里見、ストレート勝ちで清麗復位

里見、ストレート勝ちで清麗復位

ライター: 渡部壮大  更新: 2022年08月11日

 加藤桃子清麗に里見香奈女流四冠が挑戦した第4期大成建設杯清麗戦五番勝負。前期も同じカードで、フルセットの末に加藤がタイトルを奪取している。

第4期大成建設杯清麗戦五番勝負挑戦者決定戦

 挑戦者決定戦は里見と西山朋佳女流二冠のゴールデンカード。予選では西山が勝っているが、再び挑戦者決定戦で顔を合わせることとなった。相振り飛車から攻め駒を責める展開になり、里見が優勢になる。

【第1図は▲5五歩まで】

 大きな駒得で形勢は後手優勢だ。△3三桂▲5六金△4五桂▲6五金△5七桂成が気持ちのいい三段活用。壁銀の先手はとても持たない格好で、▲5七同金△5六歩まで投了となった。快勝で強敵を下し、4期連続での五番勝負出場を決める。

第4期大成建設杯清麗戦五番勝負第1局

 第1局は東京都千代田区「ホテルニューオータニ」にて。後手の里見は珍しく角道を止める四間飛車を採用。加藤の急戦に強く対応していく。

【第2図は▲4二歩成まで】

 後手は美濃囲いから引きずり出されたが駒得が大きい。△6三銀打が頑強な受けで、▲9二飛に△8五銀▲5二金△同銀▲同と△6三玉▲4五銀△7六銀と間隙を縫って反撃に出た。際どい終盤を乗り切って里見が先勝。

第4期大成建設杯清麗戦五番勝負第2局

 第2局は新潟県新潟市「ホテルオークラ新潟」にて。里見の中飛車に加藤は居飛車穴熊から優勢となるが、終盤で誤算があったようで形勢逆転。

【第3図は△2三銀まで】

 図から▲2二銀△1二玉▲2四角成△同銀▲同香でピッタリ必至が掛かった。△7九角にも▲6八銀と合駒をし、▲1三歩以下の詰み筋が受からない。里見が逆転で2連勝。

第4期大成建設杯清麗戦五番勝負第3局

 第3局は愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」にて。後手の里見が中飛車から、居飛車の飛車先交換を受けない趣向を見せて力戦に。仕掛けの前後で里見が形勢を手繰り寄せる。

【第4図は▲6四角まで】

 形勢は後手優勢。△7三歩と手堅く受けるのも自然だが、実戦は△7一玉と引く。▲7七銀に△5七飛成▲8八玉△8四桂と攻め、後手勝勢がはっきりした。以下も緩みなく押し切り、里見が3連勝のストレートでシリーズを制した。

 里見は昨年奪われた清麗を1期で奪還。女流五冠に復位。タイトル戦をはじめ重要な対局の続くハードなスケジュールだが、安定した強さを発揮したシリーズとなった。

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

このライターの記事一覧

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています