優勝候補・関東B、難敵・九州にリベンジで予選2位通過!監督の渡辺明九段「苦しい試合が多かった」

ライター: AbemaTV将棋チャンネル編集局  更新: 2024年03月25日

 タレント揃いの優勝候補が、ようやく本戦へ最後のきっぷを苦労して手に入れた。日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ2位決定戦、関東B 対 九州が3月23日に放送された。関東Bはレジェンド森内俊之九段(53)が口火を切る勝利を挙げると、3番手に登場した増田康宏八段(26)が3勝の活躍。最後は永瀬拓矢九段(31)にも待望の予選初勝利が生まれ、スコア5-3で勝利し予選2位通過で本戦出場を決めた。予選で1度敗れていた難敵・九州にリベンジを果たした形だが、関東Bの監督・渡辺明九段(39)は「予選全体としても非常に苦しい試合が多かった」と、冷や汗ものの予選突破と振り返った。

【映像】激戦の予選を突破し監督・渡辺明九段もホッと笑顔

 予選1回戦では九州がフルセットの末に勝利。その後、2位決定1回戦を勝ち上がった関東Bと、1位決定戦で中部に敗れた九州が、2位突破をかけての再戦となった。タイトル経験あり、A級棋士も揃う関東Bは、総合力からすれば全チームトップと思われていたところ、なんとか2位決定戦まで漕ぎつけただけに、九州へのリベンジに燃えることになった。

 大事な第1局を任されたのはベテランながら超早指しにも適応している永世名人・森内俊之九段(53)。予選好調で勢いに乗る古賀悠聖六段(23)に対して、後手番から得意の矢倉で応じると、早い段階から両者端の位を取る形になり、中盤からお互いの入玉すら感じさせる進行になった。先に仕掛けたのは古賀六段。きっちり対応した森内九段がリードを奪ったかと思えば、古賀六段の粘り再び形勢は互角に。両者譲らずの終盤戦だったが、ここで森内九段が見事な寄せ。132手で勝利した。

 大先輩の戦いに強く背中を押されたのが、順位戦ではB級1組で1期抜けを果たす快挙でA級入りを決めたばかりの増田八段だ。ここまで予選2試合での対局は、本来の力を出せずに終わっていたが、3戦目にしてようやく覚醒。スコア1-2とリードされた第4局から登場すると、名人3期の経験を持つ佐藤天彦九段(36)と対戦した。先手・増田八段が居飛車に銀冠、後手・佐藤九段が四間飛車・銀冠と、対抗形かつお互いがっちり囲い合って、じりじりと攻め手を探る重い序中盤が進んだ。積極的な仕掛けで局面を打開に出た佐藤九段だったが、我慢を続いけていた増田八段が絶妙なタイミングからの角交換もあり、一気にペースを握って押し切った。

 1つの白星で、棋士はどんどん強くなる。続いて第5局は同世代で奨励会では切磋琢磨し、現在は研究会も行う佐々木大地七段(28)が相手。お互いしっかり研究してある相掛かりになると、中盤でうまく嫌味をつけた増田八段が、じわじわとリードを広げつつ、相手に逆転を許さない強さで2連勝を飾った。さらに第6局では古賀六段と玉をしっかり囲い合ってから激しくぶつかる一局になったが、増田八段が長い将棋に持ち込み、気がつくころには勝ちやすい陣形を整えるという試合巧者ぶりで3連勝を果たした。

 このまま4連勝で、チームの勝利を決めてしまうかと思われたが、ここで思わぬハプニング。第7局は佐藤九段との再戦になったが、まさかの二歩で反則負けとなり、第8局に永瀬拓矢九段(31)が登場することになった。予選未勝利と、らしくない結果が続いていた永瀬九段だったが、佐藤九段との一局ではようやく本来の姿を取り戻し、93手で快勝。終わってみれば各選手が、予選では苦労しつつ選手それぞれが調子を上げて、本戦に臨めることになった。

 試合を振り返った監督・渡辺九段は「予選全体としても非常に苦しい試合が多かった。メンバー構成的には、予選リーグ突破は間違いないと思われていたが、実際やってみたら相手も強敵で苦しい試合が多かった」とタイトル経験者にA級棋士、売り出し中の若手棋士と、豊富な戦力で他を圧倒するかと思われたところ、大苦戦での予選突破。「それぞれみんな出ていった場面で、苦しい場面も多かったのに切り抜けてくれた」と感謝した。

 どれだけ戦力が揃ったと思われていても、やってみないとわからないのが勝負の世界。まさに勝って兜の緒を締めることになった関東B。気合をみなぎらせて戦う本戦は、初戦から圧倒的に勝ちに行く。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

元記事URL
https://times.abema.tv/articles/-/10119533

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