郷田真隆VS久保利明。振り飛車ファン必見のシリーズ!王将戦七番勝負の展望

郷田真隆VS久保利明。振り飛車ファン必見のシリーズ!王将戦七番勝負の展望

ライター: 渡部壮大  更新: 2017年01月07日

5年ぶりのタイトル戦登場

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久保利明九段が久しぶりにタイトル戦出場を決めた。2012年新春のタイトル戦以来、5年ぶりのタイトル戦登場だ。前期の王将リーグも5勝1敗ながら、リーグ戦、プレーオフとともに羽生善治三冠に敗れて挑戦できなかった。今期は初戦で豊島将之七段に敗れたものの、そこから5連勝で単独1位が決まった。振り飛車党の旗手が大舞台に帰ってくる。

【図は68手目△5八飛まで】
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図は今期王将戦4回戦の対羽生戦。久保の初手▲5六歩に羽生が飛車を振り、久保が左穴熊に構えた。羽生の勝負手にあって先手の穴熊は寂しいことになっている。図の△5八飛は5筋に利かせて自玉の詰みを受けながら、4四の馬がいなくなれば△8八飛成からの詰み筋を見せた攻防手だ。だが、図から▲5七歩がこれぞ「一歩千金」。△5七同馬なら▲7一銀と打って詰むし、△5七同飛成なら先手玉が絶対詰まない形になるので寄せに専念できる。実戦は△7一桂と埋めたが、▲5三桂が間に合って先手の勝ち筋となった。

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郷田は2年前の第64期王将戦七番勝負で、渡辺明王将を相手にフルセットの死闘を制した。過去5期のタイトル獲得後、4回は防衛失敗と、悪いデータが揃う中、翌第65期の挑戦者に名乗りを上げたのは羽生。苦しい戦いが予想されたが、終わってみれば良い内容で4勝2敗として防衛を決めた。40代半ばに最強の相手に2年続けての勝利を収めたことは、「郷田強し」をあらためて世間に印象付けたことだろう。当然ながら前期が初防衛だったため、今期は自身初の3連覇が掛かったシリーズとなる。

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振り飛車ファンの待ち望んだシリーズ

郷田と久保の対戦成績は郷田から見て25勝19敗(未放映のテレビ棋戦除く)。タイトル戦では2012年の第37期棋王戦で対戦しており、郷田が3勝1敗で勝って久保が無冠に転落している。

郷田は基本的に居飛車党、久保は振り飛車党なので対抗形が中心となることは間違いないだろう。久保はゴキゲン中飛車、石田流、角道を止める振り飛車など、作戦の幅は広い。振り飛車党のタイトル戦登場が久しぶりなので、振り飛車党のファンは待ち望んだことだろう。

注目の七番勝負第1局は1月8・9日(日・月<祝>)にお馴染となった静岡県掛川市の「掛川城・二の丸茶室」で行われる。最長3ヶ月近くに及ぶ、新春の長いシリーズ。郷田の3連覇か、久保の復位か。戦いを終えて記念撮影に笑顔で応じているのはどちらだろうか。

七番勝負の日程、開催場所などはこちら

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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