「YouTubeで広がる将棋の世界」棋士対談 伊藤真吾五段×香川愛生女流三段 ~将棋世界2019年11月号より

「YouTubeで広がる将棋の世界」棋士対談 伊藤真吾五段×香川愛生女流三段 ~将棋世界2019年11月号より

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2019年10月07日

将棋世界のご紹介

みなさんは、YouTube(以下、便宜上ユーチューブと表記)をご存知だろうか。

ユーチューブは、アメリカに本社を置く世界最大のインターネット動画共有サービスで、2000年代に開発された。ユーチューブ内にチャンネルを開設した配信者が、自作の動画を公開し、一般ユーザーに閲覧してもらうシステムだ。その動画配信者のことをユーチューバー(YouTuber)といい、現在は動画の視聴数に応じて収入も得られる。世界の有名ユーチューバーの発信力は圧倒的で、中には数億円の年収を稼ぎ出す人もいる。ある調査によると、日本で小学生の「なりたい職業ランキング」でユーチューバーは2016年までランキング外だったが、17 年4位、18年には3位にランクされるなど、子どもたちのあこがれの職業として急激に人気が高まっているという。将棋をテーマにしたチャンネルを開設して動画を配信している人は何人もいるが、最近はプロ棋士も参入し始めている。
今回はそのユーチューブ上の活動で注目されている伊藤真吾五段と、香川愛生女流三段にお話を聞いた。

「イトシンTV」と「香川愛生チャンネル」

――伊藤さんは「イトシンTV」、香川さんは「香川愛生チャンネル」というユーチューブのチャンネルを開設されています。もちろん、お二人の本業は棋士ですが、棋士としてユーチューブの世界に活動を広げた先駆者です。ただ、本誌の読者の皆さんの中には、ユーチューブを見たことがない人が大勢いらっしゃると思います。まず、お二人の動画を見るにはどうしたらいいのでしょう。

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伊藤 私の5歳の娘は毎日ユーチューブを見ていて、ユーチューバーになるのが夢だったんです。でも、僕がユーチューブを始めてから、動画作りの苦労が分かって、夢が消えたみたい。子どもの夢を壊しちゃったかな(笑)。でも、ユーチューブを見るのは、そのくらい簡単なんです。パソコン、スマホなど、インターネットにつながる環境さえあれば誰でも見られる。最近は家庭用のテレビでも、環境を整えればユーチューブが見られるようになりました。

香川 インターネットをやったことのない方は、とにかく、誰かに教わってネットにつながる環境を作ってください。そうすれば、あとはテレビを見るのと同じくらい簡単です。

伊藤 ネットに繋がったら、あとはユーチューブにアクセスして、文字を打ち込むだけ。「香川」と打ち込んで検索するだけで、「香川愛生チャンネル」が出てきます。いま、香川といったらサッカーの香川真司選手か香川愛生かというくらい香川さんは有名ですから。僕は「イトシン」で検索してください。視聴は基本無料。もちろん、二人の番組を見るのも無料です。

――将棋に興味がある方なら絶対に見て損はない。それがお二人のチャンネルだといえますね。ところで、お二人がユーチューブによる動画配信を始めたきっかけと目的を教えてください。

伊藤 僕も香川さんも、たまたま今年の春にチャンネルを開設したんですよ。僕の場合は友だちとホームパーティーをやっていて、「ユーチューブをやってみたら」と気軽に勧められたのがきっかけですね。娘がやりたがっていたこともあって、じゃあやってみようかとなった。もともと、僕はレディースセミナーや子ども教室で長く将棋を教えていたのですが、結婚して子どもができたことをきっかけに、指導をやめていたんです。普及から離れていたこともあって、何か将棋の普及に関わる情報発信をやりたかった。

香川 私はここ数年、多様な形で将棋普及にトライしてきたのですが、いつも決まった場所に自分がいない不安感がありました。いろんな仕事で日本全国に行かせていただいたし、いろんな方たちにお会いすることができました。その反面、この方たちに次はいつ会えるのだろうという葛藤もあった。一般的な教室などにもあこがれていたのですが、定期的に時間を取るのは難しい。将棋の魅力を世の中に発信するのに、最もハードルが低く、継続できる可能性が高い媒体としていきついたのがユーチューブでした。

作業は毎日3、4時間以上

――動画配信の作業は、実際にどのように進めていますか。

伊藤 イトシンTVは出演が私で、撮影や編集作業などは妻がやっています。妻は昔、漫画家のアシスタントをやっていて、多少スキルがあった。それが動画配信を始めるきっかけでもあります。

香川 撮った動画を番組にするにはかなり作業が必要です。手間をかけだしたらきりがないのですが、企画、当日の準備、収録、サムネイルなどの素材作成、編集、動画投稿、というのが一般的な流れです。編集作業と一部の素材提供を知人にお願いしている以外、他の作業はすべて自分でやっています。

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――かなり時間がかかりそうですね。

伊藤 1本の動画を投稿するのに最低3、4時間。長ければ2、3日。妻は夜中に独りで作業してます。

香川 私も少なくとも、2時間から3時間はかかります。

――それをどのくらいの頻度で上げているんですか。

伊藤 私は、ほぼ毎日です。

香川 私もそれに近い。

――それはもう仕事ですね。実際、お仕事にはなっているんでしょうか。

伊藤 多少はですね。

香川 動画に流れる広告を設定すると、広告収入がいただけます。ただ、それで食べていけるのはごくごく一部の方のみですよね。

――視聴者数はどのくらいですか。

伊藤 私の番組は1万人から2万人。最高で4万人くらいです。

香川 私は平日毎日の詰将棋が2万人ほど。他の番組はいろいろですが、たまに10万再生を超える動画もあります。

伊藤 10万はすごいよね。

――動画の配信で苦労したこと。失敗したことはありますか。

伊藤 まず、自分自身の滑舌ですね。たまにライブっていって、将棋ウォーズなどを使って一般ユーザーの人との対局を生中継するんですよ。そのしゃべりが難しい。あと、難しい将棋用語はなるべくかみ砕いて話すようにしているのですが、それも難しい。

香川 私も将棋ウォーズの自分の対局は何度か撮りましたが、あとで見直したときに話の内容が気になって、投稿できなかったことがあります。それからは、将棋ウォーズの対局はライブで配信するようになりました。ライブ配信なら、言葉のいい間違いなどは、ある程度その場の空気でフォローできますから。

伊藤 香川さんがすごいのは、いろんな番組を作っていること。僕のチャンネルは対局中心なのですが、香川さんは対局以外にも棋士インタビューや詰将棋、他のボードゲームや体を動かしたり、いろんなことをやっている。作る側からすると大変です。

香川 ユーチューブのいいところは、視聴者の反応がすぐ分かることです。視聴者はコメントを流すことができて、それをこちらもすぐ見られる。

伊藤 僕でいうと、「今度はゴキゲン中飛車に二枚銀でいってくれ」とかリクエストされる。じゃあ、今度はそれをやるかっていうことになります。

続きは『将棋世界2019年11月号』で

このインタビューの続きは『将棋世界2019年11月号』の特集「YouTubeで広がる将棋の世界」でぜひお読みください。

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将棋世界2019年11月号

将棋情報局(マイナビ出版)

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