300手を超える死闘も?ローソン将棋部が奮闘した第116回職団戦をご紹介!【はじめての職団戦 vol.10】

300手を超える死闘も?ローソン将棋部が奮闘した第116回職団戦をご紹介!【はじめての職団戦 vol.10】

ライター: 津持大和  更新: 2019年11月21日

「内閣総理大臣杯 第116回職域団体対抗将棋大会」(通称:職団戦)が11月3日(日・祝)にアリーナ立川立飛で開催されました。 本記事では大会の様子と、今まで取材してきたローソン将棋部の戦いぶりをお届けします。

最強Sクラスでリコー(1)チームが大会記録に並ぶ8連覇!

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本大会には、SからFまでの7クラスで合計413チーム、2000名以上が参加。女性も30名以上出場しており、幅広く将棋ファンが増えていることが実感できます。 あまりの参加者の多さに、2つの会場を使った本大会。熱気に包まれた会場では、至る所で熱戦が繰り広げられました。

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そんな中、最強Sクラスで優勝を飾ったのは、リコー(1)チーム

これでS級8連覇となり、大会新記録の9連覇に王手をかけました。
なぜリコー将棋部はこんなに強いのか?その秘密はこちらをご覧ください。
コラム:企業将棋部日本一、優勝経験者が10人以上。リコー将棋部の強さの秘密とは?

練習の成果を発揮できるか?ローソン将棋部の結果は?

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前々回の職団戦から追い続けているローソン将棋部に今回も密着取材。
本大会にはEクラスに1チーム、Fクラスに1チームの計2チームが参加しました。
遠山雄亮六段の指導のもと練習に励んできた部員たちは、大会で練習の成果を発揮できたのでしょうか?

初戦は快勝!2回戦では因縁のチームと再戦。

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Eクラスの初戦の相手はケア・サポートそよかぜ。将棋歴の長いベテランチームです。
ローソン将棋部はそんな相手に対し、十二分に棋力を発揮しました。

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今大会のために大阪から遠征しにきた棚原さんは得意の中飛車で攻め倒す展開に。
敵陣の急所を見極めた指し回しには、遠山六段も褒めながら見守っていました。

他の部員も得意の展開に持っていき、らしい勝ち方を積み重ねたローソン将棋部。
4勝1敗で幸先のいいスタートを切りました。

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終始優位に指し続けた三木さん。

一方、Fクラスでは300手を超える死闘が繰り広げられました。
Fクラスの大森さんは序盤から優勢でしたが、相手に粘られ決め手を逃してしまいます。

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初勝利を目指す大森さん(右) お互いに粘り、300手は優に超える死闘に。

大森さんは入玉し、秒読みに追われながらも負けないよう指し続けていきます。
最終的には相手が自分の駒を間違えて取ってしまう反則で大森さんの粘り勝ち!

「気づいたら入玉していました、負けないことだけ意識してました」と対局後に語った大森さん。「疲れましたが、大会で1勝できて嬉しいです」と笑顔で話してくれました。

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Eクラスの2回戦の相手は前々回の大会でも対戦した三菱鉛筆。互いにEクラスに昇級しての再戦となりました。

前回は3勝2敗とギリギリのところで勝利したローソン将棋部ですが、今回も非常に苦しい勝負に。
熱戦の結果、2勝2敗で決着は大将戦に委ねられました。

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熟考する大将の岩崎さんと見守る原田さん

相振り飛車の将棋となり、互いに金無双で玉を守る将棋となった本局。終局している対戦がちらほら見受けられる時間になっても「まだ中盤」といったジリジリとした展開になりました。

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駒がぶつかり始めると相手のペースになり、苦しい展開が続く岩崎さん。

終盤には、最善手を指せば局面をひっくり返せる場面もあったようですが、逃してしまい惜しくも敗戦。三菱鉛筆さんにリベンジされてしまいました。

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対局後も悔しそうに盤面を見つける岩崎さん

Fクラスのチームも次戦で敗退し、両チームともに昇級とはならない結果に。

しかし、対局後、楽しげに会話する部員のみなさんからは充実感が伝わってきて、団体戦の良さを感じられる大会となりました。

職団戦はサイドイベントも充実!

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職団戦は早いと午前中に敗退してしまいますが、負けてしまっても楽しめるのが魅力のひとつ。

本大会では恒例の指導対局物販に加え、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段による 「特別段位認定&即日免状発行会」も開催されました。

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特別段位認定&即日免状発行会は、佐藤九段がその場で段位認定した上で、免状にお客様のお名前を揮毫をする豪華なイベントになっており、参加者は真剣かつ嬉しそうに対局に望んでいました。

指導対局には郷田真隆九段や阿久津主税八段などトップ棋士も多く参加。指導対局の抽選には長蛇の列ができていました。

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郷田真隆九段

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阿久津主税八段

ローソン将棋部からは原田さんと棚原さんが当選し、佐藤紳哉七段の指導対局に参加。二人とも飛車落ちで挑戦しました。

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佐藤七段に破れてしまった棚原さんは「対局後の解説では自分の迷った手を解説してくれてびっくりしました。対局中、言葉を交わさなくても指し手で考えていることが伝わった気がして嬉しかったです。」と話してくれました。

このように棋士が優しく的確に指導してくれるので、職団戦に参加したときは、指導対局を受けたことがないという方も気軽に挑戦してみてくださいね。

まとめ

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職団戦には、本気で勝利を目指し職場の方と熱くなれたり、憧れの棋士と会って話ができたりなど様々な楽しみが詰まっています。 ぜひ一度、職場の方を誘って参加してみてはいかがでしょうか。

はじめての職団戦

津持大和

ライター津持大和

1996年生まれの福井県出身。山本博志四段の影響を受けて居飛車党から三間飛車党に転身。ゲーム、カードゲーム、野球、カフェが好き。将棋イベントとゲーム大会によく出没します。

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遠山雄亮

監修遠山雄亮六段

東京都練馬区出身。1993年に奨励会に6級で入会。1997年に初段に昇段。2005年10月に四段に昇段。長らく、日本将棋連盟モバイルの編集長としてモバイル事業に携わり、現在は、棋士会副会長としてイベント等の企画、運営を行なっている。デビュー当初から、しばらくは振り飛車党だったが、ここ近年は居飛車中心に戦っている。

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