20歳伊藤が竜王挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

20歳伊藤が竜王挑戦 8月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年08月23日

 藤井─佐々木の棋聖戦、王位戦のダブルタイトル戦が続いています。竜王戦では5組優勝の伊藤匠六段が1組の丸山忠久九段を破り、竜王戦ドリームが続いています

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第3局

【第1図は△2九同とまで】

  第1図は大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第3局(▲里見香奈清麗△西山朋佳女流三冠)。駒の働きに差があり、はっきり先手優勢であとはどう勝つかという局面。▲7七銀が「桂先の銀定跡なり」です。△8八飛さえ防げば先手玉は怖いところがありません。里見清麗が2勝1敗とリードしました。

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写真:飛龍

第36期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局

【第2図は▲8八玉まで】

 第2図は第36期竜王戦挑戦者決定三番勝負第2局(▲永瀬拓矢王座△伊藤匠六段)伊藤六段が先勝して迎えた第2局。後手が押されていましたが、辛抱が実って混戦になっています。△6四馬が「馬は自陣に引け」の絶好手。自玉を補強しつつ、先手の玉頭をにらみ、次に△8六馬の寄せを見ています。先手も▲7九桂と辛抱して以下も難解な終盤戦が続きましたが、最後は伊藤六段が制しました。20歳の俊英が強豪を連破し、大舞台に登場です。

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写真:八雲

第71期王座戦挑戦者決定戦

【第3図は△2二金まで】

  第3図は第71期王座戦挑戦者決定戦(▲藤井聡太竜王・名人△豊島将之九段)。先手が鋭く攻め立てて、後手が必死に受ける終盤戦。▲3九香が「下段の香に力あり」でした。ここにセットした香は将来後手の上部脱出を阻む駒になります。以下も激闘が続き、二転三転の終盤戦となりましたが、最後は先手が競り勝ちました。大熱戦を制した藤井竜王・名人が八冠目の掛かった王座戦に初登場です。

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写真:飛龍

第82期順位戦A級2回戦

【第4図は△4三同金まで】

  第4図は第82期順位戦A級2回戦(▲斎藤慎太郎八段△広瀬章人八段)。角換わりから激しい攻め合いになっています。現状は8六の金取りになっているので、何か受けたいところですが、ふわっと▲8三歩が「大駒は近付けて受けよ」の手筋。△同飛に▲8四歩△同飛▲8五歩△同桂▲6七角と、後手の駒に当てながら積極的に受けることができました。

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写真:名人戦棋譜速報

霧島酒造杯第45期女流王将戦本戦

【第5図は△5五同歩まで】

 第5図は霧島酒造杯第45期女流王将戦本戦(▲甲斐智美女流五段△渡部愛女流三段)。先手玉は不安定な状態ですが、▲2九香が厳しい攻め。「歩切れの香は角以上」とも言いますが、この局面は2二に歩がいるため、歩合ができません。後手も△2三銀が頑強な受けで形勢は難解です。最後は後手が競り勝ち、本局の放映が引退する甲斐女流五段最後の対局となりました。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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