ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2023年12月15日
西山朋佳女流王将への挑戦者を決める霧島酒造杯第45期女流王将戦挑戦者決定戦は香川愛生女流四段と渡部愛女流三段の組み合わせとなった。
香川の三間飛車に渡部は穴熊を目指す。居飛車の囲いが完成する前に振り飛車が機敏に動き、ペースをつかんだ。
【第1図は▲7二銀まで】
先手も必死に食い下がっているが、いかんせん攻め駒が足りない。△5一金▲2四馬△3三金▲2五馬△3四銀と手堅く指して後手勝勢だ。以下も手数は掛かったものの、最後は後手玉の入玉が確定し、先手の投了となった。渡部は初の女流王将挑戦ならず。香川は第38期以来、久しぶりの女流王将戦三番勝負登場となる。
写真:囲碁将棋チャンネル
第1局はお馴染みの宮崎県都城市「霧島創業記念館 吉助」にて。先手西山の角頭歩に対し、香川は居飛車を選び、長い中盤戦から相穴熊となる。ガッチリ4枚固め合った後、西山が端から動いて戦いが始まった。
【第2図は△5一飛まで】
5筋に飛車を回られ、次に△5七歩成を喫してはたまらない。他に9筋で香もぶつかっており、ここで踏みとどまれないと一気に苦しくしてしまいそうだ。▲4四歩△同金に▲5三歩が手筋。△同飛で飛車を近付けてから▲6五歩と金に当てて、△3三角▲4四角△同角▲5四歩△4三飛▲9四香でうまく中央を収めた。後手としてはどこかで△5七歩成と決戦に応じるのも考えられたが、本譜は駒の勢いが逆転して先手ペース。最後は後手の穴熊に噛みついて開幕戦を西山が制した。
写真:囲碁将棋チャンネル
第2局は東京「将棋会館」にて。香川の居飛車に西山は三間飛車から四間飛車に振り直す展開となった。
【第3図は▲7七同桂まで】
先手のみ桂がさばけているが、この瞬間手番は後手。△7五歩が桂頭を責めるうるさい手になった。▲6七金と受けたが、△7六歩▲同金△7五歩と攻め掛かる。後手はいつでも△4五銀と取る含みがあるのが大きい。以下は▲7五同金△6六角▲7六金△5七角成▲5九飛△7五歩と攻めて後手が確実にポイントをあげていった。
本局は激しく攻め立てた西山の快勝。剛腕を見せつける形で、2連勝で防衛を決めた。これで西山は通算4期目の女流王将獲得。女流棋士転向後のタイトル獲得数を7期として女流五段に昇段。来期はクイーン王将の懸かるシリーズとなる。
写真:囲碁将棋チャンネル
ライター渡部壮大