将棋コラム

竜王戦第4局こぼれ話。渡辺竜王と丸山九段の激戦の裏で、中継記者がしていたちょっとした努力とは?

竜王戦第4局こぼれ話。渡辺竜王と丸山九段の激戦の裏で、中継記者がしていたちょっとした努力とは?

ライター: 宮本橘  更新: 2016年12月07日

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今回は第29期竜王戦七番勝負の第4局で、鹿児島県指宿市の「指宿温泉 指宿白水館」に行ってきました。挑戦者に1勝リードを許してピンチの渡辺明竜王でしたが、第4局は先手番をしっかり勝ち切って、戦績を2勝2敗のタイに戻しています。残り三番、目の離せない戦いが続きそうです。

さて、今回は中継の写真撮影に関する裏話をいくつか。

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写真は対局2日目の朝、両対局者が対局室に入る前の一コマです。対局開始は9時で、対局者はその10分ほど前に入室しますが、関係者は20分から30分ほど前に入室してスタンバイしています。結構な間があるので、黙って待っていると緊張感が高まりすぎてしまいます。そこをいかに和ませるかが、立会人の腕の見せどころ。

第4局の立会人田中寅彦九段は、サービス精神旺盛で、トークも軽妙。実に見事な和ませ方でした。このときは、記録の冨田誠也三段と前日の棋譜の読み上げ方法を打ち合わせたり、封じ手を開封する位置取りをカメラマンと話し合ったりしていました。

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こちらは両対局者が1日目の昼食に注文した黒豚カツカレーと同じものですが、実は2日目に関係者の昼食として白水館さんが用意してくれたものです。対局者が食べたものを関係者も味わいたいだろうという粋な計らいでした。


ところで、最近のタイトル戦では、対局が終わると大盤解説会場に両対局者が足を運んで挨拶するのが定番です。取材陣も対局者を追って解説会場に向かうのですが、対局室が上階で、解説会場が1階などにあると悩ましい問題が生じます。

白水館では対局室が別棟の6階、解説会場は1階ロビーの玄関を出て、徒歩3分ほどの薩摩伝承館でした。対局者と数人の関係者はエレベーターに同乗しますが、多くのカメラマンは乗れません。エレベーターが戻ってくるのを待っていては大きく出遅れてしまいます。となると、残る手段は......そう、階段しかありませんね。

今回も階段を駆け下りましたが、やはりエレベーターの速度には勝てず、1階に着いた時点で対局者はかなり先に行ってしまいました。しかし、解説会場まで正規ルートを歩いた対局者に対して、私は事前にホテルから許可をいただいて従業員用のショートカットルートを通り距離を詰めることに成功。対局者に遅れることなく解説会場に入ったのでした。ホテルに入ったら、いろいろなケースを想定して動き方を研究しておくのも、中継記者のスキルの一つです。計算違いで失敗することも多いのですが、今回は何とかうまくいきました。

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こちらは白水館に用意されていた大きな駒の看板。ちょうど看板の裏が対局室のある別棟で、ロビーから看板の裏の道に抜ける出入り口が今回使った秘密のルートです。それではまた。

宮本橘

ライター宮本橘

1990年から印刷プロダクションでライター兼デザイナーに従事。2009年に独立してフリーライターとなる。2010年、日本将棋連盟のネット中継記者(ペンネームは八雲)を担当。2016年より棋王戦の新聞観戦記を執筆。ほか、マイナビニュースで電王戦関連の記事を執筆

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