チーム永瀬VSエントリーチーム ABEMAトーナメント2025~予選Bリーグ第二試合振り返り~

チーム永瀬VSエントリーチーム ABEMAトーナメント2025~予選Bリーグ第二試合振り返り~

ライター: 渡部壮大  更新: 2025年07月03日

 6月28日(土)に放映された予選Bリーグ1回戦第2試合のチーム永瀬「ウサギと亀」(永瀬拓矢九段、佐々木勇気八段、羽生善治九段)とエントリーチーム「新しいリーダーズ」(宮嶋健太四段、山崎隆之九段、村田顕弘六段)戦を振り返る。チーム永瀬は今までの常連だった増田康宏八段が、2巡目のドラフトでくじを外し、新鮮なメンバーに。エントリーチームは若手の宮嶋がリーダーに指名されている。

 第1局は山崎が羽生に逆転勝ちを収めたが、第2局、第3局はチーム永瀬が連勝して2勝1敗でリードする。

【第4局 羽生善治九段─宮嶋健太四段】

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 羽生が来るとの読みで、宮嶋が指したいと出場。予想が当たり、初手合となった。宮嶋の雁木に羽生は菊水矢倉にガッチリ構えて攻め掛かる。

【第1図は△3三桂まで】

 3三の歩を払ったところ。ここから▲7四歩△同銀▲5四歩△同銀▲7五歩△6三銀と後手陣を乱してから▲3六歩がうまい攻めだ。後手は桂頭を受け切るのが難しい。△5七歩と勝負手を放ったが、▲3五歩△3七歩▲2八飛△3五金▲5七角△3四金▲3五歩△4五桂▲4六角と冷静に指して、着実に差を広げていった。以下も緩まず、羽生が貫録を見せてチームの3勝目をあげる。

【第5局 永瀬拓矢九段─村田顕弘六段】

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 お互いに出場順を変えた結果、第3局と同じカードになる。うまく村田が攻めをつなぎ、ペースをつかんだ。

【第2図は△8六歩まで】

 次に△8八桂成▲同玉△8七歩成から迫って先手玉は非常に危険な形だが、▲9六角が絶好打。▲4二角以下の詰めろかつ、8七にも利かせた攻防手だ。△8八桂成▲同玉△8七歩成▲同角と角筋をずらしたが、桂が入ったために▲2二金から▲3四桂があるので後手玉は安全になっていない。△8二飛は好防風だが、構わず▲2二金から寄せ切って村田が第3局の借りを返した。

【第6局 佐々木勇気八段─山崎隆之七段】

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 山崎の角交換振り飛車から、見たこともない力戦に。うまく山崎ワールドに引き込むが、微妙に形勢が揺れ動きながら終盤戦に突入した。

【第3図は▲9二飛まで】

 実戦は△8二桂と飛車の利きを止めたが、▲6二銀打が厳しく、先手の攻めがつながった。ここは△6三角▲3二飛成△4一銀と対応し、飛車取りを楽しみにしておけば後手も十分に戦えたようだ。佐々木が難戦を制し、4勝2敗とする。

 第7局は永瀬と村田がこの日3度目の対戦となる。エントリーチームは意表を突かれたようだが、永瀬としてはオーダーを読んで予想通りの様子。先後も同じ3度目の対戦は永瀬が勝ち、5勝目をあげてチームの勝利を決めた。
 勝ったチーム永瀬はBリーグ1位決定戦でチーム藤井と、敗れたエントリーチームはBリーグ2位決定戦1回戦でチーム天彦と対戦する。

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第1局 羽生●─○山崎
第2局 佐々木○─●宮嶋
第3局 永瀬○─●村田
第4局 羽生○─●宮嶋
第5局 永瀬●─○村田
第6局 佐々木○─●山崎
第7局 永瀬○─●村田

【個人成績】
永瀬九段 2─1
佐々木八段 2─0
羽生九段 1─1
宮嶋四段 0─2
山崎九段 1─1
村田六段 1─2

ABEMAトーナメント

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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