解説によく出てくる「将棋用語、15選」あなたはいくつわかる?

解説によく出てくる「将棋用語、15選」あなたはいくつわかる?

ライター: 佐藤友康  更新: 2017年02月12日

将棋イベントでの席上対局や、テレビ・インターネットでの対局中継や、棋譜中継アプリなどで、プロ棋士の対局を観戦する機会も多くあることでしょう。プロ棋士の対局を観戦するときには、大抵の場合、解説者がいます。解説では、前回のコラム「詰めろ? 必死? 今さら聞けない将棋の基本用語9+5。」に記載した対局の用語はもちろん、指し手や形勢判断の用語も出てきます。今回のコラムでははもう一歩踏み込んで、将棋解説に頻出する将棋用語を紹介します。

プロ棋士の将棋を観戦するときに必須となる用語

プロ棋士の将棋をわたしたちが観戦するときには、解説者のプロ棋士によってさまざまな情報が提供されます。解説者は初心者にも分かりやすいように簡単な言葉にして伝えていますが、ある程度の将棋用語は使われますから、それをしっかり理解しておくことで対局の観戦をより楽しめるようになります。解説の中で頻出する将棋用語を、ジャンルごとに分けて紹介します。これらを覚えると、解説中に出てくる用語を疑問に思うことなく、スムーズに理解できるようになります。

時間に関する用語3つ

駒の損得と同様に、将棋において「時間」は勝負を左右する重要な要素です。ですから、時間に関する説明も解説の中では頻出します。

1)長考
1手に持ち時間の多くを費やして考えることです。プロの将棋は、棋戦によって持ち時間がさまざまです。持ち時間が5時間以上の将棋では、1手に2時間かける長考もしばしば見られます。また、持ち時間が40分など、持ち時間の短い将棋では、10分・20分でも長考と言われます。
2)少考
長考に対して、1手に少しの持ち時間を費やして考えて指すことです。
3)ノータイム
自分の手番になった際に、時間を使わずにすぐに指すことです。棋戦などにより異なりますが、持ち時間のある将棋で、一手1分未満で指すと「ノータイム」といいます。駒の取り合いなどの一直線の変化や、読み筋と同じ手で進んでいる場合などはノータイム指しになることが多いです。

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指し手を評価する用語8つ

対局で指し手を重ねていく中で、今の手が良かったのか良くなかったのかを判断し、解説の中で指し手を評価していきます。指し手の評価で頻出する用語を、良い手・良くない手に分けてご紹介します。

良い手に関するもの

1)好手
状況を良くする、良い指し手のことです。手の広い局面でとりわけ良いと思われる手のことを、好手と評価されます。駒の取り合いなどの一直線の進行では好手とは言いません。
2)妙手
好手の中でも、とりわけ巧妙な手や、ぱっと見では気づきにくい手のことを妙手(みょうしゅ)と言います。
3)最善手
ある局面でいくつか良い手に見える候補がある中で、最も良い手と判断されたものを最善手と言います。2番目に良い手のことを最善手に対して次善手と言います。

良くない手に関するもの

4)悪手
好手の反対で、状況を悪くしてしまう指し手のことです。ある一手をきっかけに、局面が悪くなった、良かったはずの局面が互角に戻った、逆転してしまった、という場合にはその一手は悪手と評価されます。
5)ポカ
悪手の中でも、一気に悪くしてしまう手のことです。簡単な手を見落としてしまうことによって、駒を取られてしまうなど、うっかりしてしまったというニュアンスが含まれています。
6)頓死
指し手そのものの評価ではないですが、不注意・見落としにより、いきなり玉を詰まされてしまうことを頓死(とんし)と言います。本来すぐには詰まないはずが、逃げ方を間違えるなどで、即詰みになってしまうことです。プロ棋士は、数十手の詰みはすぐに読み切る方々ばかりですが、それでも思考の盲点に入ってしまうなどして頓死をしてしまうことがあります。
7)疑問手
いくつか候補の手が見えていた中で、それとは違う、思わしくない手を指したときに疑問手と評価されます。局面が進んで少し形勢を損ねたときなどに、「あの手はどうだったのか疑問」のようにも言われます。検討された後には、「あの手は悪手だった」と評価されることもあります。

どちらとも判断がつかないもの

8)勝負手
手に秘めた狙いの成否に関わらず、局面を大きく変える手のことです。主には形勢を損ねている側の手段で、そのまま進んでしまうとどんどん悪くなってしまうため、勝負手を放つことで局面を動かしにいくのです。勝負手を放った瞬間には良いか悪いかの判断はつかず、後の展開によって判断されることが多いです。

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形勢を評価する用語3つ+1

局面ごとに先手が良いのか、それとも後手が良いのか、形勢の判断についても解説がなされます。どのぐらい良いのかによって、評価する用語が異なりますので、そのニュアンスをつかんでおきましょう。また、解説者の主観的な要素もあるため、解説者によっては評価が違ったり、検討を進めて行く中で評価が変わっていくこともあります。

1)指せる・指しやすい
し有利と思われるという形勢判断のことです。「この局面は先手が指せる」「先手がやや指しやすい」という表現をします。
2)指しにくい
指せるとは反対に、少し不利と思われる形勢判断のことです。「先手が指しにくい」のように使われます。
3)評価値
コンピュータソフトの形勢判断で、数値で示されているものを評価値と言います。0が互角で、プラスの点数は有利なことを、マイナスの点数は不利なことを示します。詰みを読み切った場合には、勝つ方を+9999、負ける方を-9999と評価するのが一般的なようです。

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参考)形勢判断の用語

将棋用語ではありませんが、将棋の形勢判断では以下の言葉が使われますので、併せて覚えておきましょう。
 ・局面が良いとき (互角~)有利~優勢~勝勢
 ・局面が悪いとき (互角~)不利~劣勢~敗勢

勝勢・敗勢となればほとんど勝ち・負けという評価ですが、勝勢・敗勢だからと言って、100%勝つわけではありません。一手のミスがそれまでの形勢をガラリと変えてしまい、逆転することもあり得ます。

解説に使う用語を覚えれば、将棋観戦がさらに楽しくなります!

解説を聞きながら今の手はどうだったのか、今の形勢はどうなのかを追っていき、自分自身の考えと照らし合わせていくことで棋力の向上にもつながります。今回のコラムで解説を聞くために必要な用語は網羅していますから、これを参考に、今日からこれまで以上に将棋観戦を楽しんでくださいね。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

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