「棋譜並べ」で将棋が強くなる?その方法と5つの効果をご紹介

「棋譜並べ」で将棋が強くなる?その方法と5つの効果をご紹介

ライター: 佐藤友康  更新: 2017年04月15日

将棋の学習方法として「棋譜並べ」を聞いたことはありませんか?どこかで聞いたことはあるけどやったことがない、やったことはあるけどうまくできなかった、プロの棋譜はやっぱり難しいと感じる方もいることでしょう。そんなあなたに向けて、今回のコラムでは、棋譜並べの具体的な方法と、そのメリットを5つに絞ってお伝えしていきます。

棋譜並べとは

棋譜とは、対局で指された手を順番に記入した記録のことです。▲7六歩△8四歩・・・のように、数字と駒の名称で、初手から終局までが記録されています。プロ棋士の棋譜であれば、一手の消費時間も併記されていることが多いです。

「棋譜並べ」とは、棋譜を見ながら、その棋譜通りに実際に自分で将棋盤の上で再現することです。プロ棋士のような、強い人の指し手を並べていくことで、自分では思いつかなかった手に気づいたり、手筋の実戦での活用の方法が分かったりと、将棋学習法として有効です。

同じ棋譜であっても、何度も繰り返して並べてみることで、指し手の意味が理解できたり、棋力に応じた新しい発見があったりします。

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(第64期王将戦 第4局より )

棋譜並べの方法と効果

まずオススメしたいのが、一局を通して並べてみることです。一手一手深く考えるのではなく、サラッと並べていきましょう。それだけでも、以下のような効果を得られます。

(1)一局の流れがつかめる

序盤の戦型選択と玉の囲いに始まり、中盤の仕掛けと主導権争い、終盤の詰むや詰まざるやの攻防と、一局を通じての将棋の流れが理解できます。 玉の守りは金銀三枚、攻めは飛車角銀桂という基本の駒組みや、駒をどう交換していくのか、交換した駒をどう効果的に活用していくのか、どのように玉を追い詰めていくのかなど、新しい視点で理解できるようになります。

(2)符号が読めるようになる

初心者のうちは、なかなか符号が読めない、意味が分からないという方もいらっしゃいますよね。そんな方でも棋譜並べをしていくうちに、自然と符号が読めるようになっていきます。棋譜並べは初形からで、盤面全体を広く使いますから、あらゆる局面での符号にすぐに反応できるようになります。符号が読めるようになれば、戦法・戦型の教則本など、他の将棋の本も読みやすくなります。戦法を覚えるための土台作りにも、棋譜並べは有効です。

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(第64期王将戦 第4局より )

一局をサラッと並べて流れをつかんだら、次は指し手の意味を考えながら並べていきましょう。ですが、プロ棋士の将棋は非常に難しいですから、すべて理解しようと思わない方が良いです。プロ棋士は、相手の狙いを消すような手や、相手の読みを外すような手順を駆使しています。まずは分かるところから理解していくのが良いでしょう。 指し手の意味を考えながら並べることで、以下のような効果を得られます。

(3)攻めや守りの手筋が身に付く

プロ棋士の指し手は、手筋が満載です。特に注目してほしいのが、歩を使った攻め・受けです。後の展開を予測して歩を突き捨てて攻めたり、垂れ歩や継ぎ歩で相手陣に嫌みをつけたり、底歩や中合いの歩で守ったり・・・歩を上手に使えるようになると、攻め・受けともに強くなり、勝ちに近づきます。

(4)指し手の幅が広がる

自分の知識だけで将棋を指していると、指し手が分かりやすかったり、直線的になりすぎたりして、なかなか新しい発見はないものです。プロ棋士の棋譜を並べていくと、自分では全く気付かないような指し手が出てきます。

何度も並べて理解を深めると、自分自身の中で知っている手、経験のある手に変わっていきます。そうして、実際の対局で似たような局面になった際に、考えられる指し手の幅が広がっていくのです。

(5)勝ち切り方、逆転の仕方が分かる

プロ棋士の対局は、大きな差がつくことは少なく、終盤までギリギリの攻防になっていることが多いです。少し形勢が良くなってからしっかり勝ちにつなげるための指し方や、形勢を損ねた場合の粘り方なども、とても参考になります。

特に終盤は面白いです。自陣と敵陣をにらんだ攻防手や、紙一重の受けといったようなハラハラする展開がたくさん出てきます。そんな中、実戦で指された、しっかり勝ち切る指し手や逆転の狙いを秘めた指し手を自分自身で並べることで、終盤の感覚が研ぎ澄まされていくのです。

指し手の意味を考えて並べるのは、繰り返すほどに自分の身に付いて実力へと変わっていきます。また、解説文を合わせて読むと、そのときの形勢判断や心境などが分かって面白いでしょう。

並べる棋譜の探し方

棋譜の書籍

棋譜は、実戦集や対局集という形で出版されていますので、書店で探してみるとよいでしょう。また、戦型・戦法の本の一部に、実戦の棋譜を掲載していることも多いです。好きなプロ棋士の実戦集や、特定の戦型の棋譜のある本を探してみてはいかがでしょうか。

将棋連盟ライブ中継アプリ

将棋連盟ライブ中継のアプリではその日の対局の棋譜を中継しています。1日に数局が中継され、リアルタイムで楽しめます。対局終了後には感想戦での対局者のコメントも記載されますので、コメントを読みながら、実戦では現れなかった別の変化について並べてみるのもよいでしょう。

タイトル戦中継サイト

棋戦の中継サイトでは、棋譜が閲覧できるサービスがあります。日本将棋連盟主催棋戦一覧から、各棋戦の中継サイトをご確認ください。タイトル戦は名勝負が多く、とても勉強になる棋譜ばかりですので、ぜひ注目のタイトル戦の棋譜を並べてみましょう。

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まとめ

棋譜並べの方法とメリットをご説明しました。実戦や詰将棋と比べて、難しそうと感じる方が多い棋譜並べですが、重く考えずにサラッと並べてみると意外とすぐにでき、楽しいものです。応援する棋士や好きな戦法・戦型の棋譜を並べて、自分のものにしていきましょう。一手一手の意味も考えられるようになり、それが実戦で指せるようになると一気に強くなります。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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