将棋コラム

渡部女流初段と塚田女流2級が着物で対局。第10回世田谷花みず木女流オープン戦のご紹介

渡部女流初段と塚田女流2級が着物で対局。第10回世田谷花みず木女流オープン戦のご紹介

更新: 2017年06月04日

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今年が10回目となる、世田谷花みず木女流オープン戦。今回は渡部愛女流初段、里見咲紀女流初段、飯野愛女流1級、塚田恵梨花女流2級がエントリー。4月29日に世田谷区の玉川高島屋で行われた準決勝、決勝の模様をお伝えする。

まずは対局者4名と解説を務める中村修九段・森下卓九段、聞き手の中井広恵女流六段・上田初美女流三段が壇上に勢ぞろい。それぞれが意気込みや見どころを語ったのち、しばしファンの方に対するフォトセッションの時間が設けられた。特に、関西所属の里見が関東のイベントに参加する機会は珍しいので、より多くの方がシャッターを切ったのではないか。

準決勝第1局は▲里見―△渡部戦。里見が得意の中飛車で、渡部の居飛車穴熊に対して作戦勝ちを収めるも、勝負手を連発した渡部が混戦を抜け出して逆転勝ち。渡部は2年連続の決勝進出を果たした。

続く第2局は▲塚田―△飯野戦。こちらは飯野のゴキゲン中飛車に対して塚田が超速▲3七銀で対抗する。最終盤で塚田玉に詰みが生じるも、惜しくも飯野が逃して最後は塚田が勝利した。初参加の塚田が決勝進出。

女流オープンの決勝に先立って、別会場の二子玉川小学校で行われていた、花みず木竜王戦の決勝戦が行われる。花みず木竜王戦は世田谷区在住の小中学生が参加する大会で、低学年部門、高学年部門、中学生部門の3大会で構成される。

低学年部門決勝は細谷雅楽君対増田優斗君。先手の細谷君が▲7六歩△3四歩に▲2二角成△同銀▲6六角と早々に趣向を凝らした。狙いは▲9六歩~▲9七香~▲9八飛からの9筋突破である。構想を見事に実現した細谷君だが、増田君の反撃も鋭く、最後は180手を超える激戦を増田君が制した

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花みず木竜王戦決勝戦低学年部門で優勝した増田優斗君。

増田君は「緊張して、ちょっとつらかったですが、優勝できてうれしいです」と語った。将棋は小学1年の時に指し始め、2年の夏から、宮田利男八段が席主を務める三軒茶屋将棋倶楽部に通っているそうだ。「将来はプロ棋士になりたいです」

続いては高学年部門決勝。堀光君対上野彗君。先手の堀君が横歩取らせを作戦に取ったが、上野君が中盤で堀君の緩手をうまくとがめ、以下はリードを広げて押し切った。

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高学年部門は、堀光君(右) 対 上野彗君(左)の決勝戦となった。

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高学年部門決勝戦。

「おととし、3位だったので(昨年は抽選に漏れ出場できなかったそうだ)、今年こそはと思っていたのでうれしいです。1日を通して集中して指せました」と上野君。小学1年の終わりごろから将棋を始めて、現在はこちらも三軒茶屋将棋倶楽部に通っているそうだ。「研修会に入りたいです」と目標を語ってくれた。

子ども大会の最後は中学生部門の決勝で、中山遥君対桐山瑳介君。先手中山君の雁木に対して桐山君は居角左美濃に組む。局後に「千田六段の将棋が個性的で面白く、好きです」と語った桐山君は、千田が升田幸三賞を受賞する原動力となった作戦を選んだ。過去2年連続で準優勝の桐山君が、作戦の優秀さを証明する形で、悲願の初優勝を達成した。

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中学年部門は、中山遥君(右) 対 桐山瑳介君(左)の決勝戦。

「非常にうれしいです。今日は朝早くから7局指しましたが、楽しく、思い切った将棋を指せました」と語る。将棋会館道場四段の実力を持つ桐山君は「研修会で上のクラスを目指します」とさらなる健闘を誓った

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優勝したのは、桐山君。2年連続準優勝の雪辱を果たした。

女流オープン戦の決勝は両対局者が「きもの鈴乃屋玉川店」が提供する着物と袴を身に着けて対局する。振り駒の結果、塚田の先手となり、相掛かりに。

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中盤で先手の飛車を捕獲した渡部が優位を築き、そのまま押し切って初優勝。前回は惜しくも準優勝だったが、その雪辱を果たした。

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世田谷花みず木女流オープン戦の決勝戦は、渡部愛女流初段と塚田恵梨花女流2級の対局となった。写真は、渡部女流初段。

「結果は幸いしましたが、2局とも自らの課題が見えた将棋だったので、反省して次に生かしたいです」と渡部。対戦相手については「里見さんとは初手合いですが、里見香奈女流五冠の妹ということから、攻めが強いのかなという印象を持っていました。塚田さんとは研究会で指していますが、こちらもご両親(塚田泰明九段・高群佐知子女流三段)譲りの攻め将棋と思っています」と語った。

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優勝した渡部女流初段。

「これからも精進して、大舞台で和服を着て指したいです」と今後の目標を掲げた。

準優勝の塚田は「準決勝の対飯野戦は、ゴキゲン中飛車が予想外でした。終始難しく、常に気を引き締めていました。決勝はずっと作戦負けで、こちらの構想や、相手の作戦への対応が課題です」と語る。「家に帰ったら(両親に)怒られますね」と苦笑した。「初めての和服で、とても緊張しましたが、初参加での準優勝はうれしいです。今後は昇級、昇段を果たして、また花みず木女流オープン戦に出られるなら、今度こそ優勝したいです」と感想を述べた。

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塚田女流2級。着物での対局は、初めてだったそうだ。

最後に、第10回大会を記念しての女流棋士トークショーが行われた。フリーアナウンサーの中村雅子さんが司会を務め、中村真梨花女流三段、鈴木環那女流二段、飯野女流1級がフリートークを繰り広げる。女流棋士の裏話を多くのファンが楽しんだ。

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今回は、最後にトークショーが行われた。

※撮影は、いずれも常盤秀樹

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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