ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2020年07月08日
新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言により、開幕が見送られていた第31期女流王位戦五番勝負。5月下旬に緊急事態宣言が解除されたため、ようやく東西の交流対局が復活。6月に入り、女流王位戦五番勝負もいよいよ開幕した。今回は異例の事態により会場は全局東西の将棋会館、そして6月中に五番勝負をやり切る短期決戦となった。
結果的にマイナビ女子オープンと日程が前後する形になったが、加藤は女流棋士となって初のタイトル挑戦。そちらは2勝3敗で西山朋佳女王に惜しくも敗れ、すぐに女流王位戦五番勝負が開幕した。一方の里見は緊急事態宣言中には対局がなかったため、ブランク明けの対局。公式戦で男性棋士と対戦後、本シリーズの開幕を迎えた。番勝負で対戦するのは6度目。最後の対戦から1年以上間が開いているとは言え、里見の6連勝中だ。
第1局は里見の中飛車。加藤は居飛車穴熊に構え、端攻めでポイントをあげた里見が優位に立つ。
【第1図は△3六桂まで】
図は終盤戦で、後手が最後の勝負を掛けたところだ。ここで▲2七金打が「絶対に負けませんよ」と宣言したようなからい勝ち方。△4六角に▲3六金右と払っておけば先手玉は安泰だ。後手への攻めは▲3三歩が非常に厳しい。まずは里見が快勝スタート。
先後を入れ替えた第2局も里見の中飛車に加藤の居飛車穴熊で同じような形になった。
撮影:夏芽
【第2図は▲7八同銀まで】
第3局も里見の中飛車に加藤の居飛車穴熊。里見は第1局同様、手にした歩で穴熊の急所である端を攻めていく。
【第3図は△5四飛まで】
図で▲6二角成はそっぽで自信がないし、▲6六角も△5五銀で大変だ。ここで▲1五歩が角を見捨てる勝負手。△4四飛に▲1四歩△1六歩▲1三歩成△同桂▲1四香で端に圧力を掛け続ける。以下も激戦が続いたが、最後は端の攻防を制した先手が競り勝った。
撮影:夏芽
中飛車対居飛車穴熊のシリーズは里見が3連勝と強さを見せて四冠を堅持。里見はこれでタイトル通算40期となり、清水市代女流六段の持つ歴代一位の43期が見えてきた。
ライター渡部壮大