名人戦開幕! 4月上旬の注目対局を格言で振り返る

名人戦開幕! 4月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年04月27日

 藤井聡太竜王に史上最年少名人の記録が掛かる名人戦七番勝負が開幕しました。叡王戦では防衛側として、振り飛車党の菅井竜也八段を迎え撃ちます。

第81期名人戦七番勝負第1局

【第1図は▲5六玉まで】

 第1図は第81期名人戦七番勝負第1局(▲渡辺明名人△藤井聡太竜王)。相居飛車の熱戦でしたが、巧みに攻めをつないだ後手が優位に立ち、図は後手勝勢です。先手の望みは4筋から右辺へ逃げだすことですが、△2七角が「玉は包むように寄せよ」の決め手で、逃げ道をふさがれた先手は投了となりました。藤井竜王が名人、そして七冠へ向けて好スタートです。

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写真:中野伴水

第8期叡王戦五番勝負第1局

【第2図は△9二香打まで】

 第2図は第8期叡王戦五番勝負第1局(▲藤井聡太叡王△菅井竜也八段)。先手が押している将棋ですが、後手も端に勝負を懸けて、歩切れの先手は油断できません。▲4五飛が「飛車は十字に使え」の好手でした。△5五歩と飛車の横利きを止めましたが、堂々と▲同歩と応じて先手は歩切れを解消し、端への対応をしやすくなりました。以下9筋の戦いを制した先手は怖いところがなくなり、快勝となっています。

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写真:常盤秀樹

第16期マイナビ女子オープン五番勝負第1局

【第3図は▲6一角まで】

 第3図は第16期マイナビ女子オープン五番勝負第1局(▲甲斐智美女流五段△西山朋佳女王)。後手が三間飛車から軽快にさばきましたが、先手も頑強に抵抗して崩れません。使えていない飛車を受けに利かせる△4四飛が「遊び駒は活用せよ」です。飛車の横利きで▲8四銀を防げば攻め駒の少ない先手は攻めの継続が難しい状況です。▲5二角成△9五桂から難しい戦いが続きましたが、最後は後手が制しています。

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写真:生姜

第36期竜王戦ランキング戦1組

【第4図は△6八歩まで】

 第4図は第36期竜王戦ランキング戦1組(▲羽生善治九段△永瀬拓矢王座)。先手がうまく手を作って優位に立ちました。△6八歩にも構わず▲4一銀が「要の金を狙え」で決めにいった寄せ。△6九銀▲4七玉△7八銀成と金は取られましたが、▲2四飛と切って、△同歩も△同銀も後手玉は詰むため決まっています。羽生九段が快勝で決勝トーナメント入りを決めました。

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写真:睡蓮

第94期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント

【第5図は△2三歩まで】

 第5図は第94期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント(▲渡辺明名人△羽生善治九段)。ゴールデンカードがトーナメントで実現しました。先手の仕掛けが決まって優位に立ちましたが、金銀が使えておらず、攻め駒が少ないのが不安材料です。しかし▲6五桂△4一桂▲3五歩△2五桂▲3四歩と進み、先手の攻めが厚くなりました。「4枚の攻めは切れない」と言われるように、守りの桂と歩が参加して切れる心配がなくなりました。渡辺名人が快勝でベスト4進出です。

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写真:玉響

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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