ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2023年06月14日
6月10日(土)に放映された予選Cリーグ第3試合のチーム天彦「天辺堂」(佐藤天彦九段、戸辺誠七段、三枚堂達也七段)とチーム広瀬「はやぶさ」(広瀬章人八段、近藤誠也七段、石井健太郎六段)の戦いを振り返る。
Cリーグはチーム菅井「関西最強」に対し、チーム佐藤は5─1の快勝、チーム広瀬はフルセットの惜敗になっている。よって得失点差の関係でチーム佐藤の予選通過は決まっており、チーム広瀬はこの試合で勝てば通過、負ければ敗退と分かりやすい状況になった。
開幕からチーム天彦が星を伸ばし、第4局を終わって3勝1敗とリード。しかし第5局で石井がフィッシャーで安定した強さを見せる佐藤を止めて流れを変えた。
相掛かりから三枚堂がうまく攻めて形勢をはっきりリードした。
【第1図は△8六角まで】
第1図から▲9二飛と攻めたが危険な手だった。△5七歩が狙っていた攻め。▲同金は△7八飛で詰んでしまうため▲同玉だが、△4五桂が厳しい。先手は2八の地点が埋まっているのが痛い。図では▲7七歩と受けておけば先手玉が安全で、自然に逃げ切ることができたようだ。最後はギリギリの局面だったが、結果的には広瀬が逆転勝ちを収めて3勝3敗に追いついた。
しかし、第7局は戸辺が苦しい将棋を逆転で制し、チーム広瀬は追い込まれる。
四段昇段同期の対決は石井の四間飛車。難解な形勢のまま互いに時間切迫の将棋となった。
【第2図は△6五桂打まで】
ここは▲8九桂と打ち、△7七桂成▲同桂△6五桂打▲8九桂△7七桂成......の順なら千日手だっただろう。しかし三枚堂は▲6五同桂と果敢に打開。しかしこの手は危険で、△同桂▲8九桂△6八歩▲6七銀△6九歩成▲9八玉△8八金▲同玉△7九角▲9八玉△7七桂成で寄せ切られてしまった。これで石井は3連勝の活躍だ。
最終局に相応しいリーダー対決に。この一局に広瀬は予選通過を懸ける。大一番は雁木から激しい攻め合いとなった。
【第3図は△7四銀まで】
実戦は▲8六角△8五歩▲9七角△9五歩▲7九玉△9六歩▲4二成桂と進めたが、△6二玉とされて混戦になった。図で▲4二成桂なら△6二玉は利かないため△同金よりなく、▲同角成△同玉▲5四銀と圧力を掛けて先手の攻めが続いていた。最後は鋭い寄せを決めて広瀬が制し、5勝目をあげた。
フルセットの激闘を制し、チーム広瀬が踏み止まる。結果を待つ状態だったチーム菅井には吉報は届かず、敗退が決まった。
予選Cリーグからはチーム天彦(1位)とチーム広瀬(2位)が決勝トーナメント進出。
【総合成績】
第1局 近藤●─○三枚堂
第2局 石井○─●戸辺
第3局 広瀬●─○佐藤
第4局 近藤●─○戸辺
第5局 石井○─●佐藤
第6局 広瀬○─●三枚堂
第7局 近藤●─○戸辺
第8局 石井○─●三枚堂
第9局 広瀬○─●佐藤
【個人成績】
広瀬八段 2─1
近藤七段 0─3
石井六段 3─0
佐藤九段 1─2
戸辺七段 2─1
三枚堂七段1─2
ライター渡部壮大