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塚田九段の弟子は、攻めっ気100%?藤森四段と娘の塚田女流2級、塚田一門をご紹介!

塚田九段の弟子は、攻めっ気100%?藤森四段と娘の塚田女流2級、塚田一門をご紹介!

更新: 2017年01月31日

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2017年1月3日に放送されたNHKの将棋特番『新春お好み将棋対局 花の55年組 一門対決』に出演した塚田泰明九段とその門下の弟子である、藤森哲也四段塚田恵梨花女流2級についてご紹介します。

攻め100% 王座のタイトル経験者 塚田泰明九段

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塚田泰明九段は1964年11月16日生まれの52歳。東京都出身、大内延介九段門下。タイトル戦の出場回数は2回、タイトル獲得は王座1期(第35期)。現在竜王戦は4組(1組在籍9期)、順位戦はC級1組(A級在籍7期)です。

「攻め100%」「昇天流」と呼ばれる攻め将棋の棋風で知られています。相掛かり戦法における先手番での超急戦「塚田スペシャル」を引っ提げ1986年度の公式戦22連勝、1987年度の王座のタイトル獲得といった華々しい活躍を見せました。

そんな塚田九段が近年最も注目を浴びたのは、何と言っても2013年4月13日の第2回将棋電王戦での〝Puella α(プエラ・アルファ)″との対局でしょう。この年の電王戦は棋士5人と将棋ソフト5台による初の団体戦であり、3局目までを終えてプロ棋士側の1勝2敗という成績でした。対局の模様はニコニコ生放送で中継され、TVのニュースでも取り上げられるような社会現象となっていました。

チームの副将の塚田九段はもし負ければプロ棋士側の団体戦での敗北が決定してしまうという状況で対局に臨みます。Puella αの先手で始まった対局は相矢倉となり、先に仕掛けられた塚田九段はPuella αの鋭い攻めに敗勢に陥ってしまいます。わずかな望みをかけて入玉を狙うものの、Puella αもまた入玉を果たし、しかも大駒を1枚取られてしまっていた塚田九段は点数勝負での持将棋引き分けに持ち込むのも難しい状況になってしまいます。解説者も、現地の控室にいるプロ棋士たちも、どうして投了しないのかと疑問に思うほどの絶望的な差。

しかし、塚田九段は孤独な戦いを続け、不屈の闘志で入玉を果たすと、Puella αの駒を1枚ずつ取り、馬も取り返してぎりぎり引き分けに持ち込める24点を獲得。「塚田が攻めれば道理が引っ込む」とも称された塚田九段が見せた頑張りに「どうして投了しないんだ?」という批判の声が引っ込んだのでした。こうして塚田九段は誰もが勝負ありと思ったところからの持将棋引き分けにより、団体戦での負けを回避し、チームの大将にタスキをつないだのです。

終局後のインタビューで投了は考えなかったのか?と聞かれた塚田九段は言葉を詰まらせて涙を流しました。当時48歳のベテラン棋士が仲間のために恥を捨て、歯を食いしばって戦い続けたこの対局は多くのファンを感動させたのです。そんな塚田九段の弟子は師匠譲りの攻め将棋で知られる藤森哲也四段と、弟子であり実の娘でもある塚田恵梨花女流2級の二人です。

攻めっ気120%は師匠譲り! 藤森哲也四段

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藤森哲也四段は1987年5月9日生まれの29歳。東京都大田区出身。1999年9月、6級で奨励会入り。2011年度前期三段リーグを2位で抜けて四段プロデビュー。師匠譲りの攻めの棋風は「攻めっ気120%」と呼ばれています。藤森四段は、父はアマ強豪、母は女流棋士の藤森奈津子女流四段(LPSA所属)という将棋一家に生まれ、将棋は幼少期に母に教わりました。将棋を覚えてからはずっと蒲田将棋クラブに通い腕を磨いてきました。趣味は競馬で、よく揮毫する言葉は「直線一気」。人懐っこい気さくな性格からファンも多く、蒲田将棋クラブの常連さんからは親しみを込めて「てっちゃん」の愛称で呼ばれています。

四段昇段後は2012年、2013年の新人王戦で2年連続決勝三番勝負に進出。結果はどちらも1勝2敗で準優勝となりましたが、その活躍にファンは大いに盛り上がりました。

そんな藤森四段は関東若手棋士チームの東竜門のメンバーとして、これまでにも数多くのイベントに出演し、積極的にファンと交流をしています。また、長く将棋連盟のレディースセミナーの講師を務め、女性への普及にも力を入れてきました。2016年冬に公開された映画『聖の青春』で羽生善治役を演じた俳優の東出昌大さんとも交流があり、月に2、3回将棋を指導しているとか。同い年でお互いを「てっちゃん」「でっくん」と呼びあう仲だそうです。誰からも愛される人柄の藤森四段、これまでに『藤森流急戦矢倉』『藤森流中飛車左穴熊破り』という2冊の棋書を書いており、攻めっ気120%の藤森流の将棋に魅了されるファンも多数。これからもその活躍に注目です!

愛弟子は愛娘 塚田恵梨花女流2級

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塚田恵梨花女流2級は1998年8月27日生まれの18歳。東京都杉並区出身。2011年に中学1年生で関東研修会に入会。2014年には研修会でC1に昇級し、女流3級の資格を得ます。この年、アマチュア選手として出場した第8期マイナビ女子オープンで2年連続の本戦入りを決め、9月に女流棋士への資格申請書を提出。その時点で女流1級に相当する成績(マイナビ女子オープンで本戦入り)を満たしていたため、女流2級として10月1日付でプロデビューしました。

塚田女流2級の父は師匠でもある塚田泰明九段。母は女流棋士の高群佐知子女流三段です。これまでにも父親が棋士という女流棋士は伊藤明日香女流初段(父親が伊藤果八段)と飯野愛女流1級(父親が飯野健二七段)がいましたが、両親ともにプロというのは塚田女流2級が史上初となります。

高校では陸上部に所属していたという塚田女流2級、東竜門の企画「超速No.1決定戦」(50m徒競走)で女流棋士として唯一決勝戦に進出し、全体で3位という好成績を残すなど、その俊足をいかんなくアピールしていました。また東西対抗棋士フットサル大会にも関東チーム「FCセンダガーヤ」のメンバーとして出場するなど、スポーツ面でも活躍が期待されています。

棋風は父親譲りで居飛車党。その鋭い攻めに磨きをかけて、今後の飛躍を期しています。また女流棋士としては東竜門イベントやニコニコ生放送での解説番組への出演も積極的に行っています。特にニコニコ生放送での聞き手デビューの時の解説者は父で師匠の塚田九段でした。仲良し親子の解説はファンを大いに楽しませてくれました。これからも親子での共演の機会が楽しみですね。

師匠の塚田泰明九段とその弟子の棋士を紹介しました。藤森四段も、塚田女流2級も、どちらも将棋一家に生まれたサラブレッド的存在であり、一門全員が居飛車党で攻め将棋というのが塚田門下の特徴です。その棋風通りにこれからも攻めっ気たっぷりの活躍を見せてくれることでしょう。

直江雨続

ライター直江雨続

フォトグラファー/ライター。
2007年ごろよりカメラを片手に将棋イベントに参加してきた『撮る将棋ファン』。
この10年間で撮った棋士の写真は20万枚以上。
将棋を楽しみ、棋士を応援し、将棋ファンの輪を広げることが何よりの喜び。
『将棋対局 ~女流棋士の知と美~』や女子アマ団体戦『ショウギナデシコ』で公式カメラマンを務める。

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