昇り竜と重戦車の"二枚看板"で大進撃!中国・四国、菅井八段3勝&糸谷八段2勝で北海道・東北に勝利

ライター: AbemaTV将棋チャンネル編集局  更新: 2024年01月29日

 日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Aリーグ1回戦・第2試合、北海道・東北 対 中国・四国が1月27日に放送された。両チームとも若手からベテラン、タイトル経験者まで幅広い棋士が揃った対決になったが、中国・四国はALSOK杯王将戦七番勝負に出場中の菅井竜也八段(31)が3勝、パワフルな早指しが魅力の糸谷哲郎八段(35)が2勝して北海道・東北を圧倒。1回戦を突破した。10代、20代の棋士も活躍が目立ち始める中、実績・経験も活かせるようになった30代棋士が奮闘。数々の名棋士を生んだ土地で生まれ育った棋士により、力強い大進撃が始まった。

【映像】快勝を振り返る中国・四国の面々

 広島出身の升田幸三実力制第四代名人に、岡山出身の大山康晴十五世名人。将棋の歴史に深く刻まれた名棋士2人の意志を継ぐように、広島出身・糸谷八段と、岡山出身・菅井八段が躍動した。第1局、藤本渚四段(18)が必死に戦ったものの、小山怜央四段(30)に惜敗。弟弟子の戦いぶりに触発されたのか、兄弟子・菅井八段が気合十分で第2局に登場すると、先手の菅井八段が得意の三間飛車、後手の小山四段が居飛車の対抗形に。先にペースを握った菅井八段に対し、小山四段も食い下がると中終盤で形勢が二転三転する熱戦。それでも最後は菅井八段が底力で振り切り181手の激闘を制した。これで勢いづくと続く第3局では広瀬章人九段(37)とタイトル経験者対決。序盤、広瀬九段にミスが生じたものを見逃さず、そのまま突き放す圧勝で2連勝となった。さらに第4局は戸辺誠七段(37)との振り飛車党対決になると、あえて先手から居飛車を選択し「自分が振り飛車を持って経験のある形」と自分の土俵に持ち込んだ一局に。「戸辺攻め」の異名を持つ戸辺七段の長所を全く出させないような勝ちっぷりだった。岡山出身で振り飛車が得意。大山十五世名人と共通点もある「岡山の竜」が暴れまくった。

 第5局で菅井八段が敗れた後、第6局から後を引き継いだのが糸谷八段だ。大先輩・升田名人は今でも将棋大賞で新手・妙手に対して贈られる賞が「升田幸三賞」と名がつくほど。「新手一生」を座右の銘とした名棋士のように、糸谷八段も「将棋は実験」と独自の路線を突き進んだ。菅井八段を破った小山四段に対して、対局開始から1手に1秒もかけずに指し続ける強烈な"早指し攻め"を仕掛けると、その後も早見え早指しかつ重厚感のある指し回しに終始。「公式戦に温めておいた作戦の一つを使ってしまった」と、対局後に明かすほどの新構想をデビュー1年にも満たない新四段にぶつけ147手で圧倒した。1回戦突破に王手をかけた第7局は攻め将棋に定評がある野月浩貴八段(50)と対戦。後手番から十八番の一手損角換わりから指し進めると中盤で野月八段にミスが出たところを、一気呵成に攻め立てて完勝。2戦2勝の活躍に「菅井さんが3つ取ってくれたんで、さすがにこっちが取らないわけにいかない」と胸を張った。

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 「力戦 個性派 大進撃~大山 升田の如く~」。掲げたスローガンを、ここまできれいに体現できるのは、将棋に限らず珍しいもの。菅井八段、糸谷八段の活躍ぶりに監督・山崎隆之八段(42)も「内容も戦い方が個性的で、非常にいちファンとして食い入って見ていました」と絶賛した。山崎八段、さらに黒田尭之五段(27)の出番もないまま初戦を突破した中国・四国。全国制覇を目指した大進撃は、まだ1歩目を踏み出しただけだ。

◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

元記事URL
https://times.abema.tv/articles/-/10112122

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将棋・ABEMA地域対抗戦

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