14歳vs76歳!藤井聡太四段のデビュー戦対局相手は、現役最高齢の加藤九段。これまでの年の差対局の結果は?

14歳vs76歳!藤井聡太四段のデビュー戦対局相手は、現役最高齢の加藤九段。これまでの年の差対局の結果は?

ライター: 佐藤友康  更新: 2016年12月22日

今年プロ入りした最年少棋士のデビュー戦の相手は何と現役最高齢棋士! 驚くべき「62歳差」対局が奇跡的に実現しました。12月24日の竜王戦6組、この対局から目が離せません。この記事では、対局者の紹介と年の差のあった対局についてお伝えしていきます。

史上最年少でのプロ入り! 藤井聡太四段

2016年の10月に、史上最年少プロ棋士が誕生しました。藤井聡太四段、なんと14歳と2か月という若さです。これまで、中学生でプロになった棋士はたったの5人しかおらず、トップ棋士の方々ばかりです。

棋士 プロ入り年 四段昇段時の年齢
加藤一二三九段 1954年 14歳7か月
谷川浩司九段 1976年 14歳8か月
羽生善治三冠 1985年 15歳2か月
渡辺明竜王(棋王) 2000年 15歳11か月
藤井聡太四段 2016年 14歳2か月


中学2年でプロ入りしたのは、谷川九段に続いて藤井聡四段が2人目です。藤井聡四段と言えば、詰将棋解答選手権チャンピオン戦で2年連続の優勝経験があります。トッププロも参加しているこの大会で、なんと12才(小学6年)にしてプロ棋士を抑えて優勝を飾りました。藤井聡四段の終盤力は、小学生にしてトッププロをも凌駕していたといっても過言ではないでしょう。圧倒的な終盤力と若さと勢いで、今後が楽しみな棋士です。

fujikato01_01.jpg

現役最高齢の棋士! 加藤一二三九段

藤井聡四段のデビュー戦の相手は、現役最高齢、76歳の加藤一二三九段です。将棋界の「現役最年長」は、丸田祐三九段の持つ77歳0カ月ですが、2017年1月1日の誕生日で77歳を迎える加藤一二三九段は、この偉大な記録を更新することがほぼ確定しています。

加藤九段はこれまでにタイトルを8期獲得し、一般棋戦優勝も23回を数える偉大な棋士です。プロ入りしたのは1954年、史上最年少棋士で史上初の中学生棋士としてデビューしました。その後、デビューから順位戦では4期連続の昇級を果たして18歳でA級入りし、「神武以来の天才」と呼ばれました。近年ではバラエティ番組にも出演して将棋普及に貢献され、ファンからは「ひふみん」の愛称で親しまれています。

fujikato01_02.jpg

62歳と6か月差の対局は藤井聡四段のデビュー戦、12月24日竜王戦

藤井聡四段のデビュー戦に注目が集まっていましたが、12月24日の竜王戦6組の対局、加藤九段との対局に決まりました。現役最高齢の棋士が、史上最年少棋士のデビュー戦の対戦相手になるという奇跡的な組み合わせが、抽選によって決まったのです。生年月まで数えれば62歳と6か月差、これは将棋界で最も年の差のある対局となります。孫と祖父ほどにも離れた二人が、公式戦の場で対局を行うのです。藤井聡四段がプロになったその勢いのまま勝つのか、加藤九段がこれまでの経験を活かして戦い、勝利を収めるのか、注目が集まる対局です。

若手とベテランとの対局の醍醐味

長時間の対局なので体力面での差はありますが、将棋は年齢に関係なく真剣勝負ができます。今回の62歳差の対局はとても顕著な例ですが、若手とベテランとの対局になることも普通です。一般的に若手は勢いがある、直線的な読みが深い、最新形に精通していると言われます。一方でベテランはこれまでの経験とそこから培ってきた大局観で勝負する、と言われます。長年の経験で少しずつ将棋が深みを増してくるのでしょう。

また、将棋には時代によって流行の形があります。ベテラン世代に流行しrた形の将棋に若手が挑戦したり、若手が研究を深めている最新形をベテランが迎え撃ったり、世代を超えた将棋を見られることが多いように感じます。世代によって少しずつ違いのある将棋が盤上にぶつかり合うのを見るのも、若手とベテランの対局の醍醐味と言えるでしょう。

これまでの年の差対局に注目

これまで最も年の差の大きかった2局をご紹介します。

No. 年齢差 対局日 対戦者名 結果 対戦者名 戦型
1 58歳
7か月
1986年
8月25日
小堀清一九段
(74歳6か月)
●-○ 羽生善治四段
(15歳10か月)
相掛かり腰掛け銀
2 57歳
10か月
2015年
3月11日
加藤一二三九段
(75歳2か月)
○-● 増田康宏四段
(17歳4か月)
矢倉

加藤九段は今回の藤井聡四段との対局で、これまでの記録を大幅に塗り替え、62歳と6か月の記録を樹立されます。若手が勝つのか、ベテランが勝つのか、過去の2局の結果は1勝1敗です。加藤九段の57歳10か月差の対局は見事勝利を収めていますが、今回はどちらに軍配が上がるのでしょうか。

囲碁の年の差対局は...

囲碁界でも2016年3月に年の差対局が話題になりました。杉内雅男九段(95歳!)と大西竜平初段(15歳)の対局で、こちらはさらに驚くべき「80歳差」の対局でした。結果は大西初段が見事勝利を飾りました。

12月24日の歴史的戦いにご注目!

いかがでしたでしょうか。最年少と最年長、年の差62歳の新旧最年少プロ入り棋士同士の対局という、歴史的な戦いを目の当たりにする貴重な機会が12月24日に訪れます。年齢の枠を超えられるのは将棋の魅力のひとつですが、それをまさに体感できることでしょう。棋譜中継だけでなくニコニコ生放送や将棋プレミアムでの生中継なども行われますので、みなさんも世紀の対局をぜひリアルタイムで楽しんでみてはいかがでしょうか。

佐藤友康

ライター佐藤友康

3歳から将棋に触れ、将棋とともに幼少期を過ごすものの、途中、長い長いブランクを経て、27歳で将棋復活。 2015年4月より、池袋で20代・30代に向けた将棋普及活動『将Give』を主催・運営する。 将棋の楽しさ・面白さ・奥深さに深く感動し、将棋普及と将棋を通じた社会貢献・人間的な成長の応援を使命とする。

このライターの記事一覧

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています