ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2024年05月20日
5月18日(土)に放映された予選Bリーグ第1試合のチーム菅井「菅井組」(菅井竜也八段、佐藤康光九段、丸山忠久九段)と、チーム斎藤「1993」(斎藤慎太郎八段、高見泰地七段、三枚堂達也七段)の戦いを振り返る。チーム菅井はタイトル経験者ばかりのパワフルなメンバー、チーム斎藤は1993年生まれ3人を並べた付き合いの長いメンバーだ。Bリーグは前回優勝のチーム永瀬(永瀬拓矢九段、増田康宏八段、森内俊之九段)との対戦を控えているため、初戦から重要な勝負だ。
開幕からの3戦は互いに3人全員が1局ずつ対局。結果はチーム斎藤の3連勝で一気にリード。
第3局で優位に進めていた将棋を決め切れなかった丸山。第4局のオーダー会議で志願し、連投に挑む。敗れた棋士の連投は珍しく、これには斎藤チームの面々も意表を突かれた様子だった。戦型は丸山得意の一手損角換わりを避ける形で、相掛かりとなる。三枚堂がペースをつかんだかに見えたが、丸山に丁寧に応接されて形勢はいつしか逆転。
【第1図は▲8六金まで】
形勢は丸山が勝勢になるが、残り数秒での競り合いの中、三枚堂も粘り続ける。竜を捕まえて先手にも楽しみが出てきたが、△6九成銀が冷静。だが、▲8七金に△5七角がどうだったか、▲8五竜△7九成銀▲9八玉で次の▲8三歩成を見せられて忙しい。△8二歩と受けたものの、▲2二とが回ってついに逆転した。△5七角ではシンプルに△7九成銀と取ってしまった方が良かった。▲同玉は△5七角の王手竜取りがあるし、▲9八玉なら実戦よりも明らかに得だ。大逆転で三枚堂が勝ち、チーム斎藤が一気の4連勝。チームメイトも「これを勝つのか」と感心しきりだった。
後のなくなったチーム菅井はリーダーの菅井が出場。高見とは第2局に続く対戦だ。
相穴熊から力のこもったねじり合いになり、高見が優位に立つが、菅井も端に強襲を掛けて勝負に持ち込んでいく。
【第2図は△2二銀上まで】
先手の攻めは細いが、じっと▲9四歩と歩を補充するのが視野の広い一着。▲1四歩があるので価値が高く、後手優勢ながら実戦的には難しくなった。以下△7一飛▲4二馬△6九飛▲3二金△4九成桂▲1四歩とかみついて、堅陣の残る振り穴ペースに。ガッツを見せた菅井が逆転で初白星。
順番こそ異なるが、どちらのチームも全員2局目を指す形になった。斎藤ペースとなるが、佐藤が得意の玉頭戦に持ち込んで混戦になる。
【第3図は△5六馬まで】
齊藤は残り数秒の状況が続いていたが、▲7三銀が読み切りの着手。△同歩▲同歩成△5一玉▲6二銀△4二玉▲4三香△3二玉▲2三と△2一玉▲3三桂まで後手投了。以下は△1一玉に▲1八飛まで、ピッタリの即詰みになっている。斎藤リーダー自らが勝利打点をあげた。
【総合成績】
第1局 三枚堂○─●佐藤
第2局 高見○─●菅井
第3局 斎藤○─●丸山
第4局 三枚堂○─●丸山
第5局 高見●─○菅井
第6局 斎藤○─●佐藤
総合5勝 ― 1勝
【個人成績】
斎藤八段 2─0
高見七段 1─1
三枚堂七段 2─0
菅井八段 1─1
佐藤九段 0─2
丸山九段 0─2
ライター渡部壮大