ローソン将棋部の前に強敵現る。遠山雄亮六段も驚く実力の持ち主とは?【はじめての職団戦 vol.5】

ローソン将棋部の前に強敵現る。遠山雄亮六段も驚く実力の持ち主とは?【はじめての職団戦 vol.5】

ライター: 津持大和  更新: 2019年03月07日

第115回職域団体対抗将棋大会(職団戦)に向けて活動しているローソン将棋部の様子をお伝えするこのシリーズ。今回は青山公士さんらスクウェア・エニックスに所属する有志を中心に構成される将棋サークル(以下 スクエニ将棋部)と日本将棋連盟のサイト運営にも関わっているシンクロ将棋部の合同チームVSローソン将棋部の交流戦をお届けします。青山さんの実力や遠山六段のレクチャーに注目です!

実力者が勢ぞろい、スクエニ将棋部

今回の交流戦に来ていただいたスクエニ将棋部には、アマチュア高段者が多数在籍しており、なかでも青山さんと部長の清本さん、高さんの3人はアマ三段の実力者。将棋部は週に1回活動しているそうで、前回はじめて出場した職団戦では慰安戦で優勝するなど、実力も勢いもある強敵です。

部員には、子供のころ将棋に熱中していた方が多く、青山さんも昔からよく指していたそうです。「私の棋力は初段ぐらいだと思ってますよ」と笑顔で謙遜しつつも将棋の話題を振ると符号を使って会話したり、部員と脳内将棋をしたりなど将棋のやり込み具合が感じられました。

今回、ローソン将棋部からは10人が参戦。部員が増えてきたため、次の職団戦では2チームに分けて出場を考えているそうです。これまでの練習の成果を出し、スクエニ・シンクロ将棋部に勝ち超すことができるでしょうか。

「自分より少しだけ強い人と対局を重ねることが上達への近道です。」と語る遠山六段が棋力をもとに対戦組み合わせを発表し、交流戦が開幕しました。

青山さんは大将として、ローソンの大将・三木さんと対局。いつものようにその将棋を遠山六段の解説付きでご紹介します。

shokudan05_01.jpg
青山さん(手前左)VS大将・三木さん

遠山 振り飛車党の青山さんが劣勢の将棋を玉頭戦で逆転勝ちしました。図は△4六馬と三木さんが詰めろ(※)をかけたところです。
※詰めろ...何もしなかったら玉が詰んでしまう状態

【第1図は△4六馬まで】

遠山 ここで▲1五歩が青山さんの実力を示す素晴らしい勝負手でした。1六の地点に逃げ道を作りつつ、相手玉に迫っています。△1五同歩は▲同飛△1四歩▲同飛△同玉に▲2六玉で詰みとなります。
▲1五歩に△2四銀と受ければ三木さんに分のある形勢でしたが、時間切迫もあって▲1五歩の勝負手に誤ってしまい、逆転となりました。

shokudan05_02.jpg
感想戦を行う両者

もうひとつ対局を解説していだたきます。関西から遠隔で参加されている棚原さんと、私の対局です。

【第2図は▲5四歩まで】

遠山 大阪から将棋ウォーズを使って参加した棚原さんは、高校時代を将棋部で過ごした将棋女子。 駒得をして迎えた図で、中飛車らしく▲5四歩と中央から攻めてリードを広げました。 △同歩には▲7五角の王手飛車が強烈です。 実戦は△3二玉と逃げましたが、▲5三歩成△同銀▲6五桂と華麗なさばきを披露。 棚原さんが得意の中飛車で見事な攻めを見せて津持さんを圧倒しました。 なおリベンジマッチは津持さんの勝利で、1勝1敗の痛み分けとなりました。

ローソン将棋部リベンジなるか 第2局目

第1局目はローソン将棋部の勝者がわずか2人という結果に。これには、ローソン将棋部の部員も「職団戦Eクラスで戦うのが不安になってきました」と漏らしていました。その後は、対戦相手を入れ替えて第2局目を実施、ローソン将棋部リベンジなるでしょうか?

shokudan05_03.jpg

第2局目の中から、西井さんVS三木さんの対局を遠山六段に解説していただきました。

【第3図は△3七銀まで】

遠山 シンクロ将棋部とローソン将棋部のエース対決は一手を争う好局になりました。△3七銀は怖い王手ですが、▲1七玉△3八金▲3四歩が攻防のアヤを見切った見事な手順でした。

△3八金と迫られても、角・銀を渡さなければ先手玉は詰まない格好です。そこで▲3四歩と攻めに転じると後手玉は受けがきかず、一手勝ちとなりました。西井さんは終盤に力を発揮する将棋で、劣勢の将棋を最後にひっくり返しました。

shokudan05_04.jpg

全対局終了後の振り返りでは、スクエニ将棋部の実力に舌を巻いていた遠山六段。「職団戦本番では当たらないように(笑)」と対戦相手にならないことを願うなど、遠山六段から見てもスクエニ将棋部は強かったようです。

shokudan05_05.jpg
振り返る遠山六段

おわりに

交流戦が終わると「人と指すのはやっぱり楽しいですね」と参加者の皆さんは口をそろえて話されており「将棋ゲーム開発してください!」と青山さんに将棋ゲームを熱望する声も多く聞かれました。

交流戦は、スクエニ将棋部相手に負け越しと悔しい結果に。ここまで大敗を喫したことがなかったローソン将棋部。「職団戦で当たった時には、リベンジできるように頑張ります」と部員は早くもスクエニ将棋部へのリベンジに燃えていました。職団戦まであと2ヵ月、連続昇級を目指すため、遠山先生による特訓が始まります!次回は職団戦直前の練習法について遠山六段に伺います。

はじめての職団戦

津持大和

ライター津持大和

1996年生まれの福井県出身。山本博志四段の影響を受けて居飛車党から三間飛車党に転身。ゲーム、カードゲーム、野球、カフェが好き。将棋イベントとゲーム大会によく出没します。

このライターの記事一覧

遠山雄亮

監修遠山雄亮六段

東京都練馬区出身。1993年に奨励会に6級で入会。1997年に初段に昇段。2005年10月に四段に昇段。長らく、日本将棋連盟モバイルの編集長としてモバイル事業に携わり、現在は、棋士会副会長としてイベント等の企画、運営を行なっている。デビュー当初から、しばらくは振り飛車党だったが、ここ近年は居飛車中心に戦っている。

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています