チーム稲葉VSチーム菅井 ABEMAトーナメント2025~予選Aリーグ第一試合振り返り~

チーム稲葉VSチーム菅井 ABEMAトーナメント2025~予選Aリーグ第一試合振り返り~

ライター: 渡部壮大  更新: 2025年06月09日

 6月7日(土)に放映された予選Aリーグ1回戦第1試合のチーム稲葉「サンライズ↖」(稲葉陽八段、上野裕寿五段、吉池隆真四段)とチーム菅井「振り飛車+渚」(菅井竜也八段、藤本渚六段、西田拓也五段)戦を振り返る。前年優勝の稲葉チームがいきなりの登場だ。なお、優勝メンバーだった藤本は井上一門で取り合いになり、クジを引き当てた菅井チームになっている。ドラフトでは当たりを引いた菅井が、満面の笑みで兄弟子(稲葉)にクジを見せつけるシーンもあった。

【第2局 藤本渚六段─上野裕寿五段】

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 第1局は初選出の吉池が初勝利。第2局で昨年は優勝チームのメンバーだった兄弟弟子が激突。本局は持将棋となり、指し直しになった。双方時間が少ない状態で対局開始なだけあり、早々にブザーに追われる展開となる。

【第1図は△9四歩まで】

 後手がじっと端攻めを見せたのに対し、▲8四歩も落ち着いている。△6六歩▲同歩△9五歩に▲6五桂△9六歩▲8三歩成△9七歩成▲2二歩と、攻め合いと入玉の両にらみで後手の方がまとめるのが難易度の高い局面だ。以下も戦いは続いたが、うまく上部を開いた先手が制勝。去年の友は今年の敵、で藤本が古巣から白星をあげた。

【第5局 稲葉陽八段─西田拓也五段】

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 2勝2敗で迎えた第5局。西田の三間飛車に稲葉は居飛車穴熊。振り飛車十分の戦いとなるが、稲葉も穴熊の深さを生かして容易に土俵を割らず、いつしか局面は混戦模様になった。

【第2図は▲3六桂まで】

 9九の馬を呼んで▲3六桂と攻めたところ。しかしここで稲葉は駒音高く△1七銀とスマッシュ。これには控室の上野、吉池から歓声があがる。以下▲同桂△同馬▲同玉△1六歩▲2八玉△1七歩成で、自玉を安全にしながらの寄せが決まった。この後は少しもつれたものの逆転には至らず、稲葉が押し切っている。

【第6局 菅井竜也八段─上野裕寿五段】

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 兄弟子の菅井に後輩の上野が挑む。三間飛車穴熊に銀冠で真っ向勝負だ。

【第3図は△9二同玉まで】

 穴熊の玉頭を崩しているが、後手にと金を作られており忙しい局面だ。じっと▲8七玉がいい呼吸。後手は自玉の整備が難しい。△3六とに▲9三香△8三玉▲9一香成とこのタイミングで踏み込んでいった。以下△6二金▲2八飛△7二玉に▲8三歩が痛打となり、先手ペースに。以下は上野が落ち着いて寄せ切り、4勝目をあげた。

 続く第7局は吉池が西田にこの日2度目の逆転勝ち。5勝目をあげてチームの勝利を決めた。
 2025年度の開幕戦は、前年優勝のチーム稲葉が好スタートを切った。

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第1局 吉池○─●西田
第2局 上野●─○藤本(持将棋指し直し)
第3局 稲葉○─●菅井
第4局 吉池●─○藤本
第5局 稲葉○─●西田
第6局 上野○─●菅井
第7局 吉池○─●西田

【個人成績】
稲葉八段 2─0
上野五段 1─1
吉池四段 2─1
菅井八段 0─2
藤本六段 2─0
西田五段 0─3

ABEMAトーナメント

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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