3度目の優勝を目指す増田康六段か。初タイトルを獲得した師匠の木村王位に続き高野四段の初優勝か。第50期新人王戦決勝の展望は?

3度目の優勝を目指す増田康六段か。初タイトルを獲得した師匠の木村王位に続き高野四段の初優勝か。第50期新人王戦決勝の展望は?

ライター: 相崎修司  更新: 2019年10月09日

今年で50期目を迎えた新人王戦も、残すところは決勝三番勝負のみ。節目の年の大舞台に名乗りを上げたのは、増田康宏六段と高野智史四段の両名だ。

今期の新人王戦を振り返ってみると、まず早咲誠和アマの活躍ぶりが特筆されると言えよう。初戦の横山友紀三段戦を突破すると、続いて前期ベスト4の梶浦宏孝四段(当時)を負かし、以降は三枚堂達也六段(当時)と大橋貴洸五段という棋戦優勝経験者も破り、アマ棋界第一人者の実力を存分に示した。

その早咲アマを止めたのが増田である。初戦で伊藤沙恵女流二段(当時)を下し、以降は古森悠太四段、黒沢怜生五段、早咲アマを連破して決勝に勝ち進んだ。第47期、48期の連覇に続く、3度目の優勝を目指す。

一方、高野は渡部愛女流王位(当時)、澤田真吾六段、石井健太郎五段を破り、ベスト4へ勝ち進んだ。準決勝の相手は朝日杯将棋オープンで優勝経験のある八代弥七段だったが、この強敵も下して自身初の決勝進出を果たした。高野の師匠である木村一基九段が、豊島将之名人・王位を相手に真夏の十番勝負を戦っていたのと同時期に当たるが、師匠は見事に王位奪取を果たし、自身初のタイトルを獲得した。師匠に続く形で、初の棋戦優勝を実現できるだろうか。

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第30期竜王戦ランキング戦6組昇級者決定戦での高野四段。相手は、加藤一二三九段。

両者の今期成績はと見ると、増田が23勝7敗、高野は16勝7敗と、ともに好調だ。いずれも居飛車党であり、どの作戦も満遍なく指しているが、最近はやや相掛かりが多い印象がある。

過去の直接対決は増田の3勝1敗。初手合いは角換わりの将棋だが、それ以降は相掛かりが3局となっている。直近の対決が2年前の9月とやや遡るが、相掛かりの3局はそれぞれ97手、70手、58手という比較的短手数での将棋で、増田の2勝1敗となっている。

相掛かりは急戦になりがちなため、早い決着となりやすい。事実、増田は対高野戦を除いても相掛かりの将棋では100手未満で終わる短手数局が多い。対して高野の相掛かりは100手を超えることが多く、師匠譲りの二枚腰を発揮しているとも言えそうだ。

こうなると、三番勝負でも相掛かりの将棋が出現する可能性は高そうだ。そこから速い戦いになれば増田に分があるだろうし、長期戦になれば高野の土俵といえる。

増田が3度目の優勝を果たせば、森安秀光九段、森内俊之九段、藤井猛九段に続く4人目の快挙だ。

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第48期新人王戦三番勝負第2局での増田四段(当時)

また高野の優勝となれば第33期で優勝した木村王位ともども、師弟での新人王となるが、こちらは達成されれば7組目(過去の例は若松政和―井上慶太、森信雄―山崎隆之・糸谷哲郎、中村修―阿部光瑠、井上慶太―菅井竜也、森下卓―増田康宏)となる。

実績及び直接対決の戦績では増田が上回っているが、勝負はふたを開けてみなければわからない。

決勝三番勝負は10月9日に東京の将棋会館で開幕する。将棋界の未来を担う俊英の熱戦に期待しよう。

撮影:常盤秀樹

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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