藤井聡太が佐藤名人に勝利!叡王戦ではニュースターが誕生した2018年1月を振り返る

藤井聡太が佐藤名人に勝利!叡王戦ではニュースターが誕生した2018年1月を振り返る

ライター: 生姜  更新: 2018年12月31日

2018年振り返り

2018年も今日で最後。早いものですね。みなさんは今年の将棋界を覚えていますか。31年ぶりに複数タイトル所持者がいない群雄割拠の状態になったり、羽生善治竜王(肩書は当時)が通算獲得タイトル100期に挑んだりなど、さまざまな出来事が起こりました。このシリーズではそんな2018年を1か月ごとに振り返っていきたいと思います。では早速、2018年1月の将棋界を見ていきましょう!

藤井聡太四段、佐藤天彦名人に勝利(2018年1月14日)

まずは第11回朝日杯将棋オープン戦準々決勝の一番。ん?藤井七段の段位が違うって?当時はまだ四段だったのです。1年で四段から七段まで昇段しただなんて、誤植だと思ってしまいますね。そんな15歳(当時)の少年は時の名人を相手にします。

【第1図は△1八角まで】

局面は終盤戦。ここまで堂々たる指し回しで優勢のまま終盤戦に。ここで飛車を逃げずに▲4三銀が決め手でした。▲5五桂の詰めろなので△6一銀と逃げ道を広げましたが、▲4二銀成と角を取った手がまた詰めろ。△2九角成に▲8一角まで藤井四段の勝ちとなりました。2017年は29連勝を記録し、2018年の初対局は名人に勝利。いったいどこまで強くなるんだとおおいなる期待を抱かせてくれました。

蛸島彰子女流六段、最年長勝利(2018年1月15日)

2017年12月、蛸島彰子女流六段は今期の女流名人戦の予選の対局を最後に公式戦を引退することを発表しました。蛸島女流六段といえば、女流棋界を引っ張ってきたレジェンド。将棋界に衝撃が走りました。引退を発表してから迎えた1月15日。相手は千葉涼子女流四段と強敵でしたが、得意の中飛車を採用し、最新形の将棋に持ち込んでリードを奪います。なお、この将棋に負けると現役引退という状況でした。

【第2図は▲3四角まで】

▲3四角と打たれたところ。飛車取りと▲6一角成△同銀▲5一竜を狙った一着で後手が困ったかに見えましたが、△6五金が狙いの返し技でした。取られそうな5六飛で5一銀にヒモをつけつつ、▲5六角に△同金と取れるようにしています。引退だなんてもったいない、そんな声が聞こえてきそうな名局でした。この将棋に勝ち、最年長勝利を更新(71歳9ヵ月)。蛸島女流六段は次戦、山口恵梨子女流二段に敗れて約43年の現役生活にピリオドを打ちました。

ニュースター誕生(2018年1月24日、1月29日)

第3期叡王戦は2人のニュースターが誕生しました。まずは金井恒太六段。これまで金井六段は六段戦予選で村中秀史六段、村田智弘六段、千田翔太六段、永瀬拓矢六段(現七段)、本戦では第2期の叡王である佐藤天彦名人、佐藤康光九段と強豪を破っての勝ち上がりでした。準決勝の相手は行方尚史八段。タイトル戦出場2回、棋戦優勝2回の経験を持つ強豪です。しかし、金井六段の勢いは止まりません。

【第3図は▲2六歩まで】

先手が▲2六歩と打ったところです。銀桂交換の駒損ながら、竜を作っているのが後手の主張。本来なら竜を大事に△3四竜と引いておきたいところですが、金井六段の指し手は△3六竜。勇気をもって踏み込んだ一着といえるでしょう。竜が狭くなったのでこの先リスクが伴います。この将棋に勝てば初のタイトル戦の舞台に立つ。その重圧は計り知れません。それでも以下▲3三角成△同桂▲3七金に△4八角と踏み込み、90手で堂々の勝利。初のタイトル戦出場を決めました。

もうひとりは高見泰地五段(肩書は当時)。こちらも本戦で豊島将之八段(現二冠)、渡辺明棋王を破っています。準決勝の相手は丸山忠久九段。元名人の実力者を相手に高見五段は圧巻の指し回しを見せました。

【第4図は▲5八金まで】

図から△8六歩▲同歩△8八歩▲8八同金△8六飛と高見五段が攻めます。▲8七歩と受けるのは△7六飛▲同歩△6七歩成▲同金△8八角成で悪いので▲8七金と受けますが、△8二飛▲8六歩に△6二飛と6筋に転回。▲8六金に△6七歩成がうまい。▲6七同金は△6六歩▲同銀△同角▲同金△同飛と2枚換えで悪いので、▲6七同銀ですが、そこでまた△8二飛と揺さぶります。これで先手が困っているのです。▲8七金は△8六歩ですし、金を横に逃げるのも△8八飛成です。実戦は▲8七歩と進みましたが、△8八歩で桂取りが確定し、後手の優位が確立されました。

長手数進めてしまいましたが、これはぜひ盤上で流れを味わってほしい名手順です。後手は歩と飛車の往復だけで先手陣を攻略してしまったのです。以下も緩みなく迫り、腰の重い丸山九段を相手に76手の短手数で勝利。この恐ろしい内容に"高見叡王か"、と頭をよぎった方も多いのではないでしょうか。この将棋は多くの棋士が脱帽したと聞きます。

第3期からタイトル戦に昇格した叡王戦。その舞台のカードは金井恒太六段と高見泰地六段(タイトル戦挑戦により六段に昇段)に決まりました。

次回は日本中が祝福した、とある方の受賞があった2月を振り返りましょう。

生姜

ライター生姜

1993年生まれ。将棋連盟モバイルを中心に活動する中継記者。2018年現在は最年少の記者。棋士の食事注文に肉生姜焼き定食があると反応する。

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