藤井ダブルタイトル戦制す

藤井ダブルタイトル戦制す

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年09月04日

 藤井聡太王位に佐々木大地七段が挑戦した伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負。佐々木は棋聖戦でタイトル初挑戦を決めた直後に王位戦でも挑戦を決め、藤井とはダブルタイトル戦となった。

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第1局

 第1局は愛知県豊田市「豊田能楽堂」にて。後手の佐々木は意表の横歩取りへと誘導。長い中盤戦をうまくまとめた佐々木がペースをつかむが、藤井も辛抱してチャンスを待つ。

【第1図は△2二玉まで】

 図の直前に佐々木が5筋から動いたが危険で、先手に流れが傾いている。▲3五歩△同金▲4四銀△3四金▲5三歩成で手になった。以下△4四金▲6三とに△5六歩が敗着で、▲6六角と使われてかえって先手に勢いがついてしまった。この後は暴れる後手の面倒を見て、投了に追い込んだ。藤井が開幕戦を制した。

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写真:夏芽

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第2局

 第2局は兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」にて。相掛かりから先手の佐々木が攻勢を取るが、藤井もうまくバランスを保ち、馬の力で徐々にペースをつかんでいく。

【第2図は▲5六歩まで】

 陣形の差があり、後手が決めどころを迎えている。△5七角成と切り、▲同玉に△5五歩が着実な攻め。細いようでも先手は守り駒が機能しておらずつながっている。以下▲6七金に△5六歩▲同金△4四金が手厚く、後手勝勢がはっきりした。藤井が2連勝。

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写真:金子光徳

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第3局

 第3局は北海道小樽市「料亭湯宿 銀鱗荘」にて。角換わりから後手の佐々木は右玉に組み直す。難解な形勢が続いていたが、藤井に形勢が傾いていった。

【第3図は△4三馬まで】

 佐々木も猛烈に追い込んで際どい局面になったようだが、藤井が鮮やかに決める。▲4四香△同馬▲1一角が強烈。△2一金や△2一香には▲3二歩成で馬の素抜きがあるため、適当な受けがない。実戦は△4五銀としたが、▲2二角成で一手一手の寄りとなった。藤井が3連勝と一気に追い込む。

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写真:八雲

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第4局

 第4局は佐賀県嬉野市「和多屋別荘」にて。相掛かりから藤井が攻勢を取るが、佐々木が的確に対応していく。

【第4図は△3五同飛まで】

 後手は中段飛車で手を作ろうとしていたが、危険だったようだ。▲4五角が飛車の捕獲を狙った手で、3五飛が助からなくなっている。飛車を取れば一段目がスカスカの後手陣はひとたまりもない。実戦は△5四角▲同角△同歩▲4五角△5五角▲3六銀で狙いが実現。以下は藤井の猛追をかわしきり、佐々木が二日制で初勝利をあげた。

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写真:中野伴水

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第5局

 第5局は徳島県徳島市「渭水苑」にて。第1局に続き横歩取りから、じっくりとした展開になる。

【第5図は△2七飛成まで】

 竜を作り、一見後手の攻めの方が厳しそうな局面だ。しかし、ふわっと▲2四歩がうまい攻め。条件によってはいきなり後手玉が詰む可能性がある。といって△2四同竜では先手玉に響きがない。△3六銀と猛攻をかけていったが藤井は正確にしのぎ、最後に反撃に出て制勝した。

 藤井は4勝1敗で王位4連覇を達成。佐々木のダブル挑戦をはね返した。

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写真:武蔵

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渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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