藤井が竜王4連覇 12月上旬の注目対局を格言で振り返る

藤井が竜王4連覇 12月上旬の注目対局を格言で振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2024年12月24日

 挑戦者が様々な作戦を見せた竜王戦七番勝負は、第6局で藤井聡太竜王が後手番をブレークして防衛。4連覇を達成しています。

第37期竜王戦七番勝負第6局

【第1図は▲2四歩まで】

 第1図は第37期竜王戦七番勝負第6局(▲佐々木勇気八段△藤井聡太竜王)。相掛かりから、先手の猛攻をうまくしのいだところです。△1六角が「要の金を狙え」の決め手で、次の△4九角成▲同玉△4八金の狙いが分かっていても受けにくい形です。4三~5二へも利かした攻防手で、実戦はここで先手の投了となりました。挑戦者の研究に苦しんだ藤井竜王ですが、4勝2敗で防衛となりました。

2024_12early_01.jpg
写真:紋蛇

第2回達人戦立川立飛杯決勝

【第2図は△5五同銀まで】

 第2図は第2回達人戦立川立飛杯決勝(▲丸山忠久九段△行方尚史九段)。激しい攻め合いで迎えた終盤戦です。▲8四桂が「玉は包むように寄せよ」の厳しい寄せ。△7二桂と「敵の打ちたいところへ打て」で受けましたが、▲5三歩△同金▲4二馬△8四桂▲7三桂で寄せが続き、先手が押し切りました。前期は準優勝だった丸山九段が初優勝を飾りました。

2024_12early_02.jpg
写真:文

第83期順位戦B級1組

【第3図は▲5八角まで】

 第3図は第83期順位戦B級1組(▲大橋貴洸七段△近藤誠也七段)。本局は終盤で千日手となり、指し直しの一戦です。△7八角成と金を取るのが「終盤は駒の損得より速度」で、▲同玉△5六銀▲同歩△5九銀と先手の厳しい寄せがヒットしました。本局を制した近藤七段は1敗を守り、A級に大きく近付いています。

2024_12early_03.jpg
写真:夏芽

第50期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント

【第4図は▲8七金まで】

 第4図は第50期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント(▲近藤誠也七段△斎藤明日斗五段)。横歩取りの乱戦模様で、△7五飛もありそうですが、△7七飛成▲同金△同角成が「二枚換えなら歩ともせよ」の踏み込み。飛車と金桂の二枚換えで馬を作り、先手が手番を生かしてうまく反撃できるかの勝負です。本局は短手数で後手が勝ち、本戦トーナメントの借りを返した斎藤五段が挑戦者決定二番勝負に進出です。

2024_12early_04.jpg
写真:文

SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024

【第5図は△7三銀まで】

 第5図はSUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2024第5局(▲藤井聡太竜王・名人△伊藤匠叡王)。オーダーの結果、タイトルホルダー同士のカードが実現しました。駒が激しくぶつかっている局面ですが、▲7九玉が「玉の早逃げ八手の得」の好手でバランスを保っています。以下△5八と▲7三角成△同桂▲5八飛に△8六歩でギリギリの終盤戦が続きました。本局は伊藤叡王が競り勝ちましたが、団体戦としては西軍が5勝1敗で制しています。

2024_12early_05.jpg
写真:牛蒡

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

このライターの記事一覧

高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています