ライターマツオカミキ
超初心者が将棋を楽しむには?楽しみ方の3つのステップをプロ棋士に聞いてみた!
ライター: マツオカミキ 更新: 2017年07月18日
「将棋、やってみたいなぁ」
28年間、将棋とはまったく無縁で生きてきたライターのマツオカミキと申します。
映画「3月のライオン」では神木隆之介くんが天才棋士役を演じていて、そりゃあもうかっこよかった。最近は中学生棋士・藤井聡太四段のニュースをよく見るから、余計に将棋が気になる。「将棋が趣味です」って言えたらかっこいいし、やってみたいなぁ。でも、ルールもわからないし‥‥。
ということで、「初心者は何からはじめれば良いのか」を教えてもらうために、東京の千駄ヶ谷にある将棋会館にやってきました。
ほうほう、ココが将棋会館か。 そして、今回楽しみ方を教えてくださるのは、こちらの方。
プロ棋士の遠山雄亮五段です。 日本将棋連盟モバイルの編集長で、将棋をより多くの人に楽しんでもらうために尽力されている方なのだそう。
遠山五段、どうすれば初心者の私が将棋を楽しめるようになるか、教えてください!
【ステップ1】最初は応援したい棋士を探そう
――正直に言いますと、将棋がおもしろそうだなと思ったきっかけは「3月のライオン」で神木隆之介くんが演じた天才棋士がかっこよかったからなんですが‥‥。
良いですね!入り口は、どんなことでも構わないと思います。
――こんな不純な動機だと、プロの方に怒られるんじゃないかと思っていました‥‥!
そんなことないですよ(笑)。将棋に興味を持ってくれて、嬉しいです。将棋って敷居が高いと思われがちなんですが‥‥。映画や漫画から入っても良いし、好きな棋士を見つけるところから入っても良いと思います。
――たしかに、好きな棋士を見つけられれば、将棋を観るのもおもしろくなりそうです。好きな棋士を見つけるためには、どうやって探すのが良いでしょうか?
最近注目されている藤井四段や、テレビで見たことのある棋士について、調べてみるのが良いかもしれません。 ネットで発信している棋士も多いので、例えばツイッターで「棋士 将棋」とかで検索して、気になる棋士をフォローしてみるのも良いと思いますよ。
プロ棋士の指し方って、初心者でもできる?
――映画やテレビで将棋の対局を見ていて、指し方がかっこいいなぁと思ったんです。あの「ピシッ」て音が良いですよね。アレって、初心者でもできますか?
これはね、なかなか鍛錬が必要ですよ。人差し指を駒の下側に入れて、中指で挟みます。それで、指す時には人差し指をね、スッと抜くんですよ。
――なるほど、こうかな‥‥?
「ピシッ!!」
――‥‥ちょっとだけできた気がします!!
おぉー!うまい!
――この指し方ができると、俄然テンションが上がりますね。早く指してみたくなりました!
【ステップ2】初心者がルールを学ぶには?
――将棋のルールはどうやって学べば良いですか?
初心者の方向けの教室から入ると、わかりやすいかもしれないですね。
清澄白河にある『どうぶつしょうぎcafe いっぷく』とか、吉祥寺にある『将棋の森』では、初心者向けの教室を開いています。どちらも元女流棋士の先生が将棋を教えてくれますよ。
――カフェなら、気軽に行きやすいですね!
あとは、将棋のアプリも気軽に練習できて良いと思います。ルールはネットで検索してみたり、本を読んでみたりしながら覚えつつ、初心者向けの将棋アプリで実践してみるとか。
――初心者向けのアプリだと、どんなものからはじめるのが良いですか?
『1手詰にゃう』(iphone/Android)というアプリが、良いですよ。コレです。
――見た目もかわいいですね!「1手詰(いってづめ)」ってどういうことですか?
相手の王がどうやっても逃げられない状況のことを「詰み」っていうんですけど、1手で王を捕まえるために、自分の駒をどこに置けば良いかを考えるゲームです。「駒の利き」も考えながら相手の駒を見たりもするので、楽しく覚えられると思います。
1手詰をクリアした後は? 初級者向けの将棋アプリにチャレンジ
――「1手詰」に慣れてきたら、次は何をすればレベルアップできますか?
3手詰、5手詰と、どんどん難易度を上げていくのが良いと思います。有料ですけど『i羽生将棋(480円)(iphone/Android)』というアプリが、初心者や初級者向けで使いやすいと思います。そこそこ強くなっても楽しめますし、将棋連盟公認アプリなので、安心です。
ある程度ルールがわかってきたら、『将棋ウォーズ』で対局をしてみるのがオススメです。練習対局の「普通」レベルで勝てるようになったら、実際の対局にチャレンジしてみるのが良いと思います。
【ステップ3】ルールがわかったら、観て&指して楽しむ!
――将棋が指せるようになったら、アプリ以外ではどんな楽しみ方ができますか?
実際に指す楽しみ方としては、将棋好きのコミュニティに参加してみるのも良いと思います。『将Give』っていう20~30代向けのコミュニティに入ったりとか、企業の将棋部に入ったり。将棋好きが集まるコミュニティなので、初級者にも優しく教えてくれると思いますよ。
――自分が指せるイベントとかもあるんですか?
棋士や女流棋士に教わるようなイベントは、あります。ただ、参加者が指すイベントはそんなに多くないですね。最近はアプリで指す人の方が、圧倒的に多いので。ちなみに将棋を指して楽しむ人のことは、『指す将』って言うんですよ。
――じゃあ、将棋を観て楽しむ人は『観る将』ですか?
そうです!
将棋を観て楽しむには?
――観る方は、テレビや動画で応援しながら観る感じでしょうか。
そうですね、今はニコニコ生放送とか、AbemaTVとかで、いつでもスマホで観られますし。あと、『将棋連盟ライブ中継(iphone/Android)』というアプリでも中継しています。
――対局を観るとしたら、ちゃんとルールがわかってないとダメですよね?
ルールがわかっている方が楽しいとは思いますけど、「今、好きな棋士が有利なのか不利なのか」がわかるだけでも、観ていて楽しいと思いますよ。『将棋連盟ライブ中継』のアプリでは「ため息が多くなっている」とか、そういう情景描写も書いてあるので。
――好きな棋士がため息なんかついてたら、「がんばれー!!」って応援したくなりますね。
そうですよね。あと、将棋って対局が長いので、途中でご飯の時間があったりします。好きな棋士が何を食べているかを見られるのも、おもしろいですよね。
――棋士の方が何を食べているか、私たちもチェックできるんですか?
はい、各棋戦の中継ブログや、先ほどのライブ中継アプリにも掲載されます。
ご飯って、結構重要なんですよ。将棋は終盤戦が大事なので、そこでお腹が空いてエネルギーが切れてミスしちゃったら、悲しいじゃないですか。だから、ちゃんと栄養を考えて何を食べるか決めている人が多いと思います。
――アスリートと一緒なんですね。
そう、本当に一緒。私の場合はプレッシャーがかかるとお腹の調子が悪くなりやすいので、食べ物も胃腸に優しいものとかを研究して食べていますよ。それぞれ個性が出ると思います。棋戦によってはスイーツスポンサーがつくこともあって、その対局で出したお菓子を一般にも販売していたりするので、棋士が食べているのと同じお菓子を一緒に食べられたり(笑)。
――好きな棋士と同じ物を一緒に食べられるということですよね!そんな楽しみ方もあったとは!
観る・指す以外に、こんな楽しみ方もある!
――観るイベントは、どんなものがあるんですか?
デパートなどで開催される『将棋まつり』や、年に1回のイベント『人間将棋』とかですかね。今年は神木隆之介くんが参加していたので、報道陣の数もすごかったです。
――人間将棋(に参加している神木くん)、テレビで見ました!
あれは山形県の天童というところでやっていて、人間が将棋の駒になって大きな盤の上で将棋をするんですよ。しかもあの駒は公募制なので、応募すれば誰でも駒になれます。
――誰でもなれるんですね、おもしろそう。
応募している女性の将棋ファンは多いです。人間将棋の衣装を身にまとった姿を、インスタグラムにアップしていたり。イベント参加を一つの目標にするのも、モチベーションが上がって良いかもしれませんね!
入口を突破すれば、いろんな楽しみ方ができる!
「将棋は敷居が高い」というイメージがあったのですが、まずは好きな棋士を応援するところから入っても良いし、初心者向けアプリなどで気軽に楽しめるというのが意外でした。観る方も、指す方もスマホさえあれば始められるので、新しい趣味にするのも良いかもしれません。
ということで、わたしはまずルールを覚え、「1手詰」から練習してみようと思います!