藤井、タイトル通算10期

藤井、タイトル通算10期

ライター: 渡部壮大  更新: 2022年09月15日

 3連覇を目指す藤井聡太王位に豊島将之九段が挑戦したお~いお茶杯第63期王位戦七番勝負。豊島は昨年に続く挑戦者で、2年連続のカードとなった

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第1局

 第1局は愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」にて。角換わり腰掛け銀から珍しい変化となるが、双方研究十分で非常に早い進行となった。

【第1図は△7五歩まで】

 第1図から2時間を超える大長考で▲3五歩と急所の筋で攻め合った。△同歩なら▲2五桂打がより厳しくなる。実戦は△7六歩▲同銀△7七歩▲同桂△8四桂▲8五銀△7六歩▲6五桂△7七角と攻め合ったが、▲同金△同歩成▲同玉△7六歩▲同銀△同桂に▲3四歩が厳しく、先手の一手勝ちコースに入った。昨年と同じく豊島が先勝。

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第2局

 第2局は北海道札幌市「ぬくもりの宿ふる川」にて。再び角換わり腰掛け銀から激しい切り合いとなる。

【第2図は△2九成香まで】

 ▲2二とと取りたくなるところだが、それでは後手玉に響きがない。▲7四歩△7二金▲7三銀が反撃を与えない攻め。△同金▲同歩成△2三金とと金を外されたが、▲7二角が厳しい攻めで筋に入った。藤井が返して1勝1敗に。

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第3局

 第3局は兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」にて。角換わり腰掛け銀から先手の豊島が玉を固める作戦を選ぶ。攻防に巧みな指し回しを見せた藤井が優位に立った。

【第3図は▲6八歩まで】

 決め方は色々あるが、△6三飛がピッタリの一手。▲同成桂に△7八桂成以下、手にした一歩を使って即詰みに打ち取った。

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第4局

 第4局は佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われる予定だったが、挑戦者が新型コロナウィルスに感染したため延期。第5局以降にずれ込む形で、徳島県徳島市「渭水苑」にて行われた。角換わり腰掛け銀から豊島が封じ手で強手を放つが、落ち着いて対応した藤井が局面をリードする。

【第4図は△3七歩まで】

 ▲3九歩と手堅く受けて安全を期したいところだが、藤井の視点は違った。▲3三銀成△同桂▲4一銀が最速の決め方。△同玉に▲4三銀と上から押さえて受けなしで、先手玉は危険ながら詰みがないことを読み切っている。

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第5局

 第5局は静岡県牧之原市「平田寺」にて。戦型はまたも角換わり腰掛け銀となった。中住まいの陣形を藤井はうまくまとめ、玉頭から反撃に出る。

【第5図は▲5八飛まで】

 第5図から△1三角が狙いすました一打。次の△6九銀や△7九銀が入れば厳しい。実戦は▲7九歩と埋めて激戦が続いたが、最後は後手が押し切った。

 藤井は第1局を落としてからの4連勝と、昨年と同様のスコアで3連覇を達成。若干二十歳の若さながら、タイトル通算は早くも10期と2桁に乗せた。シリーズとしての連勝記録も初タイトル戦から続いているが、藤井を止める棋士はいつ現れるのだろうか。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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