藤井─羽生戦激戦続く 1月下旬の注目対局を格言で振り返る

藤井─羽生戦激戦続く 1月下旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2023年02月02日

 藤井聡太王将と羽生善治九段の王将戦は激戦が続いています。また、名人への挑戦権争いもいよいよ終盤戦となりました。

第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局

【第1図は△4四玉まで】

 第1図は第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局(▲藤井聡太王将△羽生善治九段)。先手が馬を作って攻め込んでいますが、現状は働いている駒が少ないのがやや気掛かりです。しかし▲3七歩が好手でした。△同歩成に▲4五歩が狙いの追撃。「遊び駒は活用せよ」で、△同金でも△同玉でも▲3七桂と使えていない駒を使うことができます。実戦は△3三玉と下がりましたが玉を押し返せたのは大きく、後に△4五金と払ったタイミングで▲3七桂と活用して先手が勝ち切りました。

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写真:夏芽

第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局

【第2図は△3三角まで】

 第2図は王将戦第2局(▲羽生九段△藤井王将)。相掛かりから先手が積極的な動きを見せています。先手は手が止まるとまずいですが、▲2五飛△1三桂▲8五飛△同飛▲同桂が「飛車は十字に使え」のさばきでした。以下△4五銀に▲2一飛△3一飛▲1四角と踏み込んでいきます。難解な戦いが続きましたが、攻めを続けた先手が制しています。

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写真:飛龍

第49期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局

【第3図は△2四同金まで】

 第3図は第49期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局(▲西山朋佳女王・女流王将△伊藤沙恵女流名人)。形勢の揺れ動く大熱戦でしたが、図は先手が勝勢となっています。▲3一銀が「要の金を狙え」の基本の寄せで、後手は適当な受けがありません。△2三金引としましたが、▲1四香△1三歩▲2四歩で金の連結を崩しにいって勝負ありとなりました。

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写真:翔

第81期順位戦A級7回戦

【第4図は△5一同金まで】

 第4図は第81期A級順位戦7回戦(▲藤井聡太竜王△豊島将之九段)。挑戦権争いのカギとなる1敗の藤井竜王対2敗の豊島九段の対戦です。先手が優位に進めており、後手の粘りを振り切れるかの局面です。▲4六桂が「桂は控えて打て」の速い寄せで、次の▲3四桂が受けにくい王手です。実戦は△6六桂としましたが、▲3四桂△3三玉▲5三歩成△同角▲5四金と厚く寄せて先手の勝ち筋に入りました。6勝1敗と星を伸ばし、藤井竜王が首位をキープしています。

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写真:名人戦棋譜速報

棋士編入試験五番勝負第3局

【第5図は▲2八歩まで】

 第5図は棋士編入試験五番勝負第3局(▲狩山幹生四段△小山怜央アマ)。長い中盤戦で手将棋になっています。どこから戦いが始まるのか見えにくい局面ですが、実戦は△5三桂と打ちました。先手も▲7三桂成△同金▲8五歩△8三歩に▲4七桂と互いに「桂は控えて打て」で歩をぶつける準備をしていきました。熱戦となりましたが結果は先手の狩山四段が勝ち、編入試験は第4局へと持ち越されました。

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写真:潤

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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