藤井と佐々木の熱い夏が続く 7月上旬の注目対局を格言で振り返る

藤井と佐々木の熱い夏が続く 7月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年07月21日

 藤井─佐々木の棋聖戦、王位戦のダブルタイトル戦が続いています。竜王戦では5組優勝の伊藤匠六段が1組の丸山忠久九段を破り、竜王戦ドリームが続いています

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第1局

【第1図は△2二玉まで】

 第1図は伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第1局(▲藤井聡太王位△佐々木大地七段)。横歩取りから後手が押している将棋でしたが、攻め急いだために先手にチャンスが訪れています。▲3五歩△同金▲4四銀△3四金▲5三歩成とと金を作り、先手は手に困らなくなりました。「5三のと金に負けなし」で、攻防ともに大きな存在です。実戦は△4四金▲6三とに△5六歩としたため、▲6六角が好調で先手がはっきり逆転に成功しました。以下は先手が的確に押し切っています。

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写真:夏芽

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第2局

【第2図は▲3七桂まで】

 第2図は伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第2局(▲佐々木七段△藤井王位)。続いて第2局は相掛かりから後手の藤井王位がペースをつかみました。△5五銀が間違いのない寄せで、▲同金△同金▲2五桂に△5六馬▲4八玉△4六金▲5四歩△4七金▲4九玉△4四銀まで先手の投了。「玉は下段に落とせ」で、こうなると粘りの利かない形です。

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写真:金子光徳

第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局

【第3図は△7一飛まで】

 第3図は第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局(▲藤井聡太棋聖△佐々木大地七段)。角換わりから巧みな玉さばきで先手が優位に立ちました。さらに▲6八玉△7六歩▲5八玉が「玉の早逃げ八手の得」でここまで逃げれば先手玉は安全です。玉の動きで相手の攻めを綺麗に封じて先手の快勝となりました。

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写真:将棋世界

大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第1局

【第4図は△5六飛まで】

 第4図は大成建設杯第5期清麗戦五番勝負第1局(▲里見香奈清麗△西山朋佳女流三冠)。女流棋界の頂上対決が今年も始まりました。相振り飛車から鋭い攻めを決めて先手が勝ちに近付いています。「寄せは俗手で」と▲8五歩と攻めました。△9五銀なら利かし得で、後に7筋を攻める手などが厳しくなります。実戦は△4一歩▲5一竜に△5九銀から暴れてきましたが、丁寧に面倒を見て最後に▲8四歩と取る手が回って先手の勝ちになりました。

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写真:玉響

第36期竜王戦決勝トーナメント

【第5図は▲5一馬まで】

 第5図は第36期竜王戦決勝トーナメント(▲丸山忠久九段△伊藤匠六段)。角換わりから激しい定跡に突入しました。図の▲5一馬は厳しい攻めですが、この瞬間はまだ後手玉は詰みません。△9四歩が「端玉には端歩」の寄せ。▲同歩なら△9二香打が厳しい攻めになります。実戦は▲8五歩と逃げ道を開きましたが、△9五歩▲8六玉△8五歩▲同桂に△3四竜が先手玉への寄せと△5一金を見た決め手になりました。

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写真:

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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