取材協力伊藤沙恵女流二段
「負けてばかりじゃいられない」伊藤沙恵女流二段、初タイトルへの強い想い【女流棋士とデザート】
ライター: マツオカミキ 更新: 2019年02月08日
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ローソンのプレミアムロールケーキを食べながら、和やかな雰囲気で女流棋士にお話を聞くこのシリーズ。今回は伊藤沙恵女流二段のインタビューをお送りします。高見泰地叡王ら同年代の活躍に対する想いや、自身のタイトル挑戦についての胸の内も明かしてくれました。
「一緒に頑張ってきた仲間」同世代棋士への想い
――プレミアムロールケーキ、召し上がってみてください。
いただきます。スポンジがふわふわ! 甘いものが好きなので、幸せです。
――デザート、どんな時に食べますか?
カフェに行った時に、友達とお茶しながらケーキを食べることが多いです。特に果物系のタルトが好きで。これからいちごのシーズンだから、いちごデザートが楽しみなんです。
――棋士や女流棋士仲間とも、カフェに行ったり?
いえ、同世代の将棋仲間とは、食事に行くことの方が多いですね。昨日も高見泰地叡王や、囲碁の同年代棋士の方々と一緒に食事をしました。
――高見叡王は同い年ですもんね。同世代棋士だと、他には‥‥
あとは、三枚堂達也六段や八代弥六段も同い年です。年は1つ下ですが、佐々木勇気七段も小さい頃から一緒に将棋を続けてきた棋士です。
――同世代棋士とご飯に行く時は、将棋についてお話されることも?
将棋の話は、少ないですね。身近な人の対局の話がちらっと出ることはありますが、戦法について語ったりはしないです。同年代と話す時は、アドバイスしたり、将棋論を語ったりするんじゃなくて、もっと他愛もない話ばかりなので(笑)。
――2018年には高見泰地叡王がタイトルを獲得されましたが、同年代の活躍は刺激になりますか?
そうですね。刺激にもなりますし、高見叡王がタイトルをとった時は、自分のことのように喜びました。小学生の時からずっと一緒に頑張ってきた仲間なので。同世代の活躍によって「自分も頑張ろう」という気持ちになります。
勝利へのプレッシャーで押しつぶされそうな日々
――将棋を始めたきっかけは、お兄さんに教えてもらって、ということでしたよね。
はい。私が物心つく頃には、もう兄が将棋を指していたので、自然と自分も指すようになりました。兄は5歳も年上なので、どうしても勝てなくて‥‥。当時は「勝ちたいな、強くなりたいな」という気持ちで、将棋をやっていたと思います。
――奨励会入りも、お兄さんを追いかける形で。
兄が奨励会に入ったので、私も、という感じでした。
――これまで将棋を続けてきて、挫折したり、つらくなったりした時期はありましたか?
結構ありましたね。アマチュアの頃は将棋そのものを楽しめていたのですが、特に奨励会に入ってからは、苦しい時期も多くなりました。
――苦しい時期が増えたのは、どのような理由からでしょうか。
アマチュアの頃は、負けても「次の対局で勝てばいい」と思えるので、悔しくても苦しさはなかったんです。でも、奨励会では負けると降級してしまうので、勝たなきゃいけない状況になります。「負けてはいけない」というプレッシャーで、押しつぶされそうになった時期もありました。特に1級から2級に降級した時は、苦しかったですね。
――降級した時は、どのように自分を奮い立たせましたか?
私の場合は、周りの方々に支えていただいたからこそ、「もう一度頑張ろう」と思えました。家族や、同世代の将棋仲間、あとはお世話になっている道場の方々に「あきらめたら、もったいないよ」「落ち込んでいる場合じゃないよ」と励ましてもらって。そのおかげで、もう一度1級に復帰することができたんです。
ただ、2014年に年齢制限の21歳が近づいてきてしまって、「9月の第2例会で3連勝できなかったら退会する」と自分で決めました。結果、残念ながら2勝1敗。10月の誕生日を迎える1カ月前に、奨励会を退会しました。しかし、自分の中では一生懸命にやった結果だったので、悔いはありません。ある意味、そこで気持ちの整理ができて、何かが吹っ切れたように思います。
「負けてばかりじゃいられない」悲願のタイトルへ
――憧れの棋士や女流棋士、もしくは「こうなりたい」という女流棋士像はありますか?
昔からずっと、師匠の屋敷伸之九段に憧れています。師匠はとても優しく、怒ったところを見たことがなくて、いつもニコニコしているので逆に怖くなるぐらい(笑)。もちろん将棋も強くて、史上最年少でタイトルを取っているのもかっこいいです。弟子にしていただけて、本当に光栄だなと感じます。
――屋敷九段とは、普段どのようにコミュニケーションを取っていますか?
師匠とは頻繁に連絡を取り合うわけではないのですが、いつも優しく支えていただいています。ちなみに、師匠の奥様からは、たまに連絡をいただきます。その中で「今、師匠がこう言ってるよ」と、奥様を介して師匠のお言葉をいただくこともあります(笑)。
――伝言ゲームのような感じなんですね(笑)。師匠以外には、憧れている人はいますか?
特定の人物ではなくて、ざっくりしたイメージになってしまうのですが‥‥、私、しっかりしている人になりたいんです。
――しっかりしている人‥‥?
はい。ずっと将棋ばかりやってきたので、将棋以外のことは全然だめで。
――勝手に「しっかりしている人」のイメージを持っていたので、意外でした。
たまにそう言っていただくんですが、実は全然しっかりしてないんですよ(笑)。忘れ物も多いし‥‥。だから、もっと将棋以外のことも、ちゃんとできる人になりたいです。とはいえ、まずは将棋のことですね。もっと強くなって、タイトル獲得を目指したいと思います。
――やはり、今目指すもっとも大きな目標は、タイトルの獲得。
はい。どうしてもタイトルを取りたいので、今はそれが一番大きな目標です。
――過去にも何度かタイトルに挑戦されていますよね。タイトル戦で何度も対局している里見香奈女流名人に対しては、特別な想いがあったりされますか?
里見女流名人には負け続けているので、いつまでも負けてばかりではいられないなと思っています。これまで何度も悔しい思いをしてきているので、結果を残したいです。
まとめ
ピシッと伸びた背筋で、ゆっくりと言葉を選びながらお話されている様子が印象的だった伊藤女流二段。最後に「負けてばかりではいられない」とお話された時に、一瞬ピリッとした勝負師の顔になり、「かっこいい」と感じました。「プレミアムロールケーキ」を差し入れてくれたローソンクルーのあきこちゃんには、こんなメッセージをいただきましたよ。
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ローソン×日本将棋連盟 コラム
ライターマツオカミキ