藤井七段が王位リーグ好スタート、折田アマがプロ試験合格、タイトル戦2戦は挑戦者が巻き返す 2月下旬の注目対局を格言で振り返る

藤井七段が王位リーグ好スタート、折田アマがプロ試験合格、タイトル戦2戦は挑戦者が巻き返す 2月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2020年02月29日

大阪王将杯王将戦、棋王戦はどちらも挑戦者が巻き返し白熱したシリーズになっています。また、折田翔吾アマがプロ棋士編入試験に見事合格を果たしました。

第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第4局

【第1図△5七角まで】

第1図は第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第4局(▲広瀬章人八段△渡辺明王将)。先手が優勢の将棋でしたが、後手も猛追して際どくなっています。次に△7九飛からの詰み筋があるので、先手は何か受けなくてはいけません。▲8九玉が「玉の早逃げ8手の得」です。以下△5九飛に▲9八玉と上がった形が深く、先手玉はかなり詰みにくい形になりました。以下は玉の遠さを生かし先手が押し切っています。これでシリーズは2勝2敗となりました。

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第4局の感想戦の様子 王将戦中継ブログより

第45期棋王戦五番勝負第2局

【第2図は4一飛まで】

第2図は第45期棋王戦五番勝負第2局(▲本田奎五段△渡辺明棋王)。駒の働きの差で先手がうまく立ち回っています。ここで▲6六歩が4六の角の利きを存分に生かした攻めで「角筋は受けにくし」です。以下△6六同歩▲6九飛で玉頭に戦力を集中させます。以下もうまく玉頭からの攻めを炸裂させ、本田五段がタイトル戦初勝利を飾っています。シリーズも1勝1敗で五分となりました。

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タイトル戦初勝利の本田五段 棋王戦中継ブログより

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渡辺棋王 棋王戦中継ブログより

第5期叡王戦挑戦者決定戦第3局

【第3図は△7二玉まで】

第3図は第5期叡王戦挑戦者決定戦第3局(▲豊島将之竜王名人△渡辺明三冠)。挑戦者の決まる第3局です。形勢の揺れ動く大熱戦でしたが、図は先手が勝ちに近付いています。▲8四銀が「玉は包むように寄せよ」に基づいた基本の寄せ。先手玉はまだ安全なので確実な手で良いのです。このまま寄せきって、豊島竜王名人が逆転の2連勝で初の叡王挑戦を決めています。永瀬拓矢叡王とのシリーズも大熱戦の予感です。

第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組

【第4図は△3二玉まで】

第4図は第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組(▲藤井聡太七段△羽生善治九段)。将棋界のスーパースター同士が初戦で激突しました。難解な将棋を先手が抜け出した局面です。どう寄せるか悩ましい局面ですが、▲6三と△2三玉▲5三とが「と金の遅早」です。手順に歩切れを解消しているのも見逃せません。以下は鮮やかに決めて藤井七段が好スタートを切っています。

棋士編入試験第4局

【第5図は△5七桂成まで】

第5図は折田翔吾アマの棋士編入試験第4局(▲折田アマ△本田奎五段)。折田アマが優勢の将棋でしたが、本田五段もすさまじい粘りを見せて土俵を割りません。しかし▲2四歩が「一歩千金」の寄せで、さすがの後手も粘りが利かなくなりました。この手で本田五段が投了。折田アマは難敵を下し、3勝1敗でプロ棋士の夢をつかみました。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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