藤田綾女流二段 × 女性将棋ファン対談「観る」より「指す」を愛してほしい

藤田綾女流二段 × 女性将棋ファン対談「観る」より「指す」を愛してほしい

ライター: 伊佐知美  更新: 2018年06月22日

藤田女流二段インタビュー

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名人戦は熱戦の末、佐藤天彦名人の防衛となり、今期の順位戦もいよいよ開幕しました。7月には王位戦の番勝負が始まり、竜王戦は挑戦者決定トーナメント出場者も出揃うなど、毎日見どころたっぷりの将棋界。

ニュースを一つひとつ追いかけるのは大変なこの時期、「見逃したくない将棋ニュースがパパっと見られる」と将棋ファンの間で大人気なのがスマートニュースの将棋チャンネル。

そんなスマートニュースのスポンサードで始まった藤田綾女流二段の特別連載インタビュー最終回は、昨今急激に増えつつある女性将棋ファンの方と一緒に、将棋愛について語っていただきます。

将棋ファン必見のロングインタビュー対談、ぜひお楽しみください。

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取材協力 藤田綾女流二段

1987年3月生まれ。 東京都大田区出身の女流棋士。
1998年10月に女流2級(最年少記録)。2016年8月に女流二段に昇段。
2016年4月からNHK杯戦の司会を務める。

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取材協力 藤田華子

栃木県出身、将棋ファンの編集者。平日は仕事と将棋の両立を目指し奮闘中、休日は大盤解説会や碁盤店、将棋古書店などに足を運び、将棋談義に花を咲かせています。いまは駒作りに興味津々。

近年、将棋ファンが増えてきた

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左)藤田女流二段 右)藤田華子さん(以下、華子)

藤田女流二段 はじめまして、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

華子 よろしくお願いいたします。

藤田女流二段 将棋は、いつ頃から指していらっしゃるんですか?

華子 小学生の時に遊びで指していて、大人になってからは、将棋の小説を読んで棋士という生き方に興味を持ったのがきっかけで将棋を指し始めました。でも本格的に勉強を始めたのはこの2年ほど。仕事もあるので、通える範囲で吉祥寺の将棋スペース「将棋の森」に通っています。

藤田女流二段 へぇ! 高橋和女流三段の将棋スペースですね。

華子 はい。ずっと将棋は好きだったのですが、あまり誰かと共有できる機会がなくて。本の町・神保町に「アカシヤ書店」という将棋専門の古本屋があるのですが、そこに通って店主のおじちゃんと話すとか(笑)。本当にそれくらい。

でも、最近は将棋好きな女性も増えてきたので、将棋イベントで知り合って仲良くなる、ということも多いです。

藤田女流二段 うんうん。将棋の魅力の1つは、年代や性別を超えて「将棋という共通言語」で盛り上がれること。でも、やっぱり将棋について語れる同世代、しかも同性の方と知り合えるのはうれしいですよね......! だから、今日の対談は私もとっても楽しみにしていました。

将棋をブームで終わらせないために、私たちに何ができるだろう?

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華子 藤田女流二段が連載の第一回・二回でお話されていた通り、今はスマートニュースに将棋チャンネルができたことなどもあって、情報収集の方法や出会いのきっかけが変わってきましたよね。

藤田女流二段 そうですね。「将棋クラスタ」は輪になっている気がしていて、アットホームだなぁって感じます。いい意味で敷居が低くなってきたというか。

でも、じつはそうやって将棋ブームを実感する一方で、「将棋をブームで終わらせたくない」という気持ちも強くて......。

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華子 とっても分かります。

藤田女流二段 羽生善治竜王や藤井聡太七段などの活躍も相まって、最近将棋に興味を持ち始めてくださった方が増えているなと感じます。

でも、「ブームが去ったら関心がなくなる」というのは寂しいので、いかに将棋を好きになってくれた方が、長く将棋を続けたいと思う環境作りができるかが鍵なのかなと。

今はいろんなニュースがひっきりなしに出るからいいけれど、それが落ち着いた時にどうなるかですよね。惹きつける何かがあったらいいんだけど......。難しいですね(笑)。

華子 女性ファンの間で、「詰め将棋ダイエットって流行るかなぁ?」って話したことがあります。将棋は脳を使うから、カロリーをすごく消費します。大会に出た後はみんなで「ちょっと顔ほっそりしたんじゃない?」って言い合うことも。

頭を使うと、表情に出るんじゃないですかね。私たち将棋ファンは結構それを信じていて、「詰め将棋はダイエットの可能性を秘めている説」は、かなり濃厚だと考えています......!

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藤田女流二段 それはおもしろいですね(笑)。対局すると1〜2キロ痩せるって先生もいますから、体力消費という点でダイエットに通じる部分はたしかにあるのかも......。

華子 あとは、「インスタ映えする棋譜ができた!」なんて話をしたこともあります。

藤田女流二段 インスタ映え! たしかに、見た目が美しい棋譜ってありますからね。

華子 個人的には、「日本人みんなが三手詰めできるようになったらいいのに」という野望もあるんです。もし小学校で将棋の授業があったら、実現できそうじゃないですか?

藤田女流二段 日本人みんなが三手詰め(笑)。いいですね、アイディアがたくさん。

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藤田女流二段 でも、将棋は集中力や忍耐力、先を読む力がつくと思うから、お子さんの教育面でも理想的だなとは私も感じています。実際に「将棋を始めてから、お子さんの集中力が持続するようになった」という声も多く聞くんですよ。

相手がいることなので、勝っても喜びすぎない、顔に出さないとか、そういった日本らしい奥ゆかしさや配慮などを学べる点や、「負けました」と自ら口に出すなど、「潔く負けを認める」経験の積み重ねも貴重ですね。

物語として将棋を観ると、新たな一面が見えてくる

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華子 あとは、将棋を物語として観るのもすごく素敵だなと感じています。将棋ファンは、将棋が好きなことはもちろんですが、棋士同士の対局の積み重ねの歴史や、その裏に見え隠れする感情の揺れなど、ストーリー性・棋士の人間性に惹かれている人も多いと思うんです。

藤田女流二段 わかります。そういったところまで気にして観る目線があると、対局が終わる直前に棋士が「負けました」と言葉を発する瞬間など、一緒に感情が揺れたりしますよね。

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華子 わかります......! お茶をすすって。

藤田女流二段 そうそう。喉を潤して、一呼吸置いてから言葉を発するとか、そういう場面を観ると胸にくるものがあります。

華子 そう......! 本当に、わかります......!!

藤田女流二段 「この人は、もう負けを悟ったんだな」と雰囲気で伝わってくることもありますよね。

実際に対局を終える時、言葉が出ないこともありますよ。自分の指したい手を指して負けたなら納得できるけど、最後のさいごに間違えてしまったとかだと、どうしても切り替えるのが難しい。

華子 人間ドラマ、ですよね。一局終えたあとの先生の表情を観ていると、「あぁ戦いを終えられたんだな」ってぐっときます。

できることなら、将棋は観るより指してほしい

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藤田女流二段 「将棋を観るのが楽しい」というファンの方が増えてくださって、本当にありがたいです。でも、将棋の本当の楽しさは、やっぱり指すことで理解できるのかなと。だから、次の段階として、駒の動かし方だけでも覚えてもらいたいなって。

華子 将棋を学ぶのにちょうどいい書籍『親子で楽しむはじめての将棋(NHK将棋シリーズ) 』も出版されましたし!

藤田女流二段 なんだか、宣伝みたい......!(笑)恥ずかしいな。でも、本当の醍醐味は指すことなので。対局は見ているのももちろん楽しいけれど、私は指してほしい。負け続けるのが嫌という気持ちが芽生えるときもありますが、今ならコンピューター相手にも指せますし。

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華子 私は時々、コンピューターを最弱に設定してプレイしたりします(笑)。

藤田女流二段 そうそう。負けても気にしなくていいんだけどね。

華子 でも、私は真剣に指し始めてから、観るのがもっとおもしろくなりましたよ。

藤田女流二段 そうなんですか? 

華子 はい。なぜ、今この手を指すのだろう? と少しだけ考察できるようになりましたし、ほかにも、将棋飯で何を食べたとか、タイトル戦でのお召し物とか、勝った負けただけじゃなくて、「見えない」思考の部分まで理解したいと思うようになった気がするんです。

藤田女流二段 対局の裏にあるストーリーを、より深く楽しめるようになった、みたいな。

華子 そうです! あとは、勝利体験って社会人になるとなかなかできないから、それが得られるというのは仕事にも効いてくると思います。

藤田女流二段 「勝負する」って、なかなかないですもんね。誰かと向かい合って長く座ることも。

だから、将棋は観るよりぜひ指してほしい。これから、一人でも多く将棋を好きになって、そして指してくれる方が増えてくれるように、私も頑張りたいと思っています。

お二人とも、ありがとうございました!

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ここまで読んでくださった読者のみなさま、ロング対談となりました。完読ありがとうございました。

また、最終回の今回も、藤田女流二段のイラスト色紙プレゼント企画は続行中! 将棋ファンのみなさまに向けて、藤田女流二段が描いてくださったイラスト色紙がこちらです。

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一番好きな駒は「桂馬」です

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NHK杯将棋トーナメントの解説を担当しています。ぜひ一緒に楽しく将棋の世界を覗きましょう

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対談を終えた2人と、連載全回の色紙イラストで記念写真

※記事末尾に応募方法を記載しています。

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全三回の藤田女流二段インタビュー連載も、これにて終了です。

将棋を「指す」を楽しむ第一歩も、まずは将棋を「知る」ことから。たくさんの将棋ニュースを配信しているスマートニュース将棋チャンネルを、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

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伊佐知美

ライター伊佐知美

これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』創刊編集長、エッセイスト、フォトグラファー。 これまで40カ国100都市、47都道府県を旅する。将棋初心者。棋士と同じくらい将棋盤・将棋駒を作っている職人さんに興味を持っている。

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