ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2023年07月12日
藤井聡太棋聖と佐々木大地七段の棋聖戦は挑戦者が激戦を制し、タイトル戦で初白星をあげました。七冠を保持する藤井竜王名人は、残す王座戦でも挑戦者決定戦まで勝ち上がっています。
【第1図は△7八竜まで】
第1図は第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局(▲佐々木大地七段△藤井聡太棋聖)。激戦の終盤戦で、図で▲7八同銀は先手玉が詰まされてしまいます。しかし▲5五角が「終盤は駒の損得より速度」の犠打。△同銀と取らせてから▲7八銀と竜を取れば、今度は先手玉が詰まず、逆に▲3二飛の詰めろが掛かり、速度が逆転しました。佐々木七段は本局を制してタイトル戦初勝利です。
写真:翔
【第2図は▲7七銀まで】
第2図は第36期竜王戦決勝トーナメント(▲出口若武六段△伊藤匠六段)。竜王戦決勝トーナメントの開幕戦は若手俊英対決です。後手が攻勢を取って、先手玉を寄せ切れるかの局面。△8九金が「玉は下段に落とせ」の寄せです。▲同玉に△8七成銀と上から押さえる形を実現します。以下先手も必死に上部脱出を含みに粘りましたが、最後は後手が寄せ切っています。
写真:玉響
【第3図は△3二金まで】
第3図は第82期順位戦A級1回戦(▲菅井竜也八段△永瀬拓矢王座)。先手が自玉の安全を生かして猛攻を掛けています。△3二金と埋めたところですが、▲4一銀が「要の金を狙え」の寄せ。やはり金を玉の周りから消すのが基本です。△7八竜に▲3二銀成△同銀▲4二金と張り付いて、後手は受けるスペースが減って一手一手の局面になりました。
写真:名人戦棋譜速報
【第4図は△7七銀不成まで】
第4図は第71期王座戦挑戦者決定トーナメント(▲藤井聡太竜王名人△羽生善治九段)。八冠を目指す藤井竜王名人と新会長の羽生九段と豪華なカードが実現です。角換わりから難解な戦いが続いていましたが、ここは先手が抜け出すチャンスを迎えています。▲6九玉が「玉の早逃げ八手の得」で先手玉は捕まらない形です。△7八金▲5九玉△6八金▲4八玉△5八金▲同玉△5四桂と攻めを続けますが、▲2八馬で先手玉を寄せるのには駒が足りない格好です。藤井竜王名人は王座戦では初の挑戦者決定戦進出となりました。
写真:文
【第5図は△5七桂不成まで】
第5図は第1回達人戦立川立飛杯予選(▲日浦市郎八段△真田圭一八段)。50歳以上の棋士に出場権がある、新棋戦の達人戦の開幕戦です。図から▲6八玉△3九飛成▲9一飛成△3八竜に▲7七玉で「中段玉寄せにくし」ではっきり先手勝勢。日浦八段が開幕戦で勝利を飾っています。
写真:銀杏
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段