100期を懸けた羽生VS初竜王を目指した広瀬。一進一退の白熱した第31期竜王戦七番勝負を振り返る【後編】

100期を懸けた羽生VS初竜王を目指した広瀬。一進一退の白熱した第31期竜王戦七番勝負を振り返る【後編】

ライター: 渡部壮大  更新: 2019年01月07日

注目対局プレイバック

大熱戦となった第31期竜王戦七番勝負。前回は第4局まで振り返ったので、今回は第5局からの戦いを振り返っていく。
※肩書・段位は対局当時のもの

第5局は石川県七尾市「和倉温泉 加賀屋」。角換わり腰掛け銀が続くシリーズだったが、先手の羽生がここで矢倉を志向。ついに戦型が変わった。後手の広瀬が急戦を狙い、難解な中盤戦へ。しかし、羽生が意表の好手を連発し優位に立った。

【第1図は△4四銀打まで】

図は2一の成桂が飛車で取られる形になっていて忙しい。ここで▲7一金打が異筋の好手。飛車の横利きを止めれば▲3一角が実現するという意味だ。実戦は△5五角▲7七歩△7一飛▲同金△4五銀としたが、▲3一角△3二玉▲2二飛から羽生が寄せきって制勝。妙手連発で再び白星を先行させた。

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タイトル防衛に王手をかけた羽生 竜王戦中継ブログより

第6局は鹿児島県指宿市「指宿白水館」。前期の決着局となった第5局と同じ場所で、羽生永世七冠が誕生した地だ。前局に続き羽生が変化し、戦型は横歩取りとなった。広瀬は流行の青野流を採用し、早い戦いとなる。

【第2図は▲4五桂まで】

図は飛車と桂2枚が中央に殺到し、誰もが憧れるような分かりやすい攻めだ。以下△4二銀▲5三桂右成△同銀右▲同桂成△同銀▲7八銀打で飛車を捕獲。難しいが以下は先手に形勢が傾いて広瀬快勝。竜王戦七番勝負史上最速で、初の2日目昼食休憩前に投了となった。これで3勝3敗のタイに。大勝負にふさわしく、フルセットの激闘となった。

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終局後の様子 竜王戦中継ブログより

100期か、無冠か、将棋史上に残る大一番、第7局の舞台は山口県下関市「春帆楼」最終局ということであらためて振り駒が行われて、先手を得たのは広瀬。これまで4度出てきた角換わり腰掛け銀となった。決着局にふさわしく、形勢不明の難解な戦いが続く。

【第3図は△6三同金まで】

後手が手厚い陣形を敷いているが、ここは先手がチャンスを迎えている。図は▲6三歩成△同金と成り捨てたところ。ここで▲1五歩△同馬▲2四歩△同歩▲6六銀が気持ちの良い攻めで、一気に先手が優位に立った。△6六同銀(△同金)なら▲同飛で、金駒を持てば2三に打って後手玉が詰む。また、▲6三歩成としておいた効果で▲6六同飛が金取りとなっており収拾がつかない。実戦は△4四歩▲7五銀△4五歩と粘りに出たが、▲6三飛成△3二金▲5四龍で先手勝勢。羽生は最後の最後まで指し続けたが広瀬は逆転を許すことなく押し切った。

広瀬は2010年の第51期王位戦以来8年ぶり2度目のタイトル獲得となった。一方羽生は27年ぶりの無冠に。平成最後の一年で将棋界は戦国時代となったが、ここを抜け出すのは誰になるだろうか。

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羽生は約27年ぶりの無冠に 竜王戦中継ブログより

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広瀬新竜王。竜王獲得者の誕生は9人目 竜王戦中継ブログより

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生六段

棋士・六段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。

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