第25期銀河戦、久保王将が初優勝!「直感と勢いを重視したのが良い結果につながった」

第25期銀河戦、久保王将が初優勝!「直感と勢いを重視したのが良い結果につながった」

ライター: 渡部壮大  更新: 2017年10月04日

9月26日に放映された第25期銀河戦決勝の羽生善治三冠(当時)─久保利明王将戦。その収録は8月15日に東京・将棋会館の地下スタジオで行われた。

ginga01.jpg
対局開始直後、持ち時間は15分の早指しだ

予選後、8つのブロックに分けたパラマス式トーナメントを行い、各ブロックの最多連勝者と最終勝ち残り者が決勝トーナメントに進む。早指しということもあり若手も活躍しやすいトーナメントだが、今期は羽生と久保という、40代のタイトルホルダー同士の重厚な顔合わせとなった。久保はブロックトーナメントで佐藤天彦名人らに勝ち、羽生は決勝トーナメントで渡辺竜王らに勝ち、ともにタイトルホルダー対決を制しての勝ち上がりだ。

羽生は銀河戦で非公式戦時代を含めて最多7度の優勝を誇る。棋戦優勝はこれまで合計44回で、大山康晴十五世名人の記録に並んでおり、今回は大山超えの懸かった一戦となる。一方の久保は銀河戦では意外にも初の決勝進出。2013年の将棋日本シリーズ以来、久しぶりの棋戦優勝を目指す。

久保の先手中飛車に羽生は居飛車左美濃。久保の動きにうまく反撃した羽生が駒得に成功。優位を得たが、久保も粘ってチャンスを待つ。決勝戦にふさわしい熱戦となったが、最後は細い攻めをつないで逆転で久保が制した。

ginga02.jpg
羽生は最多45回目の棋戦優勝を目指したが逆転負けとなった

【図は98手目△5五馬まで】

ハイライトは図の局面。終盤戦、△5五馬と引きつけた手は攻防に絶好だ。後手玉に寄せはなく、また△3六桂が厳しい狙いとして残っているが、ここで▲6三角が返し技となるピッタリの攻防手だ。3六の地点を受けながら、場合によっては▲4一竜△同玉▲5一香成からの一気の寄せも含みにしている。この終盤での攻防手は大きく、以下も羽生の勝負手にギリギリの展開が続いたが、久保が逃げ切って初優勝を決めた。

ginga03.jpg
感想戦には解説の佐藤康光九段と聞き手の鈴木環那女流二段も加わった

初優勝を飾った久保は「なかなか決勝に残ることができず、今期こそはとの気持ちで臨んだ。直感と勢いを重視したのが良い結果につながったのだと思う」と喜びを語った。前期の藤井猛九段に続く振り飛車党の優勝は、アマチュアの振り飛車ファンを勇気づけたことだろう。

ginga04.jpg
初の銀河戦優勝を飾った久保

銀河戦の本戦ブロック、決勝トーナメントの棋譜はすべて囲碁・将棋チャンネルのサイトで閲覧可能だ。上部の「将棋」を選択後、「銀河戦」を選択することで各対局を選択できる。決勝の棋譜もこちらでご覧いただきたい。決勝の詳しい解説は「将棋世界」11月号にも掲載している。

第26期も既に開幕しており、毎週火・木に囲碁将棋チャンネルで放映中だ。今期からは注目の藤井聡太四段も登場し、一層注目が集まることだろう。これを機に加入していただき、銀河戦をはじめとした各種将棋番組を楽しんでいただきたい。

ginga05.jpg
表彰式で優勝カップを手に笑顔の久保

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています