ライター佐藤友康
最年少17歳、最年長66歳でタイトル戦に挑戦した棋士、わかりますか?七大タイトルの最年少&最年長記録まとめ
ライター: 佐藤友康 更新: 2017年04月13日
藤井聡太四段の最年少でのプロデビューや、加藤一二三九段の最年長対局記録の更新で、将棋界の最年少・最年長の話題が賑わっています。では、タイトル挑戦・タイトル獲得の最年少・最年長記録はどうなのでしょうか? このコラムでは、タイトル挑戦・タイトル獲得の最年少・最年長記録をお伝えしていきます。
史上最年少タイトル挑戦&タイトル獲得
撮影:常盤
史上最年少のタイトル挑戦は第55期(1989年度後期)棋聖戦で、中原誠棋聖(当時)に屋敷伸之四段(当時)が挑んでいます。屋敷四段は17歳10カ月でのタイトル挑戦となりましたが、五番勝負では2勝3敗で敗れ、惜しくもタイトル獲得は逃しています。
史上最年少のタイトル獲得はなんとその翌年度、第56期(1990年度前期)棋聖戦です。またしても屋敷四段が挑戦者となり、2連敗の後の3連勝で見事タイトルを獲得、18歳6カ月という若さでタイトルホルダーとなりました。
奨励会入りが中学2年と、決して早くはなかった屋敷九段ですが、そこからの最年少タイトル獲得の活躍というのも驚くべき点です。
史上最年長タイトル挑戦&タイトル獲得
第31期名人戦 第1局
史上最年長のタイトル挑戦は第15期の棋王戦で、南芳一棋王(当時)に大山康晴十五世名人が挑んでいます。大山十五世名人は当時、66歳11か月での挑戦でした。南棋王に3連敗となりタイトル奪取はなりませんでしたが、1990年当時の60歳を超えた現役棋士はわずか8名でしたから、66歳でのタイトル挑戦はまさに大記録と言えるでしょう。
史上最年長のタイトル奪取は第29期の王将戦で、加藤一二三王将(当時)に大山十五世名人が挑んだ時です。56歳での挑戦でしたが、4勝2敗でタイトルを奪取しています。
大山十五世名人は69歳で亡くなるまで、A級に在籍し活躍し続けた、偉大な棋士です。日本将棋連盟の会長にも長く在任し、将棋普及にも多大な尽力をされ、文化功労者に顕彰されるなどの大功労者でもあります。
七大タイトルの最年少挑戦&獲得記録
各タイトルの最年少挑戦記録を以下にまとめました。
棋戦 | 挑戦/獲得 | 期 | タイトル挑戦/獲得者 | 当時の年齢 | 対戦者 |
竜王戦 | 挑戦 | 第2期 | 羽生善治 | 19歳 | 島朗 |
獲得 | |||||
名人戦 | 挑戦 | 第19期 | 加藤一二三 | 20歳 | 大山康晴 |
獲得 | 第41期 | 谷川浩司 | 21歳 | 加藤一二三 | |
王位戦 | 挑戦 | 第31期 | 佐藤康光 | 20歳 | 谷川浩司 |
獲得 | 第33期 | 郷田真隆 | 21歳 | ||
王座戦 | 挑戦 | 第51期 | 渡辺明 | 19歳 | 羽生善治 |
獲得 | 第40期 | 羽生善治 | 21歳 | 福崎文吾 | |
棋王戦 | 挑戦 | 第16期 | 羽生善治 | 20歳 | 南芳一 |
獲得 | |||||
王将戦 | 挑戦 | 第60期 | 豊島将之 | 20歳 | 久保利明 |
獲得 | 第35期 | 中村修 | 23歳 | 中原誠 | |
棋聖戦 | 挑戦 | 第55期 | 屋敷伸之 | 17歳 | 中原誠 |
獲得 | 第56期 | 18歳 |
やはり屋敷九段の17歳でのタイトル挑戦・18歳でのタイトル獲得は目を見張るものがありますね。この記録に隠れてしまいましたが、棋聖戦は2016年に永瀬拓矢六段が23歳で、2015年に豊島将之七段が25歳で、2012年には中村太地六段が24歳で挑戦、若手棋士の挑戦が目立ちます。
七大タイトルの最年長挑戦&獲得記録
各タイトルでの最年長の挑戦記録を以下にまとめました。
棋戦 | 挑戦/獲得 | 期 | タイトル挑戦/獲得者 | 当時の年齢 | 対戦者 |
竜王戦 | 挑戦 | 第29期 | 丸山忠久 | 46歳 | 渡辺明 |
獲得 | 第26期 | 森内俊之 | 43歳 | ||
名人戦 | 挑戦 | 第44期 | 大山康晴 | 63歳 | 中原誠 |
獲得 | 第51期 | 米長邦雄 | 49歳 | ||
王位戦 | 挑戦 | 第22期 | 大山康晴 | 58歳 | 中原誠 |
獲得 | 第12期 | 48歳 | |||
王座戦 | 挑戦 | 第43期 | 森?二 | 49歳 | 羽生善治 |
獲得 | 第64期 | 羽生善治 | 46歳 | 糸谷哲郎 | |
棋王戦 | 挑戦 | 第15期 | 大山康晴 | 66歳 | 南芳一 |
獲得 | 第29期 | 谷川浩司 | 42歳 | 丸山忠久 | |
王将戦 | 挑戦 | 第29期 | 大山康晴 | 56歳 | 加藤一二三 |
獲得 | 第31期 | 59歳 | 中原誠 | ||
棋聖戦 | 挑戦 | 第24期 | 大山康晴 | 51歳 | 内藤國雄 |
獲得 | 第30期 | 54歳 | 森?二 |
※終了しているタイトル戦の記録は除く
※王将戦は、第29期~第31期は大山十五世名人が獲得しています
※棋聖戦は、第24期~第30期は大山十五世名人が獲得しています
やはり、大山十五世名人の60歳を超えてのタイトル挑戦の記録が目を引きます。羽生三冠や谷川九段は、最年少・最年長のどちらにも名前を連ねており、長く第一線で活躍していることがよくわかります。
第52期王位戦 第7局
若手・ベテランのタイトル挑戦&獲得への期待
今回は、七大タイトル戦の最年長&最年少の挑戦・獲得記録をまとめました。若手もベテランも第一線で活躍し、世代を超えた戦いができるのも、頭脳ゲームならではのことでしょう。タイトル戦は注目度も高いですし、タイトル戦を経験することで、認知度も上がります。若手・ベテランともに自分の持ち味をいかんなく発揮し、素晴らしい対局を作っていってほしいですね。