずかである。解説の田村康介七段は「▲4三銀を打って詰ませ、とやってみますか」という勝負術を指摘。

【第3図は△3七歩成まで】

 高野は▲5三桂△同角▲5一飛△同金▲同歩成△3一玉▲4一と、と詰ましに出たが△2二玉と逃げて以下も危ない筋はあれども正確に逃げれば後手玉は詰まない。第3図では田村七段指摘の▲4三銀ならば先手玉はわずかに詰まず、先手の勝ち筋だった。
チームを予選突破に導いた船江は「最後は全然わからなかったけど、どうしても勝ちたかったという気持ちがよかった」と語った。

 予選A組はチーム藤井「最年少+1」とチーム稲葉「加古川観光大使」の両チームが本戦へ進出。 次回は5月1日(土)に放映される予選B組1回戦、チーム糸谷「FREESTYLE」対チーム菅井「一刀流」の対戦をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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