ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2024年08月02日
棋聖戦五番勝負は藤井棋聖が3連勝で防衛。史上最年少、21歳での永世称号資格を獲得しました。また、西山朋佳女流三冠が棋士編入試験の資格を得て、挑戦を表明しています。
【第1図は▲6四歩まで】
第1図はヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第3局(▲山崎隆之八段△藤井聡太棋聖)。相掛かりから激しい展開となりましたが、うまい攻めで後手がリードを奪っています。△4二玉▲6三歩成△3三玉が「玉の早逃げ八手の得」の勝ち方。▲5三とに△7三金と打てるのが早逃げの効果です。後手玉は2四へ逃げた形が厚く、後手勝勢になりました。藤井棋聖は3連勝で防衛。5連覇となり、史上最年少での永世称号資格獲得となりました。
写真:武蔵
【第2図は△6一歩まで】
第2図は伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第1局千日手指し直し局(▲渡辺明九段△藤井聡太王位)。開幕局は藤井王位の仕掛けを完全に封じた渡辺九段が千日手に持ち込み、指し直しとなりました。先手で時間も多い渡辺九段の指し回しが光って勝ちに近付きます。▲5二銀△3一玉▲5一銀不成と「寄せは俗手で」駒をはがして後手玉は受けなし。先手の勝ちが決まったかに見えましたが、土壇場で事件が起こり、藤井王位が逆転勝ちを収めています。
写真:虹
【第3図は▲6六同歩まで】
第3図は大成建設杯第6期清麗戦五番勝負第1局(▲福間香奈清麗△加藤桃子女流四段)。先手玉は桂がないと詰まない形なので何かプレッシャーを掛けたい局面です。△7六角が「要の金を狙え」の攻めで、△4九角成と取れれば先手玉に詰み筋が生じるようになります。ただ、この瞬間は詰まないため、▲3三歩△同桂▲2二銀と後手にもプレッシャーを掛けました。以下も際どい終盤戦でしたが、最後は福間清麗が競り勝っています。
写真:生姜
【第4図は△9二玉まで】
第4図は第72期王座戦挑戦者決定トーナメント(▲永瀬拓矢九段△鈴木大介九段)。後手玉を追い込んで▲9五歩が「端玉には端歩」の決め手。先手陣は飛車が利いているのも大きく、詰めろが続きません。△5七角は攻防手ですが▲6九桂と催促して、後手は困りました。挑戦者決定戦は永瀬九段と羽生善治九段の組み合わせとなりました。
写真:牛蒡
【第5図は▲2八竜まで】
第5図は第18回朝日杯将棋オープン戦一次予選(▲阿部光瑠七段△西山朋佳女流三冠)。先手は自陣に竜を引いて必死の防戦ですが、駒得で玉の堅い後手が優勢です。△8四桂が「桂は控えて打て」の厳しい攻め。▲2一馬とぶつけましたが、△5二金打▲4六飛成△2一馬▲同竜に△5八角で△7六桂が受からなくなり、後手勝勢になりました。勝った西山女流三冠は規定の成績を満たし、棋士編入試験に臨みます。
写真:琵琶
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段