職場のみんなで参加できる!日本最大の将棋大会「職団戦」の仕組みや勉強法を遠山六段に教えてもらおう!【はじめての職団戦 vol.1】

職場のみんなで参加できる!日本最大の将棋大会「職団戦」の仕組みや勉強法を遠山六段に教えてもらおう!【はじめての職団戦 vol.1】

ライター: 津持大和  更新: 2018年09月22日

「職団戦に参加してみたい!でも参加方法や仕組みがよくわからない‥‥‥」そんな方も多いのではないでしょうか。今回は株式会社ローソンの将棋好きの皆さんが、はじめて職団戦に挑戦するということで、職団戦に参加するまでに必要な準備や将棋の勉強法などをプロ棋士の遠山雄亮六段にいろいろと教えていただくことに。職団戦に興味がある方は参考にしてみてくださいね。

参加チームは400越え?職団戦の基礎知識を学ぼう!

―――本日はよろしくお願いします。まず、職団戦とはどういう大会なんでしょうか。

職団戦は日本将棋連盟が年に2回主催している将棋大会のことです。正式名称は職域団体対抗将棋大会と言いますが、要するに職場の仲間でチームを組んで出場することができる大会となっています。

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チーム編成のルールは、
同一職場で1チーム5名で編成(補欠の登録も可能)
同一職場で2チーム以上の参加も可能
OB(定年退職者)の参加も可能
となっています。

―――どのぐらいのチームが参加するのでしょうか?

職団戦は日本で1番大きなアマチュア大会となっていまして、今年4月に行われた職団戦には計421チーム、2000人以上が参加しました。例年は東京体育館や東京武道館で開催されるのですが、東京オリンピックの影響で次回からは「武蔵野の森 総合スポーツプラザ」で開催される予定です。

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前回の職団戦の様子

―――多くの方が参加されるんですね!強さによってクラス分けされているとお聞きしました。

そうですね。クラスはSからFまでの7クラスあります。はじめて参加するチームは全てFクラスからのスタートとなり、Fクラスで規定の成績をあげるとEクラスにあがって、だんだん昇級していくシステムになっています。そのため、Fクラスが一番チーム数が多く約90チーム程度、そこからあがるにつれてチーム数は減っていき、Sクラスだと12チームほどになります。

――90チームは多いですね。Fクラスからの昇級の目安はどのぐらいですか?

だいたいの目安ですがチームで4勝、参加したトーナメントでベスト8に入ると昇級すると思います。一方で降級もあるので、Eクラスに昇級したあとも頑張らなければいけませんね(笑)

―――降級もあるんですね。トーナメント制なので一回戦で負けたらすぐ終わってしまうのですか?

いえ、A~Fクラスでは一回戦で負けた場合も敗者慰安戦が行われます。そのトーナメントで決勝まで勝ち進むことができれば昇級できる可能性があるので、最後まで諦めずに挑戦してください!また、Sクラスは現在12チームで、3グループに分かれてのリーグ戦を行うシステムとなっています。

―――負けてしまっても対局があるのはいいですね!ちなみにFクラスの平均棋力はどのぐらいですか?

Fクラスは平均棋力はだいたい将棋ウォーズで1級ぐらいのチームが多いですね。ただ、初参加のチームは必ずFクラスから始まるため、職団戦初参加の強いチームと当たる可能性もあります。さまざまな業界の企業が参加してるので、出場チーム一覧を見るだけでも楽しめますよ(笑)

―――当日は指導対局なども開催されるんですよね?

そうです。プロ棋士の指導対局を受けることができるので、もしチームが負けてしまっても1日楽しめるようになっています。また、扇子や書籍などの将棋グッズを販売してるブースや私たち棋士が出店している将棋連盟モバイルブースもあるので、会場をまわるだけでも楽しめると思います。

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前回の指導対局の様子

―――参加したい場合はまずどうすればいいですか?

専用の申込書があるので将棋連盟サイト内の職団戦申し込みページを確認してみてください。次の受付はおそらく1~2月ごろだと思うので、忘れずにチェックしてくださいね。

遠山六段による6面指し!ローソンの皆さんとの指導対局

10月に行われる職団戦から初めて参加する株式会社ローソンの皆さん。会社を代表して参加するのはこの6人。さまざまな部署からの参加ということでこの場が初対面の方もいらっしゃいました。お話を伺うと、アマチュア有段者の方もいれば、将棋を始めたばかりの方もいるそうです。

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左から藤井さん、大津さん、三木さん、新出さん、原田さん、岩崎さん

まずは遠山六段と6面指しをしていただき、一人ひとりの棋風や上達のための改善点などを教えてもらいます。

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6面指しをする遠山六段

職団戦の説明の時は笑顔が多かったですが、対局になると皆さん一気に集中モードに。

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指導対局後は、各自遠山六段に長所と欠点の改善案を教えてもらいました。市民将棋大会で優勝経験がある原田さんの場合、序盤の駒組みがしっかりしており、安定した指し回しができることが長所だそう。さらに上達するために意識すべきことを遠山六段にアドバイスされた局面がこちら。

【第1図は△7三金まで】

第1図は遠山六段が△7三金と打った場面。ここで原田さんは▲9三角成と逃げましたが、▲同角成から詰みがあったそうです。原田さんのように安定感のある指し回しをする方は、「終盤のスピード感」を身につけるとよさそうですね、と遠山六段はアドバイスされていました。

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遠山六段と対局する原田さん

職団戦に向けて上達するために気を付けるポイントとは?

最後に、遠山六段から職団戦に向けての対策としてふたつの練習方法が紹介されました。

ひとつ目は、短手数の詰将棋を毎日解くこと。アマチュアの対局では特に終盤力がものをいう場面が多いので、終盤力を身につけるのが大切だということでした。

ふたつ目は秒読み将棋を指すこと。職団戦では秒読みになる対局が多いそうで、秒読みになっても焦らないように慣れておくことが重要だそうです。

おわりに

このメンバーで初の職団戦に挑戦するチーム・ローソン。遠山六段曰く、Fクラスでは十分通用する棋力があるので「チームとして3勝を目指し、できれば昇級したい」という目標を設定しました。今後も、他社チームとの交流戦なども予定しているとのことで、職団戦に向けてパワーアップしていく様子を追いかけていきたいと思います。

はじめての職団戦

津持大和

ライター津持大和

1996年生まれの福井県出身。山本博志四段の影響を受けて居飛車党から三間飛車党に転身。ゲーム、カードゲーム、野球、カフェが好き。将棋イベントとゲーム大会によく出没します。

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遠山雄亮

監修遠山雄亮六段

東京都練馬区出身。1993年に奨励会に6級で入会。1997年に初段に昇段。2005年10月に四段に昇段。長らく、日本将棋連盟モバイルの編集長としてモバイル事業に携わり、現在は、棋士会副会長としてイベント等の企画、運営を行なっている。デビュー当初から、しばらくは振り飛車党だったが、ここ近年は居飛車中心に戦っている。

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