取材協力上田初美女流四段
「夫婦であり、将棋仲間でもある」上田初美女流四段が語る、棋士夫婦の日常
ライター: マツオカミキ 更新: 2019年01月20日
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ローソンのプレミアムロールケーキを食べながら、和やかな雰囲気で女流棋士にお話を聞くこのシリーズ。今回は上田初美女流四段のインタビューをお送りします。現在2人のお子さんと、夫・及川拓馬六段と4人暮らしの上田女流四段。夫婦共に棋士・女流棋士であるご家族の日常や、30代をどう過ごしていきたいかなどについて、お話いただきました。
2歳の娘が「将棋やる!」夫婦共に棋士・女流棋士の上田家の日常
――プレミアムロールケーキを召し上がっていただきながら、お話聞ければと思います。
よろしくお願いします。生クリーム系のデザートが好きなんですが、プレミアムロールケーキは食べたことがなかったので嬉しいな。生クリームたっぷりで幸せですね!
――甘いもの、どんな時に食べますか?
だいたい、夜に育児の息抜きで食べます。0歳と3歳の女の子がいるのですが、子どもの相手をするのには相当なエネルギーが必要で。だから、甘いものを食べてホッと一息つく瞬間は、癒されます(笑)。
――育児の息抜き、甘いものを食べる以外にも何か方法がありますか?
今日のように、仕事などで外に出かけるのも息抜きになります。仕事がない時でも、疲れてきたら「ちょっと外に行ってくるね」と夫に伝えて、ひとりでカフェに行ったり。子どもと過ごすのももちろん楽しいですが、ひとりの時間や仕事の時間も私には必要なので、そういう時間がいいリフレッシュになっています。
――今日は、夫・及川拓馬六段がお子さんのお世話を?
そうです。夫婦や子どもの予定をGoogleカレンダーで共有していて、どちらかが子どもの面倒を見られるように調整し合ってます。夫はもともと子ども好きなので、本当に助かっていますね。長女が2歳になった頃からは、もう将棋も教えているみたいで。
――2歳から、もう将棋を!
やっぱり両親が家で将棋の勉強をしているし、駒や盤もたくさん置いてあるので、子どもも自然と興味を持つんですよね。「将棋やる」って自分から言ったので、夫が駒の並べ方や動かし方を教えています。夫は以前子どもスクールで教えていたので、子どものペースに合わせて教えるのが上手なんです。
――将来的に、お子さんにも将棋をやってほしいと思いますか?
特には思っていないですね。でも、本人が興味を持てば、やらせてあげたいです。ただ、私は子どもに教えるのが得意じゃないので、引き続き教える役割は夫に任せます(笑)。
「夫婦であり、将棋仲間でもある」夫・及川拓馬六段との関係性
――お子さんに将棋を教えている話が出ましたが、ご夫婦で指すことはありますか?
長女が生まれる前は、よく指してましたね。夫が奨励会三段の頃から付き合っていたので、その頃は相当指していたと思います。棋士同士の夫婦のなかでも、夫婦で指した回数で言えばダントツじゃないかな。
――最近は、指す時間もあまりないでしょうか。
そうですね。指すとしても、子どもが寝てからなので‥‥。ただ、それぞれの将棋の勉強もあるので、2人とも同じ部屋で自分の将棋盤に集中してることも多いです。背中を向け合って、駒を指す音しか響かないみたいな。たぶん、普通の人から見たら、ちょっと異様な光景ですよね(笑)。
――たしかに(笑)。
あ、でも、夫が対局から帰ってきて「ちょっと、今日の将棋について考えたいんだけど、付き合ってもらってもいいっすか?」って言いながら、おもむろに一寸盤を私の前に出して、棋譜を並べながら一緒に考えることはありますよ。
――その日の対局を、一緒に振り返る感じでしょうか?
はい。「この局面でどうすべきだったか」を自分の中で整理するために、お互いがお互いを使ってます。同世代の棋士仲間とやるような感想戦と同じ感じです。あと、夫の場合は単純に「今日の会心譜」を自慢したい時にもそう言ってきますね(笑)。
――今日の会心譜!(笑)
「今日の俺の将棋、強かったよ!」みたいな。だから、将棋を通じたコミュニケーションは多いけれど、指す機会は減っているかな‥‥。あ、でも、スマホアプリの「将棋ウォーズ」で対局することはあります。それも「指そうよ」と言って指すわけではなく、夫から嫌がらせをされている感じですけど(笑)。
――い、嫌がらせ‥‥?
私が家で「将棋ウォーズ」をやる時に、対局開始ボタンを押すところを盗み見た夫が、同時に対局開始ボタンを押してきて‥‥(笑)。
――タイミングを合わせてくるんですね(笑)。
そうなんですよ。段位が近いので、タイミングを合わせると、結構当たっちゃうんですよね。どうして隣にいる人とアプリを通じて将棋を指さなきゃいけないんだ‥‥って思いますけど(笑)。しかも、私は無料会員なので1日に3局しか指せないんですよ。そのうちの大事な1局を、夫に奪われるという‥‥。たぶん、これまでに10局近く夫と指してる気がします。
――高度な嫌がらせですね(笑)。
本当に(笑)。それで、お互いが無言で指して、対局が終わってから「今、変な人と当たんなかった?」「割と骨のある人と当たったよ」みたいな感じで。
――(笑)。でも、素敵な関係性ですね。対等で、友達のような雰囲気もあって。
よく私の方が夫を尻に敷いてそうって思われることが多いようなんですけど、全然そんなことはないんです(笑)。お互いに言いたいことは言い合ってますからね。うちは夫婦であると同時に、将棋を研究する仲間であるという認識がお互いにあるんだと思います。将棋仲間みたいな感じですね。
30代は、わがままに。これから目指すものとは
――今年30歳になられたとのことですが、どのような30代を過ごしたいなど、目標はありますか?
私、29歳の頃からずっと、夫に「30代は、将棋をやる」と宣言しているんです。
――将棋に集中する、ということでしょうか?
30代は将棋をあらためて頑張りたいんです。これまで、何かひとつのことを「頑張ったな」と思えるまでやりきった経験が、これまでの私にはなくて‥‥。
――えっ、それは意外でした。
このままなんとなく生きていて、自分が死ぬときに「もっと将棋頑張れば良かった」と思うのは嫌だなと思って。そうなるぐらいなら、精一杯頑張って、それでも届かなかったと後悔する方がいい。だから、「30代は、将棋をやる」と。
――子育ても大変な時期に、あらためて将棋に注力すると宣言できるのは、とてもかっこいいです。
言葉にすることで、自分を奮い立たせている感じですけど(笑)。振り返ってみると、20代の頃は、どういう女流棋士になりたいとか、女流棋士として何ができるのかを考えながら動いてきました。対局はもちろんですが、普及のお仕事もたくさんやらせていただいて、さらに女流棋士会の役員も務めさせていただきました。
でも、30代はもうちょっと、わがままになろうかなと思っているんです。自分が納得するために、将棋をやる。自分のエゴではあるんですが、そういう10年間にしたいなと思っています。
まとめ
終始やわらかい雰囲気でインタビューに応じてくださった上田女流四段ですが、「30代は自分が納得するために将棋をやる」とお話しされた時に、それまで以上に凛とした表情になったのが印象的でした。「プレミアムロールケーキ」を差し入れてくれたローソンクルーのあきこちゃんには、こんなメッセージをいただきましたよ。
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ローソン×日本将棋連盟 コラム
ライターマツオカミキ