決勝進出を決めるのは? ~5月16日放送、予選Bリーグ最終戦・チーム渡辺VSチーム稲葉 事前特集~

決勝進出を決めるのは? ~5月16日放送、予選Bリーグ最終戦・チーム渡辺VSチーム稲葉 事前特集~

ライター: 紋蛇  更新: 2020年05月16日

*前回の記事:5月9日放送、予選Bリーグ2回戦・チーム渡辺VSチーム天彦戦の振り返り

第3回AbemaTVトーナメントは、Bリーグの最終戦が5月16日(土)に放映される。

チーム天彦「まったり」は4ポイント獲得で決勝トーナメント進出を決めており、残る1枠をチーム渡辺「所司一門」チーム稲葉「Invictus」の直接対決で争う。ここまでチーム渡辺が2ポイントを獲得したのに対し、チーム稲葉はマイナス6ポイント。情勢はチーム渡辺が圧倒的に有利だ。

これまでに紹介した、各棋士の棋風、早指し棋戦の実績(今回は持ち時間が1時間未満の公式戦のみで、該当するのは朝日杯将棋オープン戦、銀河戦、NHK杯戦、将棋日本シリーズJTプロ公式戦、YAMADAチャレンジ杯[※終了・休止棋戦はのぞく])を再掲する。やはり、ダントツの実績を誇るのは渡辺明三冠。ただ、チーム全体を見るとチーム稲葉のほうが好成績を残している。

チーム渡辺

渡辺三冠 居飛車党のトップ棋士で、2019年度は三冠に復帰した。早指し棋戦の優勝は9回。直近3年の優勝・準優勝は2018年度に第39回将棋日本シリーズJTプロ公式戦で優勝、第12回朝日杯で準優勝。2019年度、第40回JTプロ公式戦で優勝、第27回銀河戦で準優勝。AbemaTVトーナメントは、第2回に続いての出場。

近藤七段 居飛車党で、2019年度にB級1組に昇級した。早指し棋戦の勝率は7割。最高戦績は2018年のYAMADAチャレンジ杯の準優勝。全棋士参加棋戦では2018年に第68回NHK杯戦でベスト16入り。AbemaTVトーナメントは、第1、2回からの連続出場。

石井五段 デビューしたときは矢倉と角道を止める四間飛車を好んだが、近年は居飛車の採用が多く、角換わりや相掛かりも指しこなす。早指し棋戦の最高戦績は2015年度の第9回朝日杯将棋オープン戦でベスト16、2016年度に第66回NHK杯戦でベスト16。

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チーム渡辺 写真左から:石井五段、渡辺三冠、近藤七段

チーム稲葉

稲葉八段 居飛車党。不安定な玉形でも指しこなすバランス感覚に長け、不利になっても容易に崩れない。2013年に銀河戦で優勝。2017、2019年度のNHK杯戦で準優勝。

佐々木五段 師匠の深浦康市九段譲りの粘り強い指し回しが持ち味。居飛車党で、得意戦法は相掛かり。最高戦績は2017年の銀河戦でベスト8。早指し棋戦の通算勝率は、6割6分7厘。AbemaTVトーナメントには、第1回から連続3回目の出場。

山崎八段 独特な作戦を好むオールラウンダー。逆転術にも定評がある。2004、2017年度のNHK杯戦、2017年度のJTプロ公式戦で優勝。2010年にJTプロ公式戦で準優勝。AbemaTVトーナメントには第1回に続いて、2回目の参加。

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写真左から:佐々木五段、稲葉八段、山崎八段

対戦成績

メンバー同士による対戦成績を比較すると、まず、渡辺と稲葉、山崎に差がついているのが目を引く。もうひとつは佐々木が全員に勝ち越していること。渡辺との対戦は今年1月の王位戦予選で、得意戦法の相掛かりから快勝。当時、年間成績が8割と絶好調の三冠を破り、挑戦者決定リーグ入りを果たしたのは大きい。

渡辺-稲葉 渡辺の9勝4敗で、3連勝中
渡辺-佐々木 佐々木の1勝0敗
渡辺―山崎  渡辺の11勝4敗
近藤-稲葉  過去に対戦なし
近藤-佐々木 佐々木の1勝0敗
近藤-山崎  過去に対戦なし
石井-稲葉  過去に対戦なし
石井―佐々木 佐々木の2勝1敗
石井-山崎  石井の1勝0敗

対チーム天彦戦で、チーム渡辺は先鋒に近藤、中堅に石井、大将に渡辺を据えた。チーム稲葉のオーダーは、先鋒から順に佐々木大、山崎、稲葉だった。両チームが同じオーダーにした場合、先鋒戦と大将戦は相居飛車の最新形、中堅戦は序盤から駆け引きが続いて力戦形になる可能性が高い。
チーム渡辺は、居飛車と振り飛車を指しこなす石井を正統派の居飛車党、佐々木か稲葉に当てたいところ。となれば、先鋒か大将に石井を持ってくるかもしれない。

チーム稲葉が大将戦をチーム渡辺と同じポイント数で迎えるには、先鋒戦と中堅戦で4連勝しなければいけない。そのためには、チームリーダーの稲葉をどちらかに持ってきてもおかしくないだろう。

団体戦はオーダーも勝負の大事な要素になる。渡辺が趣味の競馬予想を生かして、練りに練った采配を披露するのだろうか。予選Bリーグ3回戦「チーム渡辺VSチーム稲葉」戦は、AbemaTV将棋チャンネルで5月16日(土)19時から放送される。

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AbemaTVトーナメント

紋蛇

ライター紋蛇

2012年より、ネット中継に携わる。担当局で一番長い中継が2013年3月の第71期順位戦C級1組の森けい二九段-近藤正和六段戦で、持将棋の末指し直しとなり、終局時刻は翌日の朝5時40分。「中継は体力だ」と痛感している。

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